皆さんは、日々の生活に欠かせない飲み水をどのように摂っていますか?ミネラルウォーターやウォーターサーバーを活用する方が多いと思いますが、実は、それ以外にも手軽な選択肢があります。
それは、「水道水を飲む」という方法です。「水道水って本当に飲めるの?」と疑問に思ったり抵抗があったりする方もいるかもしれませんが、厳しい水質基準をクリアしている日本の水道水は、安心・安全に飲めます。
本記事では、水道水を飲むメリット・デメリットや、水道水をより美味しく飲むための方法について詳しくご紹介します。ぜひ参考にして、水道水を日々の飲み水として利用してみましょう。
INDEX
水道水の源泉はミネラルウォーターと同じ
「水道水とミネラルウォーターはまったくの別物」というイメージを持つ方も多いと思いますが、実は、水道水の源泉はミネラルウォーターと同じです。
ミネラルウォーターは、山の地下水や川の湧水など、自然界の水を源泉としています。そしてそれと同様に、私たちにとって非常に身近な存在である水道水も、自然の河川や山々を源泉としているのです。
水道水の源泉はミネラルウォーターと同じだと知ると、水道水を飲むことへのハードルがぐっと下がった感じがするのではないでしょうか。
詳しくは以下の記事も参考にしてください。
水道水を飲むメリット
水道水を飲むことには、さまざまなメリットがあります。具体的な3つのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
水道水を飲むメリットについてより詳細な内容が知りたい方は、下記の記事もチェックしてみてくださいね。
水質基準が定められていて安全
世界にはさまざまな水質基準が設けられていますが、そのなかでも日本の水道水は、水道法により厳しい水質基準が定められています。
日本の水質基準(以下日本基準)の一部を「WHO飲料水ガイドライン(以下WHO基準)」や「米国EPA第一種飲料水基準(以下米国EPA基準)」、「EU指令(以下EU基準)」と比較した結果が、下記の通りです。※1
【大腸菌含有量】
- 日本基準→検出されないこと
- WHO基準→100mL中に検出されてはならない
- 米国EPA基準→5%以下
- EU基準→100mL中に検出されてはならない
【水銀含有量】
- 日本基準→0.0005mg/L
- WHO基準→0.001mg/L
- 米国EPA基準→0.002mg/L(無機水銀として)
- EU基準→0.001mg/L
このように、日本の水道水は国が定めた水質基準をクリアした安全な水のみが使用されています。徹底した管理下のもと私たちの家庭に届く日本の水道水は、誰もが安心・安全に飲める良質な水といえるでしょう。
このほか、日本のミネラルウォーターは水道水とは異なる水質基準が定められているので、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
ミネラルが補給できる
意外かもしれませんが、水道水にはミネラルが含まれており、私たちは蛇口から出る水道水を飲むとミネラルの補給が可能です。水道水に含まれるミネラル量は、居住地によっても異なります。また硬度の値は水源地によって差が出るため、居住地の水道水がどこを水源としているかによって、日本国内でも水道水の硬度に多少の違いが生じるのです。※2
“ 硬度とは、水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの量を、これに対応する炭酸カルシウム(CaCO3)量(mg/L)に換算したもの”(引用元:水質基準(案) 根拠資料一覧|厚生労働省)です。
このほか、日本では法令により水道水の硬度が定められており、各地域の水道水のほとんどがおいしく飲める「軟水」に区分されます。居住地によって水道水の飲みやすさが変わることはないので、安心してくださいね。
また、水道水とミネラルウォーターの硬度の違いを知りたい方は、下記の記事をチェックしてください。
環境に優しい
水道水を飲むことは、CO2排出量の削減にもつながり、地球環境の保護に役立ちます。
環境省が発表した「リユース可能な飲料容器およびマイカップ・マイボトルの使用に係る
環境負荷分析について」 によると、ペットボトル1本が生産〜廃棄されるまでの過程で、約119gのCO2が排出されるとされています。しかし、同研究においてステンレス製のマイボトルでは13.90gのCO2排出、アルミ製のマイボトルでは10.68gのCO2排出でした。※3
私たちがペットボトル飲料の購入から水道水へシフトするだけで、CO2排泄量の削減に貢献できるでしょう。
もちろん、水道水も水質管理の過程で電力を使うため、環境負荷が全くないというわけではありません。それでも、ペットボトル飲料の生産にかかる環境負荷に比べれば、水道水の生成が与える環境への影響は圧倒的に少ないといえるでしょう。
自宅では水道水を飲む、外出時にはマイボトルを持ち歩く、といった小さな行動が、ペットボトルの消費量を削減し、SDGsへの貢献につながるのです。
以下の記事ではクリンスイのSDGs活動をご紹介しています。
三菱ケミカル・クリンスイ|もっとおいしく、水道水が飲める世の中へ
水道水を飲むデメリット
より安全に美味しく水道水を飲むためには、水道水を飲むデメリットも理解しておきましょう。以下では、具体的な3つのデメリットについて詳しくご紹介します。
塩素が含まれている
日本の水道水には、少なからず塩素が含まれています。これには自然界の水に含まれる病原性微生物を殺菌するために、浄水場で水を塩素消毒をしていることが大きく関係しています。
塩素消毒は水道水を安全に飲むためには欠かせない工程ではありますが、それでも「塩素が含まれている」と聞くと、不安に感じる方もいるでしょう。
具体的な塩素や規定に関しては、日本では下記のような水質基準が設けられています。※1
- 残留塩素→0.1mg/L以上保持すること
塩素の人体への影響を懸念する方も多いと思いますが、WHOのガイドラインによると、上記の基準値をクリアした水道水が人体に影響を与えることはないとされています。安全に飲める基準が制定されているので安心してお飲みいただけます。
カビ臭やカルキ臭がする
人によっては、水道水を飲んだ際に、カビ臭やカルキ臭を感じる方もいるでしょう。
水道水のカビ臭については、水道水の水源であるダムや湖などに発生する「フォルミディウム」や「アナベナ」などの植物性プランクトンが原因です。これらのプランクトンから発生する「ジェオスミン」と「2-MIB(2-メチルイソボルネオール)」という物質が、水道水のカビ臭の原因物質といわれています。※4,5
また、水道水のカルキ臭については、塩素消毒が主な原因です。水中に含まれるアンモニアと、消毒のために使用する塩素とが反応してできるトリクロラミンという物質が要因の一つとされています。
水道管や貯水槽の汚染
水道水を私たちの家庭まで届けるために欠かせない水道管や貯水槽に異常があった場合、「水道水は安全」と言い切れなくなるでしょう。
水道管や貯水槽が雑菌や水垢の繁殖などにより汚染されると、それに伴い水道水の水質も悪化します。その水道水を飲み水や料理などに使用した場合、水道水に含まれる有害物質が人体へ悪影響を及ぼす可能性が考えられます。
ただし水道施設については建築基準法第12条や水道法第34条の2と水道法施行規則第55条などにより、細かな法律規制が整っています。※6,7,8 上記の汚染リスクは水道水を飲むデメリットのひとつとして考えられるものの、人体への悪影響は可能性としては限りなく低いため、過度に心配する必要はありません。
水道水をより安全に美味しく飲む方法
水道水をより安全に美味しく飲むためには、以下にご紹介する3つの方法があります。
水道水を煮沸する
水道水を一度煮沸させ、10〜15分ほどに煮立たせることで水道水に含まれる「トリハロメタン」という有害物質を除去できます。もし白湯を飲む場合には、この作業を行ってから冷まして飲むのがおすすめです。以下の記事も参考にしてください。
トリハロメタンとは、自然界の水に含まれる有機物と、浄水場で使用される塩素とが反応してできる物質です。トリハロメタンには「クロロホルム」というめまいや頭痛、吐き気などを引き起こすリスクがある物質が含まれているため、日本の水質基準では水道水のクロロホルム含有量を「0.06mg/L以下」と定めています。※1
この量のクロロホルムが人体に影響を及ぼすことは考えにくいものの、水道水を飲むからには、できるだけトリハロメタンを除去したいと考える方が多いでしょう。
そこで効果的なのが、水道水の煮沸です。ただし残留塩素が減る分、雑菌が繁殖しやすくなるため、煮沸後はできるだけ早く飲み切るようにしましょう。
浄水器を利用する
水道水の安全性と美味しさを手軽に高めたい方には、浄水器の利用がおすすめです。
浄水器には、水の味を損なうカルキ臭の原因物質である「遊離残留塩素」を除去したり、有害性の疑いがあるとされている「クロロホルム」や「ブロモジクロロメタン 」「トリハロメタン」「水道管のサビ」などの物質を除去したりする機能があります。特に水道管のサビは煮沸しただけでは取り除けませんので、浄水器を使うメリットでもあります。
浄水器を活用すれば蛇口から直接安全で美味しい水が出てくるため、手間をかけずに水道水を飲み水として利用できるでしょう。
ただし一口に浄水器といっても、浄水器には「ポット型」「蛇口直結型」や「ビルトイン型」など、さまざまなタイプがあります。浄水器を選ぶ際はライフスタイルや浄水能力、ランニングコストなどをしっかり考慮しましょう。
詳細については、下記の記事を参考にしてください。
アルカリイオン整水器を利用する
「アルカリイオン整水器」とは、水道水を電気分解する機器を指します。アルカリイオン整水器は水道水をさらに電気分解し、「アルカリイオン水」を生成できるのです。アルカリイオン水は胃腸症状の改善に効果的であると認められ、アルカリイオン整水器は管理医療機器になっています。※9
クリンスイでも、ビルトインタイプのアルカリイオン整水器を扱っております。
AL800|クリンスイの製品
https://cleansui.com/products/al800
アルカリイオン水については以下も参考にしてください。
安全で美味しい水道水を飲むために水質源を守る
私たちが普段当たり前のように使っている水は、近年、水質源の確保が懸念されています。
日本における生活水の主な源は、川や山などの自然界の水です。しかし最近では川の水量の低下や頻繁に起きる渇水、河川の水質悪化など水質源の確保を危ぶむさまざまな問題が浮上しています。
これらは地球温暖化や産業活動による水の多用などが主な原因とされており、今後十分な水質源を確保するためには、私たち一人ひとりがこれまでの生活を改めなければなりません。
「水は無限の資源ではない」という事実を理解し、これからは各個人が水質源を守る取り組みを積極的に行う必要性があります。
私たち個人ができること
水質源を守るために私たちができることは、下記のような活動です。※10
【節水のための活動】
- 洗濯や食器洗いの回数を減らす
- お風呂でシャワーを流しっぱなしにしない
- 水洗トイレでは極力小レバーを使う
- お風呂の残り湯を洗濯に使う
【水を汚さないための活動】
- 食器の油汚れを排水溝に流さない
- 洗剤やシャンプーなどを過度に使用しない
- 調理くずを流さないよう排水溝用のネットをつける
【自然界の水を守る活動】
- 河川にゴミを捨てない
- 近隣の水路や川の清掃ボランティアに参加する
- 水源となる森林の保全活動を行う
各々の力は微々たるものでも、上記の活動が日本全域に広まれば環境を変えるための大きな力になります。環境のために日々の中で少しでも見直せる点がないか、それぞれが今一度考えてみましょう。
政府の取り組み
日本では、水質源を守るために政府がさまざまな取り組みを行っています。
例えば、2014年に日本政府は毎年8月1日を「水の日」として法定化しました。そして水の日から1週間の期間を「水の週間」と定め、期間中は国や地方自治体などが連携し、各地域で水に関するさまざまなイベントを実施しています。※10
また、環境省は水資源の保全に取り組むための「Water Project」を発足しています。これは水質源の重要性を国民に広く啓発することを目的とした官民連携によるプロジェクトで、近年では多くの地方公共団体や事業者がこのプロジェクトに参加しています。※11
このほか、国土交通省では水に関する国際的活動を活性化させるための独立諮問機関を設立したり、「世界水フォーラム」へ参画したりするなどの活動を積極的に行っています。※12
クリンスイの取り組み
クリンスイでは、身近な水道水の大切さを伝える「もう一度、水道水を飲もう」という企業メッセージを発信し、使い捨てペットボトルの消費削減を通じて環境保全に貢献するため、商業施設やセレクトショップなどに給水スポットを導入する取り組みを行っています。
給水スポットを設置したからといって 、日本中の人々がすぐにペットボトル飲料を買わなくなるわけではありません。しかし、マイボトルを持ち歩く習慣を持つ人が1人でも増えると、年間のペットボトル消費量は確実に減少するでしょう。ペットボトルを浄水に変えるだけで90%以上のCO2削減ができるので、一人ひとりの行動が大切です。
2021年には、サステナブルなライフスタイルを推進するため、三重県のリゾート施設「VISON」に、水道直結型のウォーターサーバーを設置しました。人々が少しでも水を意識するきっかけを作ることが、環境にとって大きな前進になると信じています。
クリンスイのさまざまな取り組み
https://brand.cleansui.com/projects
水道水は安全に飲める!
日本の水道水は厳格な水質基準をクリアしているため、安心・安全に飲むことができます。またミネラルが補給できる、環境保全に貢献できるなど、水道水を飲むメリットは多いです。
本記事で紹介したように水道水をより安全で美味しく飲むためには、いくつかの方法があります。その中でも特に水道水を飲む習慣を手軽に取り入れたい方には、浄水器の導入がおすすめです。
クリンスイでは、取り付けが楽々な蛇口直結型や、冷蔵庫に収納できるポット型など、さまざまな浄水器を扱っています。自身のライフスタイルに合った浄水器がきっと見つかるはずなので、ぜひクリンスイの浄水器をチェックしてみてくださいね。
クリンスイの製品
https://brand.cleansui.com/products
関連商品
参考
※3 環境省|リユース可能な飲料容器およびマイカップ・マイボトルの使用に係る 環境負荷分析について
※4 国立保健医療科学院|水道事業の流域連携の推進に伴う水供給システムにおける 生物障害対策の強化に関する研究
※5 日本水処理生物学会誌 第44巻 第 4 号 209-215 2008|水道水源ダムのかび臭発生とその原因生物の特定
みずはかせ
1997年より三菱ケミカル愛知研究所でクリンスイ製品の開発・評価・研究開発に携わる。フォークリフト運転免許と華道正教授の免許を持つ。