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47都道府県、“水の味”で読み解く食文化。前編
2026年6月6日、東京・大手町のKAITEKI CAFE PRODUCED BY Cleansuiで開催されたイベント「47都道府県、“水の味”で読み解く食文化」。三菱ケミカル・クリンスイと東京大学環境分析化学研究室による共同研究をもとに、日本各地の水の特徴や食文化との関わりについて紹介された。
2026.06.24
photo / Norio Kidera
text / Hitomi Takano
edit / Akio Mitomi
2026年6月6日、東京・大手町のKAITEKI CAFE PRODUCED BY Cleansuiで開催されたイベント「47都道府県、“水の味”で読み解く食文化」。前編では、全国約1,700地点におよぶ調査から見えてきた「水の多様性」について紹介した。
後編では、その違いが郷土料理や食文化にどのような影響を与えているのかに迫る。地域ごとに異なるだし文化や発酵食品、さらに実際に水を飲み比べる体験を通して、水と食の意外なつながりが見えてきた。

「食文化は、その土地の風土だけではなく、水とも深く結びついています」
「フーディストノート」や「おとりよせネット」など料理や食メディアを運営しているアイランド株式会社代表取締役の粟飯原理咲さんは、全国の料理家や生産者との交流を通して出会ってきた食文化に触れながら、地域ごとの味の違いについて語った。
その一例として挙げたのがおでん。関西のおでんは昆布だしのうま味を生かした澄んだ黄金色。一方、関東のおでんは濃口醤油を使い、具材の中までしっかり味が染み込んだ濃い茶色が特徴。
「私は、大阪出身なんです。初めて関東のおでんを食べた時は、『濃い!』って驚きました(笑)」
関西では昆布だしと薄口醤油を用い、素材の色や香りを生かした、澄んだ仕上がりが好まれる。一方で関東では、鰹節の香りと濃口醤油を組み合わせ、そばなど香りの強い食材にも負けない、輪郭のはっきりしたつゆが育った。
「関西は昆布を主役にした“引き算のうま味”。関東は鰹と濃口醤油による、香りとコクの力強いだしです」
このことを背景として、関西ではうどん文化、関東ではそば文化が根付いたという。
「関西にいた頃はずっとうどん派だったんです。でも関東でおそばを食べて、『こんなにおいしいんだ』って思うようにもなりました」。粟飯原さんの実体験を交えたエピソードに、参加者もうなずいていた。

ここで東京大学の堀まゆみ先生が、その違いを科学的な視点からひも解く。
「昆布は、軟水の方がうま味を引き出しやすいんです」
硬水に含まれるカルシウムが昆布の表面に膜を作り、うま味成分が抽出されにくくなるためなのだそう。料理人たちが経験的に受け継いできた知恵には、水質という科学的な裏付けもあった。
話題はさらに、硬度の高い沖縄へ。沖縄では泡盛や島豆腐、沖縄そばなど、独自の食文化が育まれてきた。その背景のひとつとして紹介されたのが、水の硬度だ。沖縄は琉球石灰岩の影響を受けるため、全国的に見ても比較的硬水の地域として知られている。硬水は豚肉をゆでる際のアクを取りやすくするなど、調理にも影響を与えるという。
「もちろん、食文化は水だけで決まるものではありません。でも、水もその土地らしさをつくる、大切な要素のひとつです」
気候や歴史だけではなく、水もまた、地域ならではの味を育んできた。身近な食文化を題材に水を考えることで、会場も興味深そうに耳を傾けていた。

後半には、参加者自身が水の違いを体感する時間も。クリンスイの浄水と水道水を飲み比べたほか、同じコーヒー豆を使って淹れたコーヒーも試飲。「まろやか」「後味が違う」「香りの印象が変わる気がする」など、それぞれが感じた違いについて、自然と感想を伝え合う様子も見られた。

質疑応答では、「地域によって水の味が違うのはなぜ?」「塩素は人体に影響しないの?」「季節によって水質は変わる?」といった質問も寄せられた。専門家たちの解説に、「なるほど」とうなずく参加者も多く、水への知識や関心がさらに深まった。

全国約1,700地点におよぶ調査から見えてきた水の多様性。その個性は、料理や食文化にも息づいている。普段何気なく飲んでいる一杯の水。その土地の水を知ることは、料理や暮らしを知ることにもつながっているのだろう。 研究成果を「知る」だけでなく、「味わう」ことで理解を深めた今回のイベント。前編で見えてきた水の個性は、食文化という新たな視点と結びつき、水の奥深い魅力をあらためて考えさせてくれた。
最新情報はクリンスイ水の編集部Instagramアカウントで @cleansui_knows