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熟成鮨の名店「すし㐂邑」の木村康司さん直伝、手軽に作れるおいしい手巻き鮨。
理想の酢飯を追い求め、米の硬さ、酢の入り方、さらには水の性質にまで向き合ってきた、東京・二子玉川「すし㐂邑(きむら)」の店主・木村康司さんに、家庭でも再現できる「酢飯」と、誰でも美しく巻ける「手巻き鮨の作り方」を教えてもらった。
2025.08.27
photo / Norio Kidera
text / Hitomi Takano
edit / Akio Mitomi
「噛めば噛むほど酸の旨みがにじみ出てくる。そんな酢飯が理想です」
そう語るのは、東京・二子玉川に暖簾を掲げ、熟成鮨の名店として知られる「すし㐂邑(きむら)」店主・木村康司さん。「鮨は咀嚼が大事」と木村さんは言う。噛むことで米と魚、酢が一体となり口の中で混ざり合う。つまり、シャリは咀嚼に耐えうる硬さを備えながらも、米の内側までしっかり酢が入っている必要がある。
「たとえば、口の中で酢飯と魚がばらけると刺身定食みたいになってしまう。ひとつにまとまって噛むほどに酸がじんわりと広がっていく。そんな鮨を目指しています」
それを叶えるために木村さんが注目したのは、意外にも「水」だった。
これまで、水道水や氷水、熱湯など、あらゆる水で米を炊き、浸漬時間や洗米温度の検証を重ねてきた。しかし、こだわり抜いたわりにはどれも「もう一歩」足りなかったという。
そんな時に出合ったのが、クリンスイのビルトイン型アルカリイオン整水器だった。
厨房に導入されたビルトイン型浄水器は、ハイグレード&大容量浄水カートリッジ搭載で、pH値を3段階から選べるのが特徴。すし㐂邑ではpH9前後の水で米を炊き、出汁やお茶にはpH9.5の水と使い分けている。
アルカリイオン水は水道水に比べて浸透力に優れ、食材本来の味を引き出す力が強い。アク抜きや、炊き込み時に使用することで柔らかくて粘りがあるおいしいごはんに*。アルカリイオン水は一気に水分が均等に浸透するため、全体がムラなくふっくらと仕上がる。
米がふっくら炊き上がることで、内部にさらに調味料が入り込む余地も生まれる。芯が残っている状態ではその“隙間”がなく吸収が妨げられるけれど、アルカリイオン水で炊いた米は、まるで真っさらなスポンジのように、調味料をしっかりと吸い込むことができる。
「水が浸透する時間が早いように感じました。だから浸漬時間もいつもより短くするなど調整を重ねて、今の酢飯ができました。5〜6年前のシャリより少しだけ柔らかいと思います」
それまで理想と考えていた“芯がないのにぱらっとしているシャリ”は、実際は水分が足りない脱水状態に近く、“尖った”印象のシャリだった。ある時、久しぶりの常連客からかけられた「相変わらずパサパサだね」という何げないひと言が深く心に刺さったという。
「見ないようにしていた部分を突かれた感覚でした。これでいいと思い込んでいたけど、本当にそうなのか?と、自分の酢飯を見直すきっかけになりました」
いかに米粒一つひとつに酢を浸透させるか。それが今のテーマだ。現在使用している米は、岩手県遠野市で栽培された「遠野4号」で、適度な硬さを保ちながらも、お酢をしっかりと吸ってくれる特性を持つ品種。アルカリイオン水で炊くことで、米の内部まで均等に水と酢が浸透し、噛むたびに酸と旨みがにじみ出る酢飯に仕上がる。
「お酢の量は変わらないけれど、水分量は多くなって理想の酢飯に近づいた感覚があります。ただ水分が多くて柔らかくなるのではなく、“水が入りやすく”なったという変化が大きい」
シャリが水をしっかり抱え込んで酢を浸透させ、魚の旨みと絡み合う。そして、食べ終えたあと口の中に残る余韻こそが、木村さんにとっての“完成された鮨”だ。
「最後のひと口まで鮨であり続けること。酸と魚の香りが一緒に戻ってきて、飲み込んだあとに『おいしかったな』と思えるかどうか。それが大切なんです」
最新情報はクリンスイ水の編集部Instagramアカウントで @cleansui_knows
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Instagram: @sushikimurakoji