
ミネラルウォーターとは?
水道水や白湯など他の水との違いは?
なんとなく健康に良さそうなイメージはあるものの、そもそもミネラルウォーターとは何なのかを知らない方もいるのではないでしょうか。
ミネラルウォーターは食品衛生法により「水のみを原料とする清涼飲料水」と定められているものです。※1 この記事ではミネラルウォーターの種類や水道水や白湯などとの違いについて解説します。普段何気なくミネラルウォーターを使用している方もいるかもしれませんが、これを機に正しい知識を身に付けましょう。
INDEX
ミネラルウォーターとは
ミネラルウォーターとは、食品衛生法で定められた基準を満たす水のことです。乳酸菌飲料や乳及び乳製品を除くアルコール分 1%未満の飲み物を清涼飲料水と呼びますが、そのうち水のみを原料とするものがミネラルウォーターに該当します。※1 農林水産省の「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」では原水や処理方法によってナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、飲用水又はボトルドウォーターの 4 つの品名に分けられています。※2 それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ナチュラルウォーター
ナチュラルウォーターは、特定の水源から採れた地下水をもとに作られた水です。処理方法としては沈殿やろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないことが定められています。※2※3
ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのうち地層中の無機塩類が溶けだした地下水を原水とするものは、ナチュラルミネラルウォーターに区分されます。※2 ナチュラルウォーターと同じく沈殿やろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行っていないことが、品名を表示するための条件です。※1
ミネラルウォーター
ミネラルウォーターは、ナチュラルミネラルウォーターをもとに作られた水です。品質を安定化するために人工的にミネラル分を調整したり複数の原水を混ぜたりと沈殿やろ過、加熱殺菌のみの処理を加えているのが特徴です。※1※2
ボトルドウォーター
ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーターに該当しない水はボトルドウォーターと呼ばれます。※2 処理方法は特に限定されておらず、水道水や蒸留水、河川の表流水などのうち飲用に適しているものがボトルドウォーターとして販売されています。※1
ミネラルが入っているからミネラルウォーター?

「ミネラルウォーターにはミネラルがたくさん入っている」というイメージを持っている方も多いでしょう。しかし、だからといってミネラルウォーター以外にはミネラルが入っていないというわけではありません。国や地域にもよりますが、カルシウムやマグネシウムといったミネラルはミネラルウォーターに負けず劣らず水道水にも豊富に含まれています。※4
水道水がどこから来るのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
軟水・中硬水・硬水の違い
ミネラルウォーターのパッケージなどでよく見る「硬度」とは、水 1L に溶解しているカルシウムやマグネシウムの量を示すものです。硬度の違いにより、以下のように分離されています。※5
【水 1L あたりに含まれるミネラル量による分類】※5
- 60mg 以下:軟水
- 60~120mg:中硬水
- 120~180mg:硬水
- 180mg 以上:超硬水
硬度が高い水はミネラルを豊富に含んでいる一方で、石けんの泡立ちが悪くなります。日本では石けんの泡立ちの面から水道水の硬度を 300mg/L 以下と法令で定められていたり、美味しさの面から硬度の目標値を 10〜100mg/L と定められています。※4
軟水と硬水の違いについて詳しく知りたい方は、下記記事も読んでみてください。
カルシウム・マグネシウムの働き
カルシウムやマグネシウムは人体を構成する大切なミネラルです。カルシウムは骨や歯をつくる働きのほかにも、筋肉機能や細胞内情報伝達、ホルモン分泌などで役立っています。※6※7※8
一方でカルシウムの過剰摂取により高カルシウム尿症など健康上のリスクにつながる可能性がありますが、通常食物からのカルシウム摂取で過剰になるケースは稀であり、カルシウムサプリメントを摂取した場合に過剰摂取となる可能性が高いといわれています。カルシウムサプリメントの服用時は過剰摂取にならないよう注意が必要です。
マグネシウムには酵素の活性化や筋肉の収縮、神経機能の維持、体温・血圧の調整などの働きがあります。ミネラルの健康・美容への効果や推奨摂取量については下記記事で詳しく解説しています。
ミネラルウォーターと様々な水との違い

ミネラルウォーターは、水道水や天然水などと何が違うのでしょうか。
ミネラルウォーターは水道水や地下水から作られたものです。一方水道水は、河川水やダム湖水、地下水などから採水したあと、浄水場で水質管理されてから各家庭に運ばれます。※9 要するに、ミネラルウォーターも水道水も元は同じ原水だということです。
両者の違いは品質を管理するための法律と検査項目です。ミネラルウォーターは食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」19〜48 項目※1、水道水は水道法に基づく「水道水質基準」51 項目によって、品質が管理されています。※10 検査項目は異なるものの、どちらも安全性に問題はないといえるでしょう。
ミネラルウォーターと水道水の違いをもっと詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてくださいね。
ミネラルウォーターと天然水の違い
天然水はミネラルウォーターの一種です。ミネラルウォーターはナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターの 4 つに分類されます。その中でも「自然」「天然」またはこれに類する言葉を記載できるのはナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーターのみなのです。※2
ミネラルウォーターと白湯の違い
白湯とは、水を一度沸騰させてから飲める程度の温度に冷ましたものといわれています。ミネラルウォーターや水道水などを沸騰させることで作れます。明確な温度の定義はありませんが、飲み水としては熱すぎない温度が適しているでしょう。
白湯の作り方や飲み方を詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
ミネラルウォーターと RO 水の違い
RO 水とは、逆浸透膜浄水器によって水の分子だけを通過させ、※11 不純物を限りなくゼロに近づけた水のことです。水分子以外の成分がほとんど存在せず、化学反応を起こしにくいという性質があります。※12
味や香りに影響を及ぼす成分がほとんどないため、家庭での料理や紅茶などの飲み物のほか宅配水や清涼飲料水など幅広く活用されています。※12
下記の記事では、RO 水を含む水分補給におすすめの飲み物を紹介しています。
ミネラルウォーターの44項目って?

ミネラルウォーターは食品衛生法の「食品、添加物等の規格基準」によって品質が確保されています。ミネラルウォーターの 44 項目とは、「殺菌・除菌を行っているミネラルウォーター類の成分規格」の項目数が 44 であるという意味です。※13
ただし規格基準は令和 3 年 6 月の改正により、新たに「フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)」「クロロ酢酸」「ジクロロ酢酸」「トリクロロ酢酸」の 4 つが追加されました。※13
なお水道水は水道法に基づく「水道水質基準」によって管理されており、検査項目は 51 項目あります。※10
ミネラルウォーターにはトリハロメタンが含まれている?
炭素原子に 4 つの水素原子が結合した物質をメタンと呼びますが、4 つの水素原子のうち3つがハロゲンに置き換わったものをトリハロメタンといいます。※14 トリハロメタンは河川やダムの水に含まれる有機物と塩素が反応して生成されたり※15、殺菌・除菌を行ったミネラルウォーターには含まれる可能性があるので基準値が設けられています。※1
トリハロメタンは人の健康に影響を及ぼすと考えられており※16、トリハロメタンに含む以下 5 種類については食品衛生法の「食品、添加物等の規格基準」により基準値が定められています。
【食品衛生法における成分規格適合値】※1
- クロロホルム: 0.06mg/L 以下
- ブロモジクロロメタン:0.03mg/L 以下
- ジブロモクロロメタン:0.1mg/L 以下
- ブロモホルム:0.09mg/L 以下
- 総トリハロメタン:0.1mg/L 以下
含まれている量はゼロとはいい切れないですが、規格基準により管理されているため安全性に問題はないといえるでしょう。
トリハロメタンについての理解を深めたい方は、こちらの記事も読んでみましょう。
ミネラルが含まれているから、ミネラルウォーターではない!

「ミネラルが含まれているからミネラルウォーターの方が良い」と考えている方もいるかもしれませんが、ミネラルは地域によっては水道水にもミネラルウォーターに負けないほど豊富に含まれています。また水道水は水道法により管理されており、厳しい基準をクリアした水のみが家庭に届きます。
そのため、より安全に水を飲みたい場合はミネラルウォーターだけでなく水道水も検討しましょう。水道水は浄水器を使用することで、豊富なミネラルを残したままより美味しく飲めます。浄水器のフィルター1 個分でペットボトル 1800 本分※のごみ削減になるため、環境保護にもつながりますよ。※500ml ペットボトル換算
関連商品
【参考文献】
※2 一般社団法人日本ミネラルウォーター協会|ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン
※3 厚生労働省|ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示 ガイドライン
※4 東京都水道局|水の硬度
※6 厚生労働省 統合医療に係る情報発信等推進事業|マグネシウム
※7 厚生労働省 統合医療に係る情報発信等推進事業|カルシウム
※10 環境省|水質基準項目と基準値(51 項目)
※13 神奈川県衛生研究所|ミネラルウォーター類の基準改正について

みずはかせ
1997年より三菱ケミカル愛知研究所でクリンスイ製品の開発・評価・研究開発に携わる。フォークリフト運転免許と華道正教授の免許を持つ。










