白湯は”湯冷まし”とも呼ばれ、昔から薬を飲むときに一緒に飲むものとしても使われてきました。水を温めて冷ましただけなので、病気の人や新生児でも飲めます。白湯は、口当たりが良く飲みやすいのが特徴です。
また白湯は体を内側から温めてくれるので、健康や美容に関するさまざまな影響が期待されています。今回は白湯とはなにか、作り方や期待できるメリット、おすすめの飲み方などをご紹介します。
白湯とは
一般的に、飲み物としての白湯は「さゆ」と読む場合が多いですが、「しらゆ」とも読みます。水を一度沸騰させてから、飲める程度の温度に冷ましたものです。水に何も添加せず沸騰させただけの白湯は水分摂取にも適しており、水分摂取は生命維持に関わるため体がよろこぶ理由でもあります。
この他にも白湯の読み方は多数あり、使用するシーンによって変化するのです。
なぜ読み方が異なるのか
文脈によって白湯が指すものが異なるため、読み方も異なります。
上記の他にも「パイタン」と読む場合もありますが、さゆやしらゆとは全く別物です。パイタンは鶏ガラや豚骨などを長時間煮込んで仕上げる白濁したスープをいいます。ラーメンや鍋のスープとして有名で、飲食店などのメニューで目にする機会が多いでしょう。
また「はくとう」と読む場合もあります。何も混ざっていないお湯を指し、薬湯に対して、普通の入浴用の湯を指す場合にも使用されているのです。
このように、白湯の読み方は「さゆ」「しらゆ」「パイタン」「はくとう」の大きく4つあり、それぞれで意味が異なります。
白湯とお湯の違い
白湯とお湯の違いは、”一度沸騰させたものかどうか”で区別するのが一般的です。
白湯……一度沸騰させた水を、飲みやすい温度まで冷ましたもの
お湯……食品添加物公定書の定義では60〜70℃が温水、約100℃以下が熱水
つまり、水を約60度以上に温めたものが”お湯”で、そのなかでも一度沸騰させたものは”白湯”と呼びます。
水道水を沸騰させずに温めただけのお湯だと、残留塩素などが残っている可能性もあります。しかし、浄水を使用して作られた白湯なら、残留塩素やトリハロメタンが取り除かれるのです。
白湯と温泉の違い
白湯とは、水を沸騰させて冷ましたものです。また、明確な温度の定義もありません。そのため入浴に使用するのか、それとも飲み物として楽しむのか、用途や目的によって適温が変わります。
一方で温泉は、地中から湧き出る温水や鉱水、水蒸気やガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)であり、温度が25度以上又は指定成分を一定量以上含むものと「温泉法」で定義されています。※1
また沸騰させたお湯を人肌程度に冷ました「白湯風呂」があり、温泉と間違われる場合も少なくありません。お湯に浸かるという点ではどちらも同じですが、それぞれ異なります。
【簡単】美味しい白湯の作り方
白湯の作り方は、水道水を使うか浄水を使うかによって異なります。
水道水:やかんや鍋でしっかりと沸騰させる
浄水 :電子レンジやケトルで温めるだけでもOK
のちに詳しく解説しますが、体を内側から温められることが、白湯を飲むメリットです。体を温めてリラックスすることで血行が良くなる、水分で便がやわらかくなり排便がスムーズになるなど、さまざまな利点があると考えられています。
白湯に適している温度
白湯を飲んだときに、喉や胃のあたりが「ほんのり温かく感じる」程度が適温です。食品添加物公定書の定義では温水といわれる温度は60〜70℃なので、それを超えない温度が飲みやすいでしょう。温水や熱水のまま飲むと、火傷をする可能性もあるので注意が必要です。※2
やかんや鍋で沸騰させる作り方
まず、やかんや鍋に水道水を少し多めに入れます。フタをして、強火で沸かしましょう。お湯が沸いて泡がフツフツと立ってきたら、フタを外してください。そして、少し火を弱くして、空気に触れさせながら10~15分程度沸かします。ただし、煮沸するとトリハロメタンの濃度が増えることもあるので注意が必要です。
お湯が沸いてすぐにはトリハロメタンが蒸発しないので、少し時間はかかりますが、沸かし続けることが肝心です。しっかりと沸かしたら、火を止めて飲んで温かいと感じる温度まで冷ましましょう。詳しくは以下の記事も参考にしてください。
電子レンジで温める作り方
電子レンジOKのコップに200ml程度の水を注ぎ、電子レンジに入れてください。600Wならば1分半、500Wならば2分ほど温めるのが目安です。わざわざやかんや鍋で沸かす時間がない人でも、飲みたいときにすぐ飲めるおすすめの方法ですよ。
※電子レンジのメーカーやコップの熱伝導によって温まるエネルギー値(W)や時間は異なるため、あくまでも目安としてください。
ポットで温める作り方
浄水なら、ポット、電気ケトルでも白湯を作れます。沸騰させるタイプのケトルであれば沸騰させ、温度設定ができるタイプであれば、飲みたい温度に近い温度に設定して加熱のスイッチを押してください。そして、飲み頃の温度まで冷ませば白湯のできあがりです。
また、水道水をやかんや鍋でたくさん沸かしておき、ポットで再加熱したり、保温マグに入れておいたりするのもおすすめです。飲みたいときにすぐ白湯が飲めて便利ですよ。
IHでも白湯は簡単に作れます。基本的な作り方は火を使った方法と同じですが、必ずIH対応のやかんや鍋を使用しましょう。IH対応のやかんや鍋に多めの水を入れてフタをし、強火で沸かします。泡がフツフツとしてきたらフタを外して弱火で10〜15分程度沸かし、飲みやすい温度まで冷まして完成です。手軽かつ時短に白湯を作りたい方は、ぜひご自宅でお試しくださいね。
【正しい白湯の飲み方】1日コップ2杯、タイミングは朝寝起きと夜寝る前
厚生労働省でも「健康のため水を飲もう」推進運動を行っており、”目覚めの一杯 寝る前の一杯”で、毎日コップ一杯の水をこまめに補給することをすすめています。白湯を飲むのも同様で、1回につきコップ1杯(200ml)程度を起床時と就寝前に飲むのがおすすめです。※3
朝起きたら、適温になった白湯をこまめに飲むのが理想的です。そうすることで、体温を上げて心身ともにリラックスでき、血行を良くする助けとなるでしょう。朝は忙しい人も多いですが、ゆったりとした時間を持って体と向き合う時間を作れると良いですね。
夜寝る前も、白湯を飲んでみてください。冷えたときほど体に温もりが宿り、ほっとします。白湯の温度が冷めないように、保温カップを使うのも良いですね。
毎日白湯を飲むメリット・健康への影響
白湯を飲むことで体が温まり、糖質や脂質を含まないため水分補給として適しています。
ぽっこりお腹の解消
水分補給をすると、便が柔らかくなり排便がスムーズになるといわれています。※4 便秘によってぽっこりお腹になっている人は、便が排泄されると解消できる可能性が高まるのです。白湯は水を温めただけなで、水分補給には向いているといえます。
肌の水分補給
皮膚の乾燥は角質層の水分量低下によって起こるため、角質層のバリア機能を高めると肌の水分を保湿できると考えられています。※5 その方法はいくつかありますが、体全体の水分量が少ない場合には、生きるために必要な水や水を温めて冷ましただけの白湯による水分補給も大切です。
血行の促進
冷えは副交感神経の活動が小さく、体の末端の血流が悪くなると起こりがちです。※6 体を温めてリラックスすることで、副交感神経は優位になります。白湯をゆっくりと時間をかけて飲むことは体を温めるため、そして心身をリラックスさせるために効率的といえるでしょう。
むくみ知らずの体に
水分補給すると、老廃物を排泄しやすい体内環境を作ることに役立ちます。※4余計な水分や老廃物がたまってしまうと、むくみが生じることを知っている人もいるでしょう。
水分補給をすることで便が柔らかくなるため、老廃物の排泄を促してくれる働きがあると考えられます。白湯は水を温めたものなので、水分補給に適しています。
ダイエットへの影響はある?
白湯を飲んだからといって、体重が減ることに直結はしません。しかし、ダイエットに適した腸内環境を整えたり、基礎代謝を上げたりすることには役立つでしょう。また、すっきりした体の土台づくりには一役買ってくれるはずです。
先にお伝えしたように、体に余計な水分や老廃物をため込み、太って見えてしまうケースもあります。そのような場合は老廃物の排泄を促しましょう。そうすることでむくむ理由がなくなり、痩せて見える可能性があります。
飲みすぎは注意!タイミングも重要
白湯を飲み続けた結果、お腹がゆるくなったり、頻尿になったりするケースもあるので気をつけたいところです。白湯を飲む場合は、以下の2つのポイントに注意しましょう。
毎日コップ1杯程度を飲む場合
水を温めただけの白湯を飲むと、水分補給につながるので腸に溜まっていた便が排泄しやすくなる方もいます。ぽっこりお腹が解消されたり、適切な体重管理ができるようになったりと、健康的なダイエットを目指せるでしょう。※4 ただし、飲むタイミングや摂取量、体質などによっては頻尿になるケースもあるので注意が必要です。まずは毎日コップ1杯程度から始めてみると良いでしょう。
また、寝る直前にたくさん飲んでしまうと、夜中にトイレに行きたくなり目が覚める原因になるかもしれません。睡眠不足や睡眠の質の低下につながるので、寝る約30分前までに飲んでおくのがおすすめです。
1日に多く飲む場合
体に良さそうだからといって、飲みすぎは禁物です。厚生労働省が提唱している、1日に必要な水分摂取量2.5Lのうち、食事中の水分や体内でつくられる水の量は1.3Lのみです。※7 意識してこまめに水を飲まない結果、1.2Lの不足になってしまうのです。
しかしながら、その必要量を性・年齢・身体活動レベル別に算定するための根拠は、いまだに十分には整っていません。※8 残りの分を飲み物で補給する必要がありますが、むやみやたらと水を飲んではいけません。白湯を飲むときはゆっくりと少しずつ飲み、がぶ飲みや飲みすぎは避けましょう。過度に飲むと、おなかを壊すこともあります。
白湯のおすすめアレンジ方法
白湯を飲みたくても、水を飲むのが苦手な人もいるでしょう。そのような人に試していただきたいアレンジ方法をご紹介します。
・ショウガを入れる
白湯にスライスしたショウガを2~3枚入れてみてください。市販のチューブタイプのすり下ろしたショウガでもOKです。スッキリとした良い香りがします。
・ハチミツを入れる
1杯の白湯に対して、小さじ1杯のハチミツを入れて飲みましょう。ほんのりとやさしい甘みが加わり、飲みやすくなります。
・レモン果汁を入れる
レモンを搾り、果汁を数滴入れてみてください。または、市販のレモン果汁でもOKです。さっぱりとした良い香りがします。
・オリーブオイルをたらす
白湯にオリーブオイルを適量たらし入れてみましょう。白湯の温かさでオリーブオイルの香りが立ちのぼります。数滴程度ならば、油っぽさはほとんど感じずに飲めますよ。
・ミント
白湯にミントの葉を数枚入れると、さわやかな香りがします。胸いっぱいに吸い込み深呼吸をすれば、リラックスにもつながるでしょう。
まとめ
白湯はぜひ毎日飲みたいですが、水道水からだと、沸騰させてトリハロメタン等を除去する手間がかかります。面倒なことはなかなか続けづらいものですよね。浄水器を使えば、残留塩素やトリハロメタンを除去し水道水よりもより美味しく安心して飲める水を手軽に利用できます。
クリンスイには浄水機能の付いたポットや水道直結型浄水器、ビルトインタイプ型浄水器などさまざまなタイプがそろっています。お好みのタイプをライフスタイルに合わせて使えるため、とても便利です。
また、クリンスイの浄水器は活性炭のほかに独自の「中空糸膜フィルター」を搭載。そのため、塩素や赤さび雑菌といった微粒子もしっかり除去し、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを残すことも特徴の一つです。定額制のクリンスイウォーターという浄水型ウォーターサーバーもあります。浄水器のある生活で、水をおいしく飲む習慣を取り入れてみては
【参考文献】
※1 環境省|温泉の定義
※2 厚生労働省|A通則
※4 厚生労働省|便秘と食習慣
※5 南山堂|スキンケアの科学
【監修者】 福光 佳奈子(ふくみつかなこ)
漬け込み酒マイスター。「人生が豊かになる漬け込み酒プログラム」主宰。食や健康に関する執筆や監修、セミナー講師、ECサイトの運営などをしている。ベトナムのドンア大学にて「野菜薬膳」の特別講義を実施。メディア取材実績多数。著書に『体にうれしい果実酒・野菜酒・薬用酒200』(秀和システム)がある。保有資格は、野菜ソムリエプロ、薬膳インストラクター、睡眠コンサルタントほか。