2022.04.13

「LIFE」オーナーシェフ・
相場正一郎さんにとって水とは? 前編

photo / Norio Kidera
text / Hitomi Takano
edit / Akio Mitomi

旬素材の良さをいかすシンプルなレシピこそ、水は大切な素材になる。

「季節の素材をいかすこと。それが、私の料理の基本です。旬の食材は、力強くて栄養価も高い。素材の良さをいかしたおいしい料理を、お客さまや家族、友人たちに食べてもらいたいんです」

シェフの相場正一郎さんが営むイタリアンレストランでは、契約農家から届く新鮮な野菜をはじめ、天然酵母で作るパンやナチュラルワインなど、素材選びを大切にしている。栃木・那須に別邸を持つ相場さんは、訪れる際必ず立ち寄る道の駅などで出合う、イキイキとした食材を使って料理することも楽しみなのだと話してくれた。

そして相場さんにとって、水も大切な“素材”のひとつだと。

「正直、すべての料理で水までこだわるのは難しいのですが…。スープやコーヒーなど、量をたっぷりと使う時は、特に水の味や香りは気になります。やっぱりおいしくて良質な水を選びたいですね」

「私が水に関心を持ったのは、妻の影響なんですよ」

美容と健康のためにも水が大切と考える奥様は、家族の健康を気遣い、ウォーターサーバーをはじめ、さまざまな水を常備してくれているという。 今回作ってくれたのは、ランチで毎日提供している野菜たっぷりのミネストローネ。和食のためのクリンスイシリーズ「出汁のためのクリンスイ」で作るまろやかな軟水を使用した。

ミネストローネと聞くと、トマトベースの真っ赤なスープを想像するけれど、相場さんが作るミネストローネは、トマトは使わないいわゆる“野菜スープ”。トマトベースになると、せっかくの野菜の甘みや旨みも消えて、酸味だけが際立ってしまうと相場さん。

「材料は、野菜と塩、そしておいしい水だけ。シンプルだからこそ、水が大切になるんです」

具材は、玉ねぎとにんじん、セロリ、レンズ豆をベースに、季節の野菜をプラス。おいしく仕上げるには、いかにうまく野菜の旨みを引き出すかがカギになる。

「野菜がたっぷりの水分と一緒に旨みを出してくれるので、味つけは塩だけで十分です。まろやかな軟水は、野菜の旨みを引き出す名脇役。炒めた野菜に少なめの水を加えて、弱火でコトコトと煮込むことで、野菜の旨みが溶け出した味わい深いミネストローネが完成します」

ミネストローネ 5〜6皿分

  • 玉ねぎ      3個
  • にんじん     2本
  • セロリ      2本
  • レンズ豆     大さじ2
  • キャベツ     1/6個
  • 水        具材がひたひたになる程度
  • 塩        適量
  • オリーブオイル  大さじ3
  • パルメザンチーズ 適量
  1. 野菜をすべて1cm角に切る。
  2. 1とレンズ豆を鍋に入れて軽く塩をふり、しんなりするまで炒めたら、水を入れる。
  3. 沸騰したら弱火にし、約20分間煮込む。途中様子を見ながら水分が減ったら水を足す。
  4. くたっとするまで煮込んだら、塩で味を調える。器に盛り付けたら、オリーブオイルとパルメザンチーズをかける。

あいばしょういちろう

1994年〜1999年にイタリア・トスカーナ地方で料理修業の後、東京都内のイタリアンレストランで店長兼シェフとして勤務。2003年代々木公園にカジュアルイタリアン「LIFE」、2012年参宮橋に「LIFE son」をオープン。現在は全国で4店舗のレストランを運営し、料理のみならず、ライフスタイルも注目を集めている。著書に『30日のパスタ』(ミルブックス)、『世界でいちばん居心地のいい店のつくり方』(筑摩書房)、『LIFEのかんたんイタリアン』(マイナビ)、『道具と料理』(ミルブックス)などがある。
https://www.s-life.jp

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