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熟成鮨の名店「すし㐂邑」の木村康司さんがアルカリイオン水を使う理由。
そう語るのは、東京・二子玉川に暖簾を掲げ、熟成鮨の名店として知られる「すし㐂邑(きむら)」店主・木村康司さん。「鮨は咀嚼が大事」と木村さんは言う。噛むことで米と魚、酢が一体となり口の中で混ざり合う。つまり、シャリは咀嚼に耐えうる硬さを備えながらも、米の内側までしっかり酢が入っている必要がある。
2025.07.24
photo / Norio Kidera
text / Hitomi Takano
edit / Akio Mitomi
理想の酢飯を追い求め、米の硬さ、酢の入り方、さらには水の性質にまで向き合ってきた、東京・二子玉川「すし㐂邑(きむら)」の店主・木村康司さんに、家庭でも再現できる「酢飯」と、誰でも美しく巻ける「手巻き鮨の作り方」を教えてもらった。
「プロでも、シャリ切りは難しいものです」と語る木村さん。炊きたてのごはんに合わせ酢を混ぜる一般的な酢飯作りでは、酢のなじみにムラが生じたり、水分が多すぎてべちゃついたりと、混ぜるタイミングや切り方ひとつで仕上がりに大きく差が出てしまう。
そこで今回教わったのが、合わせ酢で米を炊く「酢炊き」という炊き方。
「この方法なら、酢がしっかり米の中に入り、味が安定して決まりますし、シャリ切りをしなくても味が均一になじみます」
今回使用したのは、赤酢と米酢、塩がバランスよくブレンドされた市販の合わせ酢。水と合わせ酢を加えて通常通り炊き上げるだけで、お店で食べるような赤酢の酢飯ができあがる。
米はやや硬めに炊き上げるのがポイント。そのためにも、米を研ぐ際には割れないように注意が必要だ。水の中で優しくかき混ぜる程度の加減で研ぐのがコツ。
炊飯中に酢の香りが飛んでしまうため、炊き上がりに少量の合わせ酢を振りかけて香りを立たせると風味よく仕上がる。
酢飯ができあがったら、巻き方もレクチャーしてもらった。
木村さんいわく、一番のポイントは「酢飯を入れすぎないこと」。目安は、握り鮨一貫分。少なめの方が巻きやすく、味のバランスも良い。
「市販の長方形の焼き海苔を3cmほどカットして使うと、巻いたときに海苔の重なりが出すぎず、食べやすくなります。ざらざらした面を内側にして、左手の親指が当たるあたりに酢飯を丸めて置き、軽く押さえます」
具材はざっくりと刻んで、あらかじめ醤油やわさびで和えておくと手巻きにしやすい。
酢飯の上部に具材を置いたら、海苔の下の角を中心に巻き込むようにひと巻きし、あとはくるくると巻くだけ。花束のような美しい手巻き鮨が誰でも失敗せず完成する。
今回教わった「酢炊き」は、コロナ禍で「家庭でもおいしい手巻き鮨を楽しんでほしい」という思いから試作を重ねて生まれたアイデアだという。
「酢がしっかりと均一に浸透し、噛むほどに甘みと酸味、魚のうまみが一体となっていく——それが理想だと思っています。この方法なら、家庭でもそれを感じていただけると思います」
手巻き鮨(3〜4人分)
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