近年、浄水器カートリッジの模倣品が市場に出回っているのをご存じでしょうか。安価な価格で販売されているため思わず購入してしまいそうですが、模倣品にはリスクが伴い、たとえ個人使用であっても注意が必要です。
この記事では模倣品購入に関するリスクや注意点、そして騙されずに正規品を選ぶためのポイントについて詳しくご紹介します。
INDEX
模倣品とは?何がいけないの?
模倣品とは特許や実用新案、意匠、商標など「産業財産権」を侵害した製品を指し、たとえばカバンや財布、時計などの偽ブランド品や有名メーカーなどの電化製品、バイク・医薬品などに見られます。※1
模倣品の製造や販売は知的財産権と呼ばれる権利を侵害する行為とされ、法律で禁止されています。※2 模倣品は一見すると本物と見分けがつかない場合がありますが、品質や製造方法が異なることが多く消費者を欺く行為です。
個人使用なら大丈夫じゃないの?
以前は個人利用を目的とした海外からの模倣品受け取りは許可されていたようですが、令和4年10月以降は模倣品の水際取締りが強化され、個人使用のための輸入に対しても税関で止められるようになりました。※3 つまり購入したとしても、模倣品であれば手元に届かない可能性があります。個人使用であっても正規品を購入する方が安全なのです。
模倣品を輸入するデメリットってなに?
模倣品は安いからという理由で購入したり、模倣品とは知らずに購入したりしても、思わぬ損失やトラブルにつながる可能性があります。そこで模倣品を購入した際に直面する可能性のある具体的な問題について、事例を交えながら紹介していきます。
手元に届かない
海外のサイトやECサイトで模倣品を購入しても、税関で差し止められ手元に届かないケースがあります。たとえば「セールで見つけた格安のブランド品を購入したけれど、商品が届かないどころか税関から没収の通知が来た」といった事例もあり、使用するどころか手元に届かないなどの可能性があるのです。※3
お金が戻ってこない
税関で模倣品が没収されても、支払ったお金が返金される可能性はほぼないとされています。クレジットカードや銀行振込など、どの方法で購入しても共通です。悪質な販売者であれば、そもそも返金に応じる意思がなく購入者は泣き寝入りするしかなくなってしまいます。※2※4
たとえば「安いと思って購入した商品を代金引換で受け取ったが、後から偽物だと気づいて返品を申し出たところ、販売業者と連絡が取れなくなった」というケースも。製品の質に問題があってもアフターケアを受けられず、支払った代金も戻ってこないという二重の損失を負う可能性が高くなります。※5
社会的信用(価値)がなくなる
模倣品を持っていると周囲に知れわたると、あなたへの信頼や評価が下がるかもしれません。友人や知人からの信用が失われるだけでなく、買取店などでも取り扱いを拒否されることがあります。「偽物だと知っているけど安かったから」という考えが逆に自分の価値を下げてしまうのです。※2
低品質による健康への被害
特に注意が必要なのは、模倣品の低品質による健康への影響です。正規品と比べて成分や品質が劣るだけでなく、安全性も保証されていません。それが原因で怪我や病気、事故の元になってしまう可能性があります。※2
たとえばコスメや食品・健康食品などの模倣品を使用した結果、粗悪な成分が含まれていたために肌トラブルやアレルギー、体調不良を引き起こしたという事例もあります。※6
購入側も犯罪に加担してしまうかも
基本的には個人使用が目的であれば罪に問われません。しかし模倣品と認識して販売してしまうと罪に問われる可能性があります。
間違って購入しないためにもメーカーが発信している正規販売サイトなどから購入するようにしてください。
個人情報が悪用される
模倣品の購入によって、個人情報が悪用されるリスクも高まります。模倣品を販売するサイトでは個人情報の取り扱いが適切に行われず情報が漏洩したり、個人データを売買されたりする事例も考えられます。※2
個人情報が悪用されると、迷惑メールが大量に届く、不正利用やなりすまし犯罪の被害に遭うなど、思わぬトラブルに巻き込まれる事態になりかねません。さらに自宅の住所を知られてしまい空き巣に入られたり、ストーカー被害にあったりすることもあります。
ご注意を!模倣品はいろんなところで売られています
模倣品は海外旅行者向けのガイドブックに掲載されているお店をはじめ、フリーマーケットやフリマアプリ、ECサイトなど販売ルートは多岐にわたります。浄水カートリッジの模倣品も市場に出回っています。
販売店も「模倣品と知ってて販売するケース」「模倣品と知らずに販売するケース」がありますが、どちらも違法には変わりはないため個人個人がしっかりと認識することが大切です。※8
模倣品を購入しないための対策は?
模倣品を避けるための対策として、いくつか注意点を説明します。実店舗、ネット販売のどちらでも以下の点に注意しましょう。
正規品の取扱店舗でのみ購入する
まずは信頼できる正規の販売店で購入しましょう。海外では直営店や百貨店、政府の認可を受けている免税店が安全な選択です。国内では直営店や百貨店、ネットで購入する場合はブランドの公式サイトや公式パートナーのサイトを利用するようにしましょう。
正規品との違いを確認する
購入前に、製品の細部をしっかりと確認することも重要です。正規品と比べてデザインに違和感がないか、シリアルナンバーが正しく記載されているか、そして購入時期や購入場所、入手価格などに不自然な点がないかなども確認します。※2
たとえば「定価10万円の商品が3万円で売られている」などの場合は要注意です。あまりに安すぎる価格設定は、模倣品である可能性が高いため疑うべきポイントといえます。
販売元が信頼できるか
販売元の信頼性を確認するのは重要な対策です。まずは口コミ評価を確認し、購入者からの悪評やトラブルがないかチェックしましょう。また企業や販売者のプロフィールや利用規約も確認し、不利な条件が書かれている場合は購入を避けるのが無難です。※2
またサイトのURLが「https://」で始まっているか確認しましょう。「http://~」で始まっているサイトは通信が暗号化されていないため個人情報が漏洩するリスクがあります。※2
対応は適切か
支払い方法が「銀行振込のみ」という場合は注意が必要です。クレジットカードや代金引換など、ほかの支払い手段が用意されているか確認しましょう。また購入後に返品や交換が可能かどうかも重要なポイントです。信頼できる販売企業は返品ポリシーや顧客サポートが整っており、購入後の対応も丁寧である場合が多いです。※2
クリンスイの模倣品対策
近年、浄水器市場でもクリンスイ製品の模倣品が出回るケースが後を絶ちません。これらの製品は正規品と酷似した外観を持つ一方で性能や安全性に大きな懸念を抱えています。
クリンスイでは、これらの非正規品に対して性能試験を行っており、例として一部の性能評価の比較を以下に示しました。遊離残留塩素と溶解性鉛を比較したところ以下の結果となりましたが、正規品よりも性能がかなり劣っていることがわかります。※9
ほかにも非正規品は正規品と比べて、にごりのろ過能力やろ材の取替時期の目安などが表示されている性能よりも劣っていることもわかっています。非正規品は家庭用品品質表示法により表示している浄水能力を満たしていない項目があることを確認済みです。※9
クリンスイの模倣品撲滅活動
このような模倣品の流通が後を絶たないため、クリンスイでは「浄水カートリッジ模倣品撲滅宣言」を表明いたしました。目的は、安心・安全に当社の製品をお客様に使用していただくためです。警察・消費者庁・各税関などと連携を図り、お客様への注意喚起や正規販売店へのご案内を行う取り組みを行っています。※10
詳しくは下記に記載しているのでご確認ください。
クリンスイ「浄水カートリッジ模倣品撲滅宣言」
また2024年7月からはお客様に正規品を安心して購入いただけるように「ビルトイン型浄水カートリッジ」をクリンスイ公式オンラインストアとサービスセンターのみで直接販売しています。※9
ちなみに大手通販サイトでも購入は可能です。クリンスイの公式サイトに、正規品を取り扱っているショップリストが掲載されているので確認しましょう。
弊社販売サイト以外のECサイト正規品取り扱い店についてはこちら
※ビルトイン浄水カートリッジのリストのため、蛇口直結型やポット型は対象外です。
模倣品を見極めて、良いお買い物を!
模倣品は一見するとお得に感じるかもしれませんが、性能や安全性に大きなリスクが伴います。クリンスイの浄水カートリッジも正規品と模倣品の見た目は酷似していますが、性能は劣り、安全性は保証されていません。せっかく購入したのにリスクを伴う可能性が非常に高いため、正規販売店でのみご購入をお願いしております。
具体的にはこちらに記載しております。
模倣品に惑わされず、安全な浄水器を手に入れることがあなたと家族の健康を守る第一歩です。
参考文献
※1 政府広報オンライン|コピー商品撲滅キャンペーン “絶対買わんぞ!コピー商品”
※2 特許庁|絶対買わんぞ!コピー商品 カワンゾちゃん
※3 独立行政法人国民生活センター|令和4年10月から水際取締りが強化されました
※4 独立行政法人国民生活センター|偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています!!
※5 いわき市|偽物が届くインターネット通販トラブルで“代引き配達”の利用が増加しています
※6 消費者庁|コラムVol.7 インターネットでの化粧品の購入は慎重に-模倣品などの可能性も-
※7 総務省|個人情報(こじんじょうほう)がもれるとどうなるの?
※8 フランス公益社団法人ユニオン・デ・ファブリカン日本局・東京事務所|偽ブランド商品の国内流通を阻むために必要と思われる対策
※9 クリンスイ|クリンスイの模倣品製品にご注意ください
※10 クリンスイ|浄水カートリッジ模倣品撲滅宣言
【監修者】水博士
2020年より三菱ケミカル・クリンスイ技術部・開発部を兼務。以前は飲食店などの内装設計業務に携わっていた経験をもつ。