2020.06.17

【潤いのレシピ】 ⿃⽻周作(夕⾷編)
⾃宅でレストランクオリティな、⽜しゃぶ⽣春巻き

Photo / Norio Kidera
Text / Reiko Kakimoto
Edit / Shunpei Narita

有名シェフの素材への向き合い⽅を聞きながら、⽇々の⾷から暮らしに潤いを与えるようなレシピを朝・昼・晩と三⾷ご提案いただく連載企画[潤いのレシピ]。レストラン[sio]オーナーシェフの⿃⽻周作さんが、朝⾷編では「ホタテと春野菜のグリーンサラダ」を、昼⾷編では「ハマグリのボンゴレ」の作り⽅を教えてくれました。

⼣⾷編は、酸味と旨味の個性が際⽴つトマトスープがポイントの「⽜しゃぶ⽣春巻き」です。材料が揃えばすぐに作れる、アイデアあふれるレストランクオリティの⼀⽫。材料と作り⽅は下部にまとめています。

朝⾷編でも紹介した「HEY!バインミー」や「#おうちでsio」などの活動が注⽬され、いまやテレビ番組にも引っ張りだこの⿃⽻さん。「これまでで⼀番忙しい」と苦笑しつつも、「だからこそ、これまで以上に料理に集中している」とも⾔います。

「⾊々なメディアに出ていると、⿃⽻さんブランディングうまいですよね、ってよくいわれます。キャラクターとか発信⼒でうまくバズりましたよね、と⾔われることもあります。いやいやいや、って思いますよ。だから、ってわけではないですが、こういう時期は特にうまい料理を出していかなきゃって気合いが⼊っています」

「僕がメディアに出て料理を作って、⾒ている⼈が興味を持ったら、じゃあ⾷べてみるか、ってなりますよね。その⼊り⼝として、1000 円で⾷べられるバインミーや弁当があって、レストランの料理がある。『本当においしいかの答え合わせ』ができるのが、店舗を持っている料理⼈の特徴ですよね。僕らは結局、料理⼈なんで、料理⼈としてのクリエイションができていないとダメ。『おいしい』で課題解決しないと『幸せの分⺟』は増やせないです」

レシピ動画を撮影する際も、コンビニであらゆる⾷材を買い込んで検証し、何度も作り直してレシピを作成。料理⼈ではない奥様に実際に作ってもらい再現性を確かめてから動画を作っているといいます。「めちゃくちゃ時間かけてるんすよ」と、⿃⽻さん、苦笑い。バインミーもパンの焼き⽅から中の具材まで、⽇々進化しているそう。

⿃⽻さんは「愛」という⾔葉をよく使います。恥ずかしそうな素振りも⾒せず、いとも当然のように。

「結局、愛なんですよ。他者への愛。料理への愛。それしかないです。儲かってるんでしょ?って⾔われます。全然⾜りてないですよ。⾚字を出しながら⾛ってるって状況です。こんな状況ですけれども、僕、お⾦には困ってないんですよ(笑)。⾷べるものがなくなったらきっと誰かがごちそうしてくれるし。僕は他者のまなざしの先をちゃんと⾒て、その⼈たちのために動く。そして料理を通してその⼈たちを助けたい。それが僕の、そして[sio]の本質でありモチベーションです」

今回紹介する「⽜しゃぶ⽣春巻き」も、⿃⽻さんらしさを感じる⼀品。根セロリのサラダと⽜⾁のしゃぶしゃぶを⽣春巻きで包み、トマト⽔をかけたもの。たっぷりのイクラとの相性の良さに思わず⽬を⾒開くはずです。

「こんなのが⾃宅で作れたら最⾼じゃないすか? 材料さえ揃えたら簡単なんで、ぜひ作ってみてください」

フライパンに⽔を⼊れ沸騰したら、薄切りの⽜⾁を弱⽕でさっとゆがきます
ライスペーパーの上に⽜⾁を敷き、根セロリのサラダとリンゴジャムをのせます。
リンゴジャムの⽢みと酸味がやみつきに
ライスペーパーを巻いていきます。強く押さえすぎずに優しく巻くことで、⾷感もよく仕上がります

ポイントはドライトマトを⼀晩漬けこんだトマト⽔!

ドライトマトの約3 倍量の⽔(アルカリ⽔が好ましい)を1 晩〜1 ⽇漬けおきドライトマト⽔をつくっておきます
⼀晩漬け込むと⽔の⾊が変わったように⾒えます。ドライトマトの旨みが⽔分にうつった印

「うまみや⾹りを引き出すアルカリ⽔だからこその味。オリーブオイルは、『セドリック・カサノヴァ』で扱っているものだけを使うと決めています。⾹りが唯⼀無⼆なんですよね」

切り分けた⽣春巻きの断⾯に、イクラとマイクロコリアンダーをのせ、トマト⽔をかけたらできあがり

今回ご紹介いただいた3 品のレシピは「いわば、⽔が主役の料理」と⿃⽻さんは⾔います。

「⽔が全⾯にでているわけではないですが、この⽔だからこそ引き出される味わいがあると思います。浄⽔でも、硬⽔や軟⽔、アルカリ性や酸性などの特徴で、味わいや役割は変わってきます。今回使ったクリンスイCP013 は、浄⽔してくれるだけでなく、電気を使わずにアルカリ性にしてくれるのがいいですね。アルカリ性の⽔は、⾷材の味や⾹りを⽔に溶かしだしてくれる。今⽇は⼿軽なポットタイプを使いましたが、本気でビルドイン型が欲しくなってしまいました(笑)」

次回は下北沢[サーモン&トラウト]のシェフを⽴ち上げから4 年間務め、渋⾕PARCO 内のタイ料理レストラン[chompoo]や、ユナイテッド株式会社の社員⾷堂[UB1 TABLE]プロデュースなど多彩に活躍する森枝幹さんに、3 ⾷分のレシピを教えていただきます。


材料(4 切れ分)

[生春巻き]

  • 牛肉(しゃぶしゃぶ用スライス)100g
  • 生春巻きの皮(ライスペーパー) 1 枚
  • 根セロリ 150g
  • カニ(ほぐし身) 50g
  • サワークリーム 10g
  • 白バルサミコ酢 5g
  • マヨネーズ 30g
  • 塩 1g
  • リンゴジャム 30g
  • マイクロコリアンダー 適量
  • イクラ 適量
  • オリーブオイル 適量
  • ドライトマト水 適量

[トマト水]

  • ドライトマト 100g
  • 水(アルカリ水が好ましい) 300ml

作り方

  1. ドライトマト水を作る。容器にドライトマトを入れ、水(アルカリ水が好ましい)を注ぐ。冷蔵庫で1晩~1日おいて、ドライトマトのうまみを水に抽出する。使う直前に茶こしまたはザルで濾す。(残ったドライトマトはもう一度だし用に使ったり、ほかの料理に使う)
  2. 根セロリのサラダを作る。根セロリをチーズ削り器ですりおろす(ない場合は千切りにする)。塩(分量外)を混ぜて1~2 分ほど置き、しんなりとしたら水気を切り、カニ、白バルサミコ酢、マヨネーズ、塩であえる。
  3. 牛肉をゆがく。フライパンにお湯を沸かし、弱火で牛肉をゆがく。火が通ったら鍋から取り出し、キッチンペーパーなどで水分をとる。
  4. ライスペーパーで巻く。ライスペーパーに霧吹きで水をかけてもどし、ゆがいた牛肉をのせ、その上に根セロリのサラダをのせる。太巻きを作るときのように、幅広にたっぷりとのせる。左右は折り込まないため、ライスペーパーの脇ギリギリまで具材を入れる。
  5. 根セロリのサラダの中央部分に横一文字にくぼみを作り、そこにリンゴジャムをのせる。太巻きの芯をイメージして。
  6. ライスペーパーの下部を取り、上部に返して巻き込む。崩れないよう丁寧にライスペーパーを巻き込み整えたら包丁で4~5 切れに切り分ける。
  7. 盛り付ける。生春巻きの断面を上にしてお皿にのせ、ドライトマト水を注ぐ。生春巻きの上にイクラをのせ、マイクロコリアンダーを添える。オリーブオイルをかける。

今回、⿃⽻さんが使⽤したのは、美味しい⽔のブランド『Cleansui』のアルカリポットシリーズ「クリンスイ CP013」。電源を使わずに、浄⽔されたきれいなアルカリ⽔をつくれます。除菌も可能なフィルターで微細な雑菌や⾚サビ、鉛までしっかり除去。プロダクトデザイナー柴⽥⽂江⽒によるポットのデザインは、美しい曲線が印象的。キッチンにも⾷卓にもすっきりとなじむデザインです。(※現在は販売終了しております。)
https://cleansui.com/products/cp013
※カートリッジは引き続き販売中です。浄水用のポットにもご使用いただけます。

とばしゅうさく

1978 年⽣まれ、埼⽟県出⾝。J リーグの練習⽣、⼩学校の教員を経て、32 歳で料
理⼈へと転⾝した異⾊のシェフ。神楽坂[DIRITTO]、⻘⼭[Florilege]、恵⽐
寿[Aria di Tacubo]といった名店で修⾏を積み、2016 年3 ⽉より代々⽊上原
[Gris]のシェフに就任。その後、同店のオーナーシェフとなり、2018 年7 ⽉よ
り[sio]としてリニューアルオープン、『ミシュランガイド東京2020』で⼀つ星
獲得。2019 年10 ⽉丸の内ブリックスクエア内にアラカルトで楽しめる[o/sio]
をオープン。12 ⽉東急プラザ渋⾕内にオープンした純洋⾷とスイーツ[パーラー
⼤箸]を監修。(各店の営業状況は各公式ウェブサイトをご確認ください)

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