2024.01.12

体にいい飲み物とは?
水の役割と水以外の飲み物

私たちの身の回りにはたくさんの飲み物がありますが、体が喜ぶ飲み物は何なのでしょうか?適度な水分補給は健康のために非常に大切ですが、飲み物なら何でも同じというわけではありません。

今回は人の体における水の役割や、おすすめの飲み物、飲み方を紹介します。身近にある体にいい飲み物を知って、日々の生活に活かしましょう。


人の体に不可欠な飲み物である水の役割

水分補給は大切だと知っていたとしても、理由を説明するのは難しいでしょう。ここでは、人の体に水が必要な5つの理由を紹介します。水の大切さを知って、健康と水分補給への意識を高めましょう。

生きるため

私たちの体は約60%が水分でできています。たとえば、体重60kgの成人であれば約36kgが水分ということになります。体の水分は普通に生活しているだけでも汗や尿などとして1日に約2.5L失われてしまうため、その分を補給しなければなりません。※1

もし水分が不足してしまうと、体は健康な状態を維持できなくなってしまいます。具体的には、5%失うと脱水症状や熱中症の症状が現れ、10%失うと筋肉のけいれんや循環不全などが起こり、20%失えば、生命の維持が困難になるといわれています。※1

つまり、水は人が生きていくためになくてはならない存在なのです。喉が渇いてから水分を補給するのは遅いので、喉が渇く前からこまめな水分補給が望まれます。

栄養を運ぶため

体内にある水分のうち、約3分の1は血液や細胞外液として存在し、さまざまな組織に栄養や酸素を運ぶ役割を担っています。※2

私たちが食べたものは、水を介して吸収しやすい栄養素に変換され、体のすみずみまで運ばれます。要するに、水のおかげで摂取した栄養分が体内にしっかりと行き届くのです。

栄養は子どもが健やかに成長したり、健康で幸福な生活を送るために欠かせません。適正に栄養を摂ることは、日々の生活の質(QOL)にも深く関わります。「水には栄養が無い」と思っている方もいるかもしれませんが、栄養摂取のために重要な役割を果たしているのです。

不要なものを体外へ出すため

水は必要な栄養素を運ぶだけでなく、尿や便、汗として老廃物を体外に出す働きもあります。老廃物は体にとって不要になったものの総称で、十分排出されないと、体内に有害なものが溜まってしまい健康な状態を維持できません。

老廃物は血液に溶けた状態で腎臓でろ過され、尿として排出されます。ろ過量は体内の水分の5倍量とされており、1日約180Lが腎臓でろ過され、途中必要な成分は尿細管で再吸収されながら、最終的には1.5L程度まで濃縮されるのです。※2 老廃物の排出により、体は新陳代謝が促進され健康な状態を保ちやすくなります。水は、この過程の中で重要な役割を担っているのです。

また、水分を摂取すると、排尿や排便が促され老廃物が排出されやすくなります。

体温を適度に保つため

水は、体温を適度に保つ役割を持っています。体内では、さまざまな栄養素が水に溶けた状態で化学反応を起こし、細胞活動を維持することで体温が調節されます。水は温まりにくく冷めにくいという性質を持っているため、人の体温は常に37度程度に保たれるのです。※2

また、運動などで体温が高くなると汗をかきます。これは、汗が体の表面で蒸発するときに熱が奪われることで、体温が上がりすぎるのを防ぐという仕組みによるものです。汗の成分のほとんどは水であるため、発汗による体温調節には水が不可欠といえるでしょう。

なお汗には温熱性発汗、精神性発汗、味覚性発汗といった種類があります。このうち体温調節として働くのは温熱性発汗であり、全ての汗が体温調節のために排出されるわけではありません。

生活習慣病の予防

水は、脳梗塞や心筋梗塞といった生活習慣病予防においても大切な存在です。血液の主成分は水であり、水分不足になると血液が濃縮されいわゆる「ドロドロ」の状態になってしまいます。そうなると血栓ができやすくなり、さまざまな健康障害のリスクが上がるのです。

また、腎臓には体の水分量を調節する働きがあるため、体内の水分が不足すると腎臓に負担がかかります。腎結石・尿管結石、慢性腎臓病の予防のためにも、水分補給は重要です。

汗をかきやすい夏場に限らず、人の体からは毎日2.5L程度の水分が失われています。そのため、特にのどの渇きを自覚にしくくなる冬場は注意が必要です。またアルコールやカフェインを多く含む飲み物は、利尿作用があるため水分補給には適していません。健康状態に不安がある方は、特に水分補給の方法に注意しましょう。


体にいい飲み物と選ぶ理由

体の健康のためには水分補給が大切ですが、飲み物なら何でもいいというわけではありません。体にいい飲み物とその理由を知っておきましょう。

水を飲むと便がやわらかくなり、排便が促進されます。※3 また水分不足により脱水症や熱中症をはじめ、心筋梗塞・脳梗塞といった血管障害につながる可能性があるといわれているため、水は体に不可欠です。※4

以下の記事も参考にしてください。

白湯

白湯(さゆ)とは、一度沸騰させ飲みやすい温度まで冷ました水のことです。白湯に対し、沸騰させたものは一般的に”お湯”と呼びます。

白湯は、ほんのり温かい程度の温度(50~60度)で飲むのが理想的です。適度な温度の白湯を飲むことにより、体が温まってリラックスできるだけでなく、腸に溜まった便をやわらかくして排便をスムーズにしてくれる働きもあります。※4

白湯を飲むメリットや作り方については、こちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。

レモン水

レモン水が体にいいと考えられる理由は、レモンにはビタミンC(アスコルビン酸)が含まれているからです。体内に活性酸素が過剰に増えると、細胞が傷つけられがんや生活習慣病のリスクが高くなります。ビタミンCは、そんな活性酸素の発生や働きを抑制する抗酸化作用を持つため、レモン水からビタミンCを摂取することで健康の維持につながるのです。※5

また、傷の回復に必要なたんぱく質の1つであるコラーゲンの生成や鉄分の吸収促進、免疫系の働きを助ける作用があるのもビタミンCの特徴です。※6 肌を健やかに保ち、活き活きと生活するためにもレモン水を飲むといいでしょう。ただし、ビタミンCを過剰摂取すると下痢や吐き気などの不調を引き起こす可能性があるため、飲みすぎないよう注意してくださいね。

麦茶

夏場の水分補給として一般的な麦茶は、焙煎した小粒大麦、大粒大麦やはだか麦などから作られます。コーヒーや緑茶のようにカフェインが含まれておらず、妊娠中の方や赤ちゃんでも飲めるほど体に優しいのが特徴です。年代や時間帯を問わず飲めるのは大きなメリットといえるでしょう。

麦茶には、カテコールやゲンチシン酸といったポリフェノール類が含まれており、抗酸化作用があります。そのほか抗炎症作用、胃粘膜保護作用、糖尿病副作用の改善などもあるとの研究報告も少なくありません。※7 

また麦茶の香りは快適感を高め、体を覚醒させつつ気持ちを落ち着かせる働きもあるとされています。※7 麦茶は喉の渇きを潤すだけでなく、気持ち良く1日をスタートさせるのに役立つでしょう。

お酢ドリンク

お酢が持つ爽やかな酸味は嗅覚と味覚を刺激し、消化液の分泌を促すことで食べ物の消化吸収を良くしてくれます。またお酢の主成分である酢酸の働きには肥満防止や血圧上昇防止につながるともいわれています。※8

さらに酢酸は乳酸菌などと同じように、腸内を酸性にして悪玉菌の増殖を抑えるため、食中毒菌や病原菌の感染を予防し、腐敗産物を作りにくい腸内環境にしてくれます。※9 良好な腸内環境になると腸の蠕動促進にもつながり、便通を正常化するのにも役立つでしょう。

昨今では、お酢のツンとした匂いが苦手な人でも飲みやすいお酢ドリンクが多く出回っています。飲みやすいお酢ドリンクには、腸内環境悪化の原因となる糖質が含まれているため注意しましょう。


おすすめの飲み方

飲み物は、「飲みたいときに」「飲みたいだけ」飲むのが基本ですが、体への影響を最大限引き出すためにはいくつかのポイントがあります。ここでは、より健康的に摂取するためのおすすめの飲み方を紹介します。

温度を調整する

夏場はつい冷たい飲み物を飲みたくなりますが、冷たすぎる飲み物は体への負担が大きいため温度にも気を配りましょう。冷たい飲み物ばかりを飲んでいると、体が冷えたり代謝が落ちたりして、不調の原因となる場合もあります。体への負担を軽減するためには、なるべく常温に近い飲み物がおすすめです。白湯のように、飲みやすい温度まで冷ましてから飲むのもいいでしょう。ただし、熱中症の場合は冷たい飲み物を飲むことで体の熱を下げるとともに、脱水の補正も可能です。以下の記事も参考にしてください。

少しずつこまめに飲む

一度に大量の水を飲むと、体が上手く吸収できず負担がかかってしまうため、少しずつこまめに飲むことを意識しましょう。

アメリカでは、コンテスト中に大量の水を飲んだ参加者が水中毒で死亡するという事例が発生しました。水中毒とは、大量に水を飲むことで体内の塩分濃度が低下する病態です。頭痛や嘔吐、呼吸困難などの症状がみられ、血清ナトリウム濃度が125mEq/L以下になると、意識障害などの中枢神経症状が現れます。※10

日常生活で水中毒になるほど大量に飲んでしまう可能性は低いですが、体への負担を軽減するためには、一度にたくさん飲むのではなくこまめに水分補給をしましょう。以下の記事も参考にしてください。

喉が渇く前に飲む

喉の渇きは、既に体内の水分が不足しているサインです。そのため、喉が渇く前から水分補給を行います。寝る前後や運動中、入浴前後、飲酒後など水分が不足しがちなタイミングは、特に意識して飲みましょう。※1

また高齢者は喉の渇きを感じにくく、夏場はもちろん冬場も水分補給が不足し脱水になる傾向があります。夜間のトイレや失禁などを気にして就寝前の水分補給を控えている人もいるかもしれませんが、気付かないうちに脱水になることがあるため、喉が渇いていなくてもコップ1杯の水を飲むようにしましょう。

水分不足で起こる脱水症の症状や予防方法を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。


体にいい飲み物の基本は水の補給!

人の体の約60%を占める水は、栄養を運んだり老廃物を排出したりと生きていくために重要な働きを担っています。水が不足するとさまざまな健康障害につながるため、こまめな水分補給を心がけましょう。

体にいい飲み物としては、ジュースやコーヒーではなく水がおすすめです。水道水でもかまいませんが、抵抗のある方はクリンスイの浄水器を使ってみましょう。

浄水器があれば、少ないコストでミネラルや水質基準の高い水を飲めます。クリンスイには蛇口直結型やポット型、ビルトインタイプなどさまざまな浄水器があるため、自身のライフスタイルに合ったものを探してみましょう。

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関連リンク

【参考文献】

※1 厚生労働省|健康のため水を飲もう講座

※2 千葉県営水道|その12体内の水の働きと水を飲むことについて

※3 厚生労働省|便秘と食習慣

※4  厚生労働省|「健康のため水を飲もう」推進運動

※5 厚生労働省|活性酸素と酸化ストレス

※6 厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』|ビタミンC

※7 科学・技術研究 第10巻1号 2021年|嗜好飲料として注目されている麦茶の成分と機能

※8 酒類・発酵食品の機能性|酢の機能性について

※9 厚生労働省|e-ヘルスネット|腸内細菌と健康

※10 一般社団法人北海道薬剤師会 公式サイト|水中毒とは

髙橋 麻紀(たかはしまき)

正看護師歴27年。都内の総合病院を中心に、脳外科・循環器内科・ICUなど幅広い経験を積む。出産・子育てをきっかけに転居し、看護師パート&在宅Webライターとして活動を開始。交通事故後の皮膚トラブルをきっかけに、食と健康のつながりにも興味が湧き、クシマクロビティックスクールで学びを深める。YMAA認証・化粧品検定2級・認定フェムテックアンバサダー・クシマクロビオティッククッキングアドバイザーの資格を保有。

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