2025.02.19

クリンスイ製品のデザイナー
柴田文江さんの最新プロダクト。後編

photo / Norio Kidera
text / Hitomi Takano
edit / Akio Mitomi

浄水器も、デザインの力で暮らしの道具に寄り添いたい。

「キッチンにある道具って、陶器やガラスなど、どちらかというと自然のものが多いですよね。フライパンやお鍋も人工的に作られたものではあるけれど、不思議と工業的な印象がなくて“暮らしの道具”というイメージ。クリンスイの浄水器はとても機能性の高いものだけれども、デザインの力でそういう暮らしの道具に寄り添いたいという気持ちがあります」

クリンスイ製品のデザインについて、そう話すのはプロダクトデザイナーの柴田文江さん。前編で聞いた蛇口直結型浄水器のデザインの話に続いて、後編では柴田さんがデザインに携わった浄水ポットやシャワーヘッドについて話を聞いた。

昨年発売された「ポットシリーズ クリンスイCP503」は、特に洗練された雰囲気でテーブルに置いておきたくなるような佇まい。その理由は、プラスチックらしい表情を上手に隠したデザインテクニックにあった。

「プラスチックは、普通に扱うととてもチープに見えてしまいます。だからこそ、ソリッド感があるような造形にするというのがとても重要でした。ただ、プラスチックは熱で作るのでどちらかというと膨らませた形で作る方がきれい。逆に、四角く作るのは難しいんです。そこで、ハリを持たせた造形にすることでリッチな質感に見えるように工夫しています。さらに曲線が美しいハンドルや丸みを抑えたフタのおかげで、柔らかい雰囲気はありつつもすっきりとしたデザインに仕上がりました」

そしてプラスチックの色も、リッチで洗練された印象を後押しした。プラスチックは若干紫っぽく見えてしまうが、少し色味を抑えることでガラスのような透明度に。内側はスモーキーなグレイッシュカラーにすることで、丸みのあるデザインが際立ち柔らかな印象を与えている。

「プラスチックは今ではあまり良いイメージではないけれど、こうやって大事に作ってあげることで、長く使いたくなるものになればと思っています。そのためにもプラスチックの特性を活かした造形で、ひとつの素材としてちゃんと形にしたいと思いました」

また、3月に発売した「浄水ウルトラファインバブルシャワー SM302」も柴田さんがデザインしたもの。内蔵したカートリッジで水道水に含まれる残留塩素を除去し、小さな泡のウルトラファインバブルを発生させ、肌の汚れをすっきりと洗い流してくれる。

「カラーリングも女性らしく軽やかな印象になりました。持ち手もヘッドもコンパクトで、女性でも握りやすいサイズ感になっています」

歴代のクリンスイ製品のデザインに携わってきた柴田さん自身、勤務先の大学で蛇口直結型浄水器を使っていたという。さらに昨年開催した「クリンスイ水喫茶室」に参加したことで、水への意識がより高まったと話してくれた。

「長年クリンスイ製品のデザインをさせていただいてきたけれど、改めて水をあんなに吟味して飲むことはなかったので、水の違いにとても驚きました。それ以来、日常でもよりお水にはこだわるようになりました」

アトリエでは浄水ポットを使用。コーヒーも浄水で淹れるし、自宅でお米を炊く時も必ず浄水を使っているという。「『クリンスイ水喫茶室』に参加したことで、こんなにいいものをデザインしてきたんだな、地球にも優しいプロダクトを作ってきたんだと、誇らしい気持ちに。改めて自身の仕事を振り返るきっかけにもなりました」


最新情報はクリンスイ水の編集部Instagramアカウントで @cleansui_knows

しばたふみえ

デザインスタジオエス 代表。エレクトロニクス商品から日用雑貨、医療機器、ホテルのトータルディレクションなど、国内外のメーカーとのプロジェクトを進行中。iF金賞、red dot design award(共にドイツ)、毎日デザイン賞、Gマーク金賞、アジアデザイン賞大賞・文化特別賞・金賞などの受賞歴がある。多摩美術大学教授、2018-2019年度グッドデザイン賞審査委員長を務める。著書『あるカタチの内側にある、もうひとつのカタチ』。

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