水は硬度の違いによって「軟水」と「硬水」に分かれます。日本の水道水の多くは軟水で、まろやかで口当たりが良いのが特徴です。一方、硬水は軟水よりもミネラルが多く含まれ、食事で不足しがちなミネラル類を手軽に補給できます。
軟水と硬水は特徴が異なるため、どちらが良いと簡単に言い切れるものではありません。それぞれのメリットを生かして上手に使い分けましょう。
INDEX
軟水と硬水の違い
軟水と硬水は、水に含まれる「硬度」が異なります。硬度とは、水1Lあたりに溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表した数値です。食品安全委員会によると、下記の表のように4分類されています。
硬度(水1Lあたりに含まれるカルシウムとマグネシウムの含有量) | |
---|---|
軟水 | 60mg未満 |
中軟水 | 60~120mg未満 |
硬水 | 120~180mg未満 |
超硬水 | 180mg以上 |
一般的には軟水は日本食に向いているといわれており、たとえばお米がふっくら炊けたり、かつおだし・昆布だしなどの和風だしをひけたりします。一方、硬水は肉料理に適しており、洋風料理との相性の良さが特徴です。
軟水と硬水の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。日本の水はなぜ硬度が低めなのかも解説しているので、ぜひご覧ください。
軟水と硬水と鉱水の違い
軟水と硬水が硬度の違いであるのに対し、鉱水(こうすい)とは原水の区分のことです。
平成2年に制定された「ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン」では、主な原水の種類が7つに区分されています。「鉱水」はその区分の一つで、「ポンプ等により取水した地下水のうち溶存鉱物質等により特徴付けられる地下水」と定義されています。※1 簡単にいうと、鉱水とはポンプで採取されたミネラル類が含まれる地下水のことです。
ペットボトルの水のラベルに「軟水と鉱水」、両方の表記がされているのを見たことはありませんか?これは「ポンプで採取した地下水で、硬度で分類すると軟水」という意味です。
軟水と硬水とどっちがいい?
軟水と硬水は特徴が異なります。どっちがいいのかというのではなく、それぞれのメリットを生かして上手に使い分けることが大切です。
健康面
硬水は体に必要なミネラルであるカルシウムやマグネシウムを多く含んでいるのが特徴です。そのため硬水を飲むことで、健康面で以下のような働きが期待できます。
- 骨粗鬆症や骨折の予防
- 便通の改善
- フレイル予防
カルシウムは人間の体に多く含まれるミネラルで、骨や歯を形成する成分です。日々少しずつ摂取すると、骨粗鬆症や骨折の予防につながるといわれています。※2 マグネシウムは便通改善薬としても用いられているため、便秘が原因のポッコリお腹にも効果的と考えられるでしょう。※3
また年齢を重ねて筋力が低下する・社会活動が困難になるなど、周囲のサポートが必要となる「フレイル」の予防にはカルシウムが必要ともいわれています。※4
なお、硬水に期待できる効果や選び方については、こちらの記事で詳しく解説しています。健康のために水を飲みたいと考えている方は必見です。
そして日本でも水道水の硬度が高く、ミネラル類が多く含まれる地域があります。※5 興味のある方はぜひこちらの記事もご覧ください。
美容面
健康な髪を維持するには、ストレスの軽減やヘアケア、食べ物からの栄養などが必要といわれており、栄養の一つとしてミネラルも挙げられています。※6 マグネシウムやカルシウムはミネラルの一つなので、髪の毛を健やかに保つためにも必要と考えられるでしょう。
またマグネシウムはダイエットにも欠かせません。前述したように、すでに便秘薬としての実績があるため、便秘が原因で太っている方には必要な栄養素です。※3 硬水を飲むと美容面にどんなメリットがあるのか詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考になさってください。
ペットボトルの硬水を購入して飲むのも良いですが、地域によっては水道水にミネラル類が多く含まれています。※5 浄水器を通した水道水なら、飲むだけでなく料理にも使えて便利です。
おいしさ面
日本に長く住んでいる方は軟水に慣れているため、硬水より軟水の方がおいしいと感じる方が多いようです。しかし、おいしさは個人の嗜好や習慣によって異なります。また、硬水と軟水の用途には向き・不向きがあるため、それぞれのメリットを生かして使い分けることが大切です。硬水と軟水の味の違いや、成分がどう変化するかを知ることで、自分の好きなものを選べるようになります。
飲み物編
軟水か硬水かによって、飲み物の風味や味わいが変わります。お茶やコーヒーを入れるとき、軟水か硬水のどちらを使えばよりおいしくなるのか、具体例を紹介します。
日本茶
日本茶には、硬度50〜80mg程度の軟水が向いています。※7 軟水でお茶を入れるとお茶の成分が抽出されやすく、旨味・渋味・苦味のバランスが良くなるためです。しかし、軟水でも硬度10mg以下となると渋味を強く感じるようになり、日本茶本来の美味しさが損なわれてしまいます。日本の水はほとんどの地域で硬度が10mg以上あるので※5、水道水や国産のミネラルウォーターであればおいしい日本茶が入れられるでしょう。
また、硬度が300mg程度の硬水でも、おいしい日本茶が入れられます。お湯を注いだ時に茶葉から出たシュウ酸がカルシウムと結合するため、渋味の少ないまろやかな味わいになるためです。
日本酒
日本酒は使う水の硬度によって、味わいが異なるのが特徴です。
日本酒を仕込むときに軟水を使うと、まろやかでやさしい口当たりの日本酒になります。軟水を使うと発酵がゆっくりと進み、糖分が多く残るためです。酸味が少なく、甘口の日本酒に仕上がります。たとえば、京都の伏水(ふしみず)は硬度が80〜90mgほどで※8、軟水の仕込み水として有名です。
一方、硬水を使って日本酒を作ると、キレのある辛口の日本酒に仕上がります。硬水に含まれるミネラルが酵母の発酵を助けるため、軟水よりも早く発酵が進むからです。六甲山の伏流水である「宮水」は、100mgを超える硬水に近い水です。※8 辛口で濃厚な味わいの日本酒になります。
日本酒に使われる仕込み水について詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
日本酒のおいしい飲み方についても解説していますので、ぜひご覧ください。
コーヒー
コーヒーは、硬度によって味が変わります。さっぱりしたコーヒーに仕上げたいなら、軟水を使いましょう。酸味を際立たせたいときや、コーヒー豆の風味をじっくり味わいたいときに適しているといわれています。
一方でコーヒーの酸味と苦味をバランス良く味わうなら、硬水が良いでしょう。中硬水がおすすめとされており、マグネシウムが多く含まれる硬水の場合、苦み成分は溶けだしやすいものの、酸味成分はうまく溶けださないためです。
軟水と中硬水、それぞれで入れたコーヒーを飲み比べてみるのも楽しいですね。時間帯や気分で、使う水を変えるのも良いでしょう。コーヒーを入れるのに向いている水については、こちらで詳しく解説しています。コーヒーをおいしく入れるコツを知りたい方は、必見です。
料理編
硬水と軟水のどちらを使うかによって、料理の風味や味わいが変わります。普段何気なく使っている水を料理に適したものに変えてみましょう。いつもよりおいしく仕上がるはずです。
出汁
出汁をひく場合は、軟水が向いています。軟水はかつおぶしや昆布などのうま味成分を、うまくひき出せるからです。
また、よりおいしい出汁をひくには、出汁専用の浄水器を使うのも良い方法です。クリンスイでは、出汁をおいしくひくための専用の浄水カートリッジを用意しています。出汁のうま味をしっかりと引き出すため、通常タイプの浄水カートリッジと比べて、出汁の味わいが際立つのが特徴です。
おいしい出汁をひく具体的な方法は、こちらの記事で紹介しています。合わせてご覧ください。
豆腐
豆腐の80%以上は水分のため、おいしい豆腐を作るには豆腐作りに適した水を使うことが重要です。
柔らかくなめらかな豆腐を作るには、軟水が適しています。硬水に含まれるカルシウムが豆腐のたんぱく質と結合すると、硬くなるからです。※9 日本の水の多くは軟水なので、自宅で水道水を使って豆腐を手作りすることもできます。水道水をそのまま使うことに抵抗があるなら、浄水器を通した水を使うと良いでしょう。
牛肉の煮込み
牛肉の煮込みを作るときは、硬水を使うのが向いています。牛肉を硬水で煮ると肉が柔らかくなり、うま味が増すからです。※10 軟水でもおいしく煮ることはできますが、煮込みすぎると固くなるおそれもあります。柔らかくジューシーな牛肉の煮込みに仕上げたいなら、硬水を使いましょう。
また、ジャガイモは硬水で煮ると固くなるため、煮崩れしにくくなります。※10 カレーや肉じゃがなど、牛肉と野菜を一緒に煮込む料理を作る場合にも、硬水が向いています。
硬水を選びたい方
硬水を使う場合、選択肢としてミネラルウォーターや水道水があります。意外に思われる方もいるかもしれませんが、日本の水道水にも地域によって多くのミネラルが含まれています。地域によって差があるものの、国産のミネラルウォーター(軟水)と比べてもひけを取りません。
以下で詳しく解説しているので覗いてみてくださいね。
水道水をそのまま飲んだり料理に使ったりするのが心配な方は、浄水器をつけると良いでしょう。水道に含まれるミネラルはそのままに、カルキ臭の原因となる残留塩素等を取り除けます。
軟水を選びたい方
日本の水は軟水ですが、地域によってはミネラル類が多く含まれています。お茶を入れるときや出汁をひくときなど軟水が向いている用途に使う場合は、水道水をより軟水化する製品を利用するのも良いでしょう。
クリンスイでは、出汁をおいしくひくための専用浄水器をご用意しています。和食は出汁で味わいが大きく変わる料理です。より出汁にこだわりたい方や、風味豊かな出汁を楽しみたい方は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
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軟水と硬水は目的によって使い分けよう!
軟水と硬水はそれぞれの特徴を生かし、目的によって使い分けましょう。たとえば日本茶や出汁、豆腐作りなどは軟水が向いています。健康や美容のためにミネラル類を取りたい場合や牛肉を煮込むときは、硬水がおすすめです。
また、日本の水は軟水ですが、地域によってはミネラルが多く含まれています。より硬度の低い軟水を使いたい方や水道水をそのまま飲むのが苦手な方は、浄水器を使うと良いでしょう。
クリンスイでは、さまざまなタイプの浄水器をご用意しています。ライフスタイルや目的に合わせて、自分に合った浄水器を選択することが可能です。低コストでおいしい水をたっぷり飲みたいなら、浄水器を活用してはいかがでしょうか。何が合っているのか調べ方については以下をご覧ください。
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【参考文献】
※1 一般社団法人全国清涼飲料連合会|ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン
※3 厚生労働省|『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』|マグネシウム
※4 厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020 年版) 「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
※5 東京大学|あなたの水道水、「硬さ」調べました ~ 日本全国水道水の硬度分布 ~
※6 厚生労働省研究班(東京大学医学部藤井班)監修|Q16.「最近、抜け毛が多くて気になります。」
【監修者】 合田 麻梨恵
管理栄養士・和食ライフスタイリスト
一般社団法人日本和食ライフスタイリスト協会理事代表。初めての海外訪問時に日本との素材の違いに驚愕し”和食の魅力”に目覚める。「和文化継承と予防医学発展を」をテーマに企業・自治体の健康経営支援やイベント企画、予防医学×食の専門家”和食ライフスタイリスト”養成、メディア出演、監修など多数。