日本の水道水は安全性が高いとされているものの、残留塩素や発がん性の疑いがあるトリハロメタンなどが含まれていることから、そのまま飲むのは躊躇(ちゅうちょ)してしまう方も多いのではないでしょうか。
このような場合には、水道水を沸騰させる方法が有効です。ただし、煮沸時間が短いと有害物質が増えてしまう可能性がありますので、安全に飲むには正しい方法を知っておく必要があります。
今回は水道水を沸騰させる効果や注意点、より安全に水を飲む方法などを紹介します。
INDEX
水道水を沸騰させれば安全に飲めるのですか?
水道水を煮沸させると、「トリハロメタン」という有害物質を取り除くことができます。さらに水道水の殺菌効果も期待できるため、煮沸した水道水は安全に飲めるといえるでしょう。※1
ただし、中途半端に煮沸するとかえってトリハロメタンが増えてしまうケースがあります。トリハロメタンは沸騰してから10〜15分程度で一時的に濃度が上昇する性質があるため、十分な時間沸騰させることが肝心です。※2
水道水の煮沸方法については、こちらの記事でも解説しています。
トリハロメタンとは
トリハロメタンとは浄水するときに、消毒剤である塩素と水に含まれているフミン質などの有機物質と化学反応して生成される物質です。
トリハロメタンには複数の種類がありますが、その中でも健康への影響が懸念されるクロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4物質の総量を「総トリハロメタン」といい、水道水質基準によって含有量の上限値が設定されています。
トリハロメタンについては、こちらの記事でも説明しています。
水道水のトリハロメタン基準
日本の水道水質基準では、総トリハロメタンの基準値が「0.1mg/L以下」と定められています。※3 東京都水道局では総トリハロメタンの濃度がこの基準値の「50%以下」になることを目指しており、水道水のさらなる安全性向上に努めています。
このように、水質基準では生涯にわたって水道水を摂取しても健康に影響が出ないよう、各物質の上限値が設定されているのです。それでも、安全性を考えるとできるだけ有害物質は除去したいと考える方が多いでしょう。
煮沸以外のトリハロメタンを取り除く方法
水道水を煮沸する以外にも、活性炭フィルターを使用した浄水器でもトリハロメタンを除去できます。
活性炭とは、ヤシの実の殻などに特殊な高温処理を施し、微細な穴をあけて比表面積を大きくした炭のことです。活性炭は、この表面の穴にさまざまなものを取り込む性質を持っており、水道水に含まれるトリハロメタンを吸着してくれます。クリンスイ製品によるトリハロメタンの除去効果は、浄水器協会(JWPA)で定められた規格基準に沿った試験でも認定されているのです。
クリンスイの浄水器では、この「活性炭フィルター」に加えて、高精度のポリエチレン中空糸膜を使った「中空糸フィルター」を使っています。トリハロメタンはもちろんのこと、にごりや雑菌、マイクロプラスチックなどをしっかり除去出来るのが特徴です。
一方で、カルシウムやマグネシウムといった水道水に含まれるミネラル成分は、活性炭や中空糸の穴よりも小さいため、浄水器を通しても除去されません。クリンスイの浄水器は、不純物のみを確実に取り除き、水本来の風味をそのまま味わうことが可能です。
浄水フィルターについては、こちらの記事をご覧ください。
水道水を沸騰すれば美味しく飲めるのですか?
水道水には、原水に含まれる病原性微生物を消毒するために塩素が使われています。安全に水道水を飲むために欠かせない行程ではありますが、塩素は「カルキ臭」の原因になるため、水道水をそのまま飲むことに抵抗がある方も多いのではないでしょうか。水道水をよりおいしく飲みたい場合にも、煮沸が有効と考えられます。
水道水を沸騰させると、塩素を取り除いてカルキ臭を軽減させることができます。トリハロメタン濃度が上昇するのを防ぐため、十分な沸騰を続けてください。煮沸した水は冷蔵庫で冷やすと、よりカルキ臭を感じにくくなるでしょう。※4
また沸騰させた水道水は腐るといわれていますが、沸騰させた後は雑菌が繁殖しやすくなっているので、できるだけすぐに飲み切りましょう。水道水を沸騰させて湯冷ましさせたものを白湯といいますが、白湯についてはこちらの記事でも触れていますので参考にしてください。
塩素とは
塩素はダムや川、井戸など自然の水を安全に飲むため、病原性微生物を殺菌する目的で使われます。消毒効果が大きく、大量の水に対しても消毒効果を長く維持できることから、日本の水道法では塩素による消毒が義務付けられているのです。
東京都では1922年に水道水への塩素注入を開始し、その結果、乳児の脂肪率やコレラ、腸チフスといった水を通して伝染する病気の患者数が激減しました。※5 この通り、塩素による消毒は水道水を安全に口にするために欠かせない工程なのです。下記の記事も参考にしてください。
水道水の残留塩素基準
残留塩素とは、蛇口から出てくる水道水中に残存している塩素量のことです。水道水の安全性を保つため、水道法では蛇口で検出される残留塩素濃度を一定基準以上に保つよう定めています。
日本では、残留塩素濃度を「0.1mg/L以上」と規定しています。一方で、残留塩素が多いとカルキ臭が強くなり、味わいに影響を与えることから、蛇口での残留塩素濃度「1mg/L以下」に抑えるという水道管理目標値も設定されています。
また、WHOのガイドラインでは人体に影響を与える残留塩素濃度は「5mg/L以下」とされており、日本の水道水質基準は安全性のレベルを満たしているといえるでしょう。※5
煮沸以外の残留塩素を取り除く方法
残留塩素を取り除く方法としては、活性炭フィルターを使用した浄水器の使用も有効です。前述でも説明した通り、活性炭には表面の穴にさまざまな物質を吸着する性質があり、トリハロメタンだけでなく残留塩素やカルキ臭も除去してくれます。
クリンスイ浄水器は家庭用浄水器試験方法(JIS S 3201)により、遊離残留塩素ろ過能力試験を確認しております。また活性炭フィルターに加えて「中空糸フィルター」が使用されており、赤サビや雑菌、鉛、アルミニウムといった不純物を取り除くことが可能です。より安全性が高く、おいしい水を作り出してくれます。
浄水フィルターについては、こちらの記事をご覧ください。
水道水の煮沸だけでは除去できない物質もある
水道水を煮沸すると、より安全でおいしい水を楽しめます。もちろんすべての不純物を除去できるわけではありませんが、陰イオン界面活性剤、フェノール類、ジェオスミン、鉄なども除去対象に含まれています。
クリンスイの浄水器はほかにも、見た目に影響する濁りや人の健康に影響するといわれているテトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ベンゼンなどの除去対象物質にも有効です。
クリンスイ製品の除去対象物質は、こちらから確認できます。
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水道水・ミネラルウォーターどちらが良いの?
安全でおいしい水を求める方のなかには、水道水とミネラルウォーターのどちらを選べばいいのか迷った経験がある方もいるでしょう。どちらも安全性が高い水ですので、好みの水を選んで問題ありませんが、水道水にはミネラルウォーターにはない「3つの真実」があるのです。詳しくは以下の記事をご確認ください。
このほかにも、ミネラルウォーターより水道水がおすすめである理由がありますので、詳しく解説します。
検査項目が異なる
ミネラルウォーターと水道水では、水質の検査項目が異なります。
ミネラルウォーターは食品衛生法第13条に基づく「食品、添加物等の規格基準」によって水質基準が規定されています。※6 ミネラルウォーターの水質検査項目は種類によって異なりますが、19~48の項目(スズも含む場合)があります。
一方、水道水の検査項目は水道法によって規定されます。検査項目には水質基準項目(51項目)、水質管理目標設定項目(27項目)、要検討項目(46項目)があり、実はミネラルウォーターよりも多くの検査項目によって安全性が厳しくチェックされているのです。
法律が異なる
ミネラルウォーターは「食品衛生法」において「水のみを原料とする清涼飲料水」と定義され、原水の種類と製造方法により「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター」の4種類に分類されています。同法では食品ごとの規格基準が設けられており、ミネラルウォーターの検査項目もこの基準に基づいて規定されているものです。※7
一方、水道水の検査項目は「水道法」により定められています。蛇口から供給される水道水の安全性を保つための法律であり、水道事業者に対して水質検査を義務付けています。※8
源泉は同じ
適用法や検査項目が異なるものの、実はミネラルウォーターと水道水の源泉は同じものです。
ミネラルウォーターは主に湧水や汲み上げた地下水など、自然の水を源泉としています。水道水の源泉は、主にダム湖や河川などの地表水です。これらの地表水の水源は雨や雪、そして地下水ですので、どちらも同じ水を源泉にしているといえます。
源泉については、こちらの記事でも解説しています。
ミネラルの含有量
「ミネラルウォーター」という名前から、ミネラル成分が豊富に含まれている印象があるかもしれませんが、実は水道水も負けず劣らずミネラルが豊富です。
ただし、水道水のミネラル含有量は地域によって異なります。水道水中のミネラル含有量が多い地域では、ミネラルウォーターより水道水の方がナトリウムやカルシウム、マグネシウムが多く含まれているケースもあるのです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
水道水の煮沸で安全に美味しく飲める!正しい沸騰時間で危険を回避
水道水を沸騰させると、有害物質であるトリハロメタンを除去できます。また、カルキ臭の原因である残留塩素も取り除けるため、水道水をよりおいしく飲むことができるでしょう。ただし、煮沸時間が短いとかえってトリハロメタンが増加してしまう可能性があります。十分な煮沸を続け、安全な水を楽しんでくださいね。
より安全で美味しい水道水を飲みたいなら、クリンスイの浄水器がおすすめです。煮沸では取り除けない金属類や有機化合物などを除去でき、安全な水を手軽に楽しめます。
こちらの記事では、さまざまな製品の中から自分のライフスタイルに合った浄水器を選ぶことができますので、ぜひ参考にしてくださいね。
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【参考文献】
※3 あんぜん・あんしん水質指標 | 水源・水質 | 東京都水道局
※6 ミネラルウォーター類 | 水源・水質 | 東京都水道局
みずはかせ
1997年より三菱ケミカル愛知研究所でクリンスイ製品の開発・評価・研究開発に携わる。フォークリフト運転免許と華道正教授の免許を持つ。