2022.03.10

マクティア マリコさんに聞く、
「mymizu」とSDGsのこと。 前編

photo / Norio Kidera
edit & text / Akio Mitomi

マイボトルで使い捨てのない世界を目指す
「mymizu」の取り組み。

SDGsの聖地を目指し2021年、三重・多気町にオープンした商業リゾート施設VISON(ヴィソン)を、「mymizu(マイミズ)」プラットフォームの共同主宰者マクティア マリコさんが訪れた。その一角にあるパビリオン、クリンスイハウス( https://www.cleansui-house.com/ )でmymizuの取り組みについて話を聞いた。

―mymizuは給水をきっかけに持続可能性が当たり前な世界の実現を目標としたプラットフォームですが、いま力を入れていることは?

私たちは無料給水スポットを増やし、その場所を「mymizuアプリ」で検索できるようにすることで、繰り返し使えるマイボトルを増やし、ペットボトルの消費量を減らすためのプラットフォームを提供しています。ただ、そのことを知ってもらうきっかけが、まだまだ足りていないので、2020年10月から「mymizu CHALLENGE」をスタートしました。

――2021年にはクリンスイも企業として参加して、目標の2倍を超えるペットボトル削減成果を挙げました。*

SDGsやサーキュラー・エコノミー(循環経済)を学びたい企業に、プラットフォームを提供するのもmymizu CHALLENGEの役割です。従業員の意識が変わって、資源の使い捨てが少なくなり、世の中のサステイナビリティにつながる、ウィンウィンウィンの共同プロジェクトなのです。従来のCSR(企業の社会的責任)活動より範囲が広く、環境再生型の世界により近付くことができます。

*「mymizu CHALLENGE」を実施、1,013名の従業員により1か月間で65,052本の500mlペットボトルを削減。

――初めてVISONを訪ねた印象はいかがですか。

VISONには自動販売機を置かない、という方針が素晴らしいです。ここを訪れた人々に「なるほど」と知ってもらうことができますから。例えばイギリスでは、屋外で活動する人はみなマイボトルを持っています。なぜなら、そもそもコンビニエンスストアや自動販売機が多くありませんから。日本はどちらもたくさんあって、マイボトルに給水するのが「貧乏くさい」と思っている若者もいるようです。そういった人々の意識に訴えかけることができるストーリーが、VISONにはありますね。

――このクリンスイハウスを含めて、クリンスイの給水スポットを十数か所設置しました。

マイボトルを使って水を飲む習慣を、日本ならではのやり方で進めるのがいいと思います。国それぞれ歴史が違い、食や地域の文化も違いますが、変化は小さなコミュニティから始まるものです。mymizuの給水パートナーは47都道府県にありますが、例えば原宿や松本、沖縄、鎌倉など、それぞれの地域の中で、ある1つのお店が給水パートナーになったことがきっかけとなり、地域コミュニティで広がっています。地域で共通したコモンズ(公共)の概念や仲間と進める責任感が生じると、その地域だけでなく、海外のコミュニティからも「いいね!」と反応が返ってくるのです。


インタビュー後編では、マクティア マリコさんと「SDGsの聖地」を目指すVISONの取り組みを見学、その模様をレポートします。

Mariko McTier

ロンドン大学卒業後、中日新聞社ロンドン支局に務め、2014年に駐日英国大使館の国際通商部に勤務。日本と英国間のイノベーションを促進するとともに、2017年よりフリーランスとして社会的企業でプロボノやコンサルティングの仕事を受け始める。日本において世の中の深刻な課題に取り組む人やビジネスを増やすため、同年一般社団法人Social Innovation Japanを設立。その一環として、ペットボトルの削減をミッションにした、日本初の無料給水アプリ「mymizu」プラットフォームを立ち上げた。2020年、環境省グッドライフアワードで環境大臣賞を受賞。https://www.mymizu.co

Cleansui House

SDGsの聖地を目指す三重・多気町の商業リゾート施設VISON(ヴィソン)。その一角にオープンした、水の知恵をコンセプトにしたパビリオンがクリンスイハウスです。クリンスイのおいしい水を無料で試飲できるほか、ビルトインタイプの蛇口一体型クリンスイも体験可能。また、水や食にまつわる展示やイベント、ワークショップも行っています。またクリンスイハウス以外にもVISON内には10数か所のクリンスイ給水スポットを設置。飲・食・住・環境を水の視点から考えながら、体験型コンテンツを発信しています。
https://www.cleansui-house.com/

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