2020.06.03

【潤いのレシピ】 ⿃⽻周作(朝⾷編)
野菜の味わいが膨らむ、サラダを作るカギは?

Photo / Norio Kidera
Text / Reiko Kakimoto
Edit / Shunpei Narita

有名シェフの素材への向き合い⽅を聞きながら、⽇々の⾷から暮らしに潤いを与えるようなレシピを朝・昼・晩と三⾷ご提案いただく連載企画【潤いのレシピ】。今回はレストラン[sio]オーナーシェフの⿃⽻周作さんです。朝⾷⽤にと「ホタテと季節野菜のグリーンサラダ」のレシピを教えてもらいました。材料と作り⽅は下部にまとめています。

J リーグの練習⽣、⼩学校の教員というキャリアを経て料理⼈へと転⾝した⿃⽻周作さん。イタリア料理の[DIRITTO]やフランス料理の[フロリレージュ]など、都内の有名店で修業をして、2016年に[Gris]のシェフへと駆け抜け、業界内でも⼤きな話題を⽣みました。

2018 年に同店をオーナーシェフとして買い取り、[sio]としてスタート。フレンチやイタリアンという垣根を超えてイノベーティブな「おいしい」を追求しています。

「ファミレスにも⾼級なレストランにも、コンビニのお惣菜にも『おいしい』はあるんですよ。僕はジャンルだけでなく、そうした価格帯のレイヤーを超えた『おいしい』を追求しています」

だから[sio]の料理は⾃由闊達で型破り。お客さんも肩肘はらずに⿃⽻さんの「うまい」に没頭し、⼼揺さぶられるといいます。そんなスタイルこそ、熱狂的なファンが「おいしい」のほかに「楽しい」「わくわくする」と表現する所以です。

⿃⽻さんの信念が、この新型コロナによる⾃粛ムードの中、強いメッセージとして発信されました。料理⼈としていち早くSNS を活⽤し「#おうちでsio」と名付けたレシピを発信し、コンビニや⼩さなスーパーでも売っている⾷材で、sio イズムを感じられる定番料理を紹介。また、和⾷のお惣菜をアップデートして、⼈気ブーランジェリー[ル・ルソール]のパンで挟んだバインミー「HEY!バインミー」を1000円で発売。独⾃のデリバリーサービスも始めました。

「僕ら[sio]のチームは、料理を通して幸せの分⺟を増やしたいんです。多くの⼈を⾷で元気にしたい。このような状況下で、みんなが⾟い状況にあるとき、どうしたら幸せにできるだろうと考えた結果です。素早く⾏動に移せたのも、判断基準がその1 点のみで、それをチームで共有しているから。幸せの分⺟が増えるんだったら、やる。増えていないんだったら、やめる。儲けは⼆の次。僕は儲けがなくなることよりも、料理⼈としてのモチベーションがなくなることのほうが怖い。そのモチベ―ジョンは、結局『料理で⼈を幸せにする』ってことなんです」

そんな⿃⽻さんが作る料理は、素材と技術が離れがたくつながっています。

「プロの料理⼈は、コンビニで500 円で買った⾷材でも、市場に並ぶ⾷材でもおいしく調理できるという“ベースの腕”がある。それがあってこそ、⾷材にこだわる価値があると思っています」

さて、今回のドレッシングは「⽔が主役」のサラダ。

「アルカリ⽔、好きなんですよ。そのまま飲むのも好きですが、⾷材の味を引き出してくれる。アルカリ⽔を使うことで主材料の味わいが“伸びる”んですよね」

クリンスイのアルカリポットシリーズを使った⽔で、野菜の切れ端などを煮出します。キウイの果実はサラダの具として使いつつ、⽪もこうしてフル活⽤。

「アルカリ⽔でゆでると、お湯に野菜の⾹りがいい感じにうつるんです。だしが出やすいのがアルカリ⽔の特⻑ですね。今⽇、サラダに使うアスパラガスや野菜の⽪とか切れ端を、ハーブと⼀緒に煮出してブロス(だし)をとりましょう。ブロスを取るときのディルもポイントかな。」

オリーブオイルを敷いたフライパンで、焦げ⽬がつくまでホタテを焼きます

「⾙類がおいしい季節だからホタテをソテーして加えて。贅沢な朝ごはんだなあ」

「葉物はあるものでいいですが、⾹りのいいアスパラガスは⼊れたいですね。野菜をゆでるときには、⾷感を残して固めにゆでてみてください」

ドレッシングとサラダの具材は、しっかり混ぜるというより軽めに和えるようなイメージで
盛り付けの際には「俯瞰して⾒たときに美しいか」がポイント

「エディブルフラワーは⾊味のほか、“苦み”として⼊れています。なかったらほかのもので代⽤してもいいと思います」

煮出して濾したブロスには、旨味がギュッと詰まっています
ベジブロスは霧吹きに⼊れ、仕上げでサラダに吹きかけます

季節野菜の⾹りを凝縮させたブロスを最後にひとふきすることで、味わいの印象がぐっと深まる、新感覚のグリーンサラダ。サラダ菜を洗う際にアルカリ⽔を使うとパリっとした⾷感に仕上がる、と⿃⽻さん。贅沢に使える⽅はぜひ挑戦してみてください。

材料(2 人分)

  • アスパラガス 2 本
  • ケール 2~3 枚(一口大にちぎる)
  • ブロッコリー 1/4 房(約60g)
  • レタス 2~3 枚(一口大にちぎる)
  • キウイ(皮をむき、細かいさいの目に切る) 1 個
  • オクラ 2 本
  • ディル 適量
  • セルフィーユ 適量
  • ホタテ 3 個
  • エディブルフラワー(あれば)
  • オリーブオイル 適量
  • 水 適量
  • 塩 少々

[ドレッシング]

  • オリーブオイル 大さじ2
  • 白バルサミコ酢 大さじ1.5
  • 塩 ふたつまみ

作り方

  1. 1. ベジブロスを作る。アスパラガスの皮、ケールの芯、オクラのへた、キウイの皮などを小鍋に入れ、ディルとセルフィーユを足し、水(アルカリ水が好ましい)をひたひたになる程度まで入れる。沸騰するまで中火で、沸騰したら弱火で半量になるまで煮詰める。半量になったら濾して急冷する。
  2. 野菜をゆでる。鍋に水を入れて沸かし、塩(1.5%濃度になるように)を入れ、アスパラガス、ブロッコリー、オクラをゆでる。固めにゆで上げて氷水にとる。粗熱が取れたら水気を切る。必要であれば一口大に切る。
  3. ホタテを焼く。フライパンにオリーブオイルをしき、中火にかける。ホタテを両面色目がつくまで焼く。塩少々を振る。焼きあがったら一口大に切り分ける。(手で割いてもいい)
  4. 盛り付ける。ボウルにホタテとエディブルフラワー以外の材料を入れ、ドレッシングをかけてざっくりと混ぜ合わせる。ホタテを合わせながら器に盛り付け、エディブルフラワーとセルフィーユ、ディルをあしらう。ベジブロスを霧吹きに入れ、上から吹きかける。

今回、⿃⽻さんが使⽤したのは、美味しい⽔のブランド『Cleansui』のアルカリポットシリーズ「クリンスイ CP013」。電源を使わずに、浄⽔されたきれいなアルカリ⽔をつくれます。除菌も可能なフィルターで微細な雑菌や⾚サビ、鉛までしっかり除去。プロダクトデザイナー柴⽥⽂江⽒によるポットのデザインは、美しい曲線が印象的。キッチンにも⾷卓にもすっきりとなじむデザインです。(※現在は販売終了しております。)
https://cleansui.com/products/cp013
※カートリッジは引き続き販売中です。浄水用のポットにもご使用いただけます。

とばしゅうさく

1978 年⽣まれ、埼⽟県出⾝。J リーグの練習⽣、⼩学校の教員を経て、32 歳で料
理⼈へと転⾝した異⾊のシェフ。神楽坂[DIRITTO]、⻘⼭[Florilege]、恵⽐
寿[Aria di Tacubo]といった名店で修⾏を積み、2016 年3 ⽉より代々⽊上原
[Gris]のシェフに就任。その後、同店のオーナーシェフとなり、2018 年7 ⽉よ
り[sio]としてリニューアルオープン、『ミシュランガイド東京2020』で⼀つ星
獲得。2019 年10 ⽉丸の内ブリックスクエア内にアラカルトで楽しめる[o/sio]
をオープン。12 ⽉東急プラザ渋⾕内にオープンした純洋⾷とスイーツ[パーラー
⼤箸]を監修。(各店の営業状況は各公式ウェブサイトをご確認ください)

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