
水道水をカルキ抜きした飲み水は早く飲むのが良いの?
水道水を飲み水として使おうと考えた際、カルキが気になる方も多いでしょう。水道水はそのままでも飲めますが、カルキ抜きをすることでより安全かつ美味しく飲めるようになります。
では、水道水のカルキ抜きにはどのような方法が効果的なのでしょうか。この記事では、カルキの役割や水道水の安全性、カルキ抜きの方法を解説します。
水道水をカルキ抜きした飲み水は早く飲むのが良いの?
水道水をカルキ抜きした飲み水は、早めに飲むのがおすすめです。カルキとは、次亜塩素酸カルシウムを指します。殺菌能力があるため、雑菌の繁殖を防ぐ目的で水道水に含まれています。
また、次亜塩素酸カルシウムだけでなく次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒用塩素を含んだ遊離残留塩素を抜くという意味で「カルキ抜き」という言葉が使われる場合も多いです。
カルキ抜きをすると殺菌能力のある塩素が除去され雑菌が繁殖しやすくなるため、早めに飲み切りましょう。
次亜塩素酸ナトリウムについて
次亜塩素酸ナトリウムは、殺菌や漂白などの働きを持つ塩素系物質です。市販品は主成分の有効塩素12%以上、pH12以上で販売されています。※1
一方で、反応性が高く、劣化しやすいのも次亜塩素酸ナトリウムの特徴です。常温で保存した場合でも徐々に自己分解が進み、温度上昇や紫外線などの影響を受けるとさらに分解は促されます。※1
次亜塩素酸カルシウムについて
次亜塩素酸カルシウムは、水道水のほかプールの消毒などにも使われる物質です。常温では固体ですが、水に溶ける性質を持ちます。高純度の中性次亜塩素酸カルシウムは安定性が高い一方で、加熱したり酸性物質と接触したりすると急速に分解が進みます。
次亜塩素酸水との違い
感染症予防などでよく聞く次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムとは異なる物質です。塩酸や食塩水を電気分解した際に得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液を次亜塩素酸水と呼び、日本では平成 14 年 6 月に食品添加物として指定されました。※2
次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムはアルカリ性であるのに対し、次亜塩素酸水は酸性を示します。高い殺菌作用を持つ一方で、安定性が低く有機物に接触すると容易に分解されるのが特徴です。
なお、国が水道水の消毒として使用を認めているのは、次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸カルシウム、液化塩素の3つで、次亜塩素酸水は含まれていません。※3
水道水のカルキ抜きをしたいときは?

水道水のカルキ抜きをするには、いくつかの方法があります。ここでは代表的なカルキ抜きの方法について解説します。
煮沸し続ける
水道水の残留塩素は沸騰し続けることで除去できます。名古屋市消費生活センターが行った試験によると、次亜塩素酸ナトリウムを添加した蒸留水(約1ppm・実測値0.83ppm。これを原水とする)2Lをアルミ鍋で煮沸したところ、加熱開始から10分、沸騰開始から1分で残留塩素は0となりました。※4 水道水に含まれる残留塩素はそれよりも少ないので、沸騰によりほとんど除去できると考えられます。
ただし、沸騰時間が短いとかえってトリハロメタンの濃度が上昇する可能性があるため、沸騰させ続けることが大切です。
レモン果汁を入れる
水道水のカルキ抜きは、レモン果汁を加える方法でも可能です。名古屋市消費生活センター が実施した試験では、次亜塩素酸ナトリウムを添加した水道水(約1ppm・実測値1.04ppm)200mLにレモン果汁を5滴加えると、残留塩素はほとんど0になりました。※4 水道水は残留塩素がもっと少ないため、レモン汁2、3滴で残留塩素を除去できるでしょう。
これは、レモンに含まれるビタミンCの働きによるものです。ビタミンCの還元作用により、酸化作用を持つ残留塩素と反応し分解されるのです。したがって、ビタミンCが含まれている食品であればレモン以外でも同様の働きがあると考えられます。※5
浄水器を使用する
浄水器の使用により、水道水に含まれる残留塩素やカルキ臭のほか、一般細菌や赤サビなどの除去が可能です。大腸菌類やクリプトスポリジウムなど本来除去されているはずの物質が入り込んでいた場合もろ過できるため、より安全に水道水を飲めます。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
クリンスイの浄水器は、独自の技術を応用した中空糸膜フィルターが備えられており、JIS S 3201 家庭用浄水器試験方法に定められた除去対象17物質(残留塩素を含む)と、浄水器協会で定められた除去対象2物質をしっかり除去できます。水道水に含まれる豊富なミネラルは残したまま、より美味しく水道水を飲みたい方におすすめです。
クリンスイの浄水器の特徴や選ばれる理由は、下記記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。
日光に当てる
次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムは紫外線により分解・揮散されるため、日光に当てることで水道水から残留塩素を除去できます。蛍光灯や白熱電球の光に紫外線は含まれないので、屋内で照明に当てるだけでは除去できません。※5
日向水(ひなたみず)という言葉があるように、観賞魚を水道水で飼育する場合には残留塩素を除去して川などの水環境に近づける必要があります。その場合には水道水を半~1日程度日光に当てる必要がありますが※5、市販品にカルキ抜きをするためのハイポという錠剤があるので、そちらを利用する方法もあります。
カテキンが含まれる緑茶で使用する
特別な手間を加えることなくカルキ抜きをしたい場合は、緑茶として使用するのがおすすめです。緑茶に含まれるカテキンには還元作用があるため、酸化作用を持つ残留塩素は分解され、レモン果汁を加えるのと同様に手軽にカルキ抜きができます。※5
日常の飲み物から実践してみたい方はぜひ取り入れてみましょう。
その他
表面に細かい孔があいた活性炭は、残留塩素を吸着する性質を持つため、水道水を通すことでカルキ抜きができます。※5
そもそも、カルキって安全なの?
カルキ、つまり次亜塩素酸カルシウムには皮膚や眼、呼吸器などへの刺激性があるため、過剰摂取は避けなければなりません。※6
しかし、だからといってカルキが含まれる水道水が危険というわけではありません。というのも、水道水には残留塩素をはじめ、大腸菌群や金属などさまざまな物質に対して厳しい基準が設けられているからです。水質基準に適合した水だけが、家庭で使われる水道水として届けられます。
またミネラルウォーターなどに適用される食品衛生法と比べても、水道法による基準は厳しいといえます。
【ミネラルウォーターと水道水の残留塩素基準値】※7
・ミネラルウォーター:3mg/L以下
・水道水:0.1mg/L以上、1.0mg/L以下
なぜ水道水にカルキが含まれているの?

水道水にカルキが含まれている理由は、殺菌して安全な水道水を届けるためです。次亜塩素酸塩は、微生物のたんぱく質を酸化または塩素化し、死滅させることができます。飲料水の用途であれば、栄養型細菌やウイルスに有効とされています。※8
もしカルキが含まれていなければ、微生物の増殖により異臭や沈殿物が発生することがあり、健康に影響を及ぼすかもしれません。カルキが含まれていることで、私たちは毎日安全な水を飲むことができるのです。
いつから水道水にカルキが使われているの?
次亜塩素酸ナトリウムが殺菌目的で使われはじめたのは、160年以上も前です。1861年にロンドンの下水の脱臭処理に関する研究が報告されたのを皮切りに、水の殺菌を目的とした研究が活発に行われるようになりました。1905年に腸チフス汚染対策としてイギリスで使用、1915年には創傷における感染の消毒として使用されています。
日本では1926年から製造を開始し、1950年に食品添加物に指定されました。1961年の食品添加物公定書では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の一般的用途として食品の消毒や鮮度保持、医療分野での消毒の使用濃度が示され、1976年には貯水槽の消毒に関して有効塩素濃度(50~100ppm)が提案されました。※8
このような背景を経て、水道水の安全性を守るためにカルキが使われるようになったのです。
カルキ抜きをする理由は?

水道水のカルキ抜きをする理由は、主に以下の3つです。
より美味しく水道水を飲むため
水道水は、水道法により塩素消毒が義務付けられているため、カルキ臭を感じることがあります。衛生的に給水されている証ではありますが、美味しさを重視したい方は気になるかもしれません。そのような場合に、カルキ抜きをしてにおいを取り除くと、より美味しく飲むことができます。
ただ、カルキ抜きをしていない水道水が美味しくないというわけではありません。たとえば、東京都では国が定めた基準よりも厳しい「おいしさに関する水質目標」を独自で設定し、目標達成に向けて取り組んでいます。
【おいしさに関する水質目標の目標値例】※9
国が定めた水質基準等 | 都独自の水質目標値 | |
残留塩素 | 0.1mg/L以上、1.0mg/L以下 | 0.1mg/L以上、0.4mg/L以下 |
トリクロラミン | なし | 不検出 |
カルキ臭の原因となる残留塩素やトリクロラミンについては、上記のように国が定めた基準よりもさらに厳しい目標値を設定し、「ほとんどの人がカルキ臭を感じない」というレベルを目指しています。
より安全に水道水を飲むため
カルキ抜きをすると、カルキがあることで発生するトリハロメタンを取り除き、より安全に水道水を飲むことができます。
トリハロメタンとは、水中に含まれる有機物質と消毒剤の塩素が反応して生成される物質の総称です。水道水においてはクロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4物質の合計を「総トリハロメタン」といい、発がん性が疑われることから、日本では「0.1mg/L以下」と上限値が定められています。※10
総トリハロメタンの基準値は連続的に摂取しても健康に影響しないように設定されているため、水道水をそのまま飲んでも健康上問題はありません。しかし、カルキ抜きや浄水器の使用によりトリハロメタンを除去できるので、より安全に水道水を飲めるのです。
肌荒れや髪の毛への影響について
水道水に含まれる残留塩素は、高い殺菌作用を示す一方でたんぱく質を酸化させる作用があり、肌や髪の毛の状態に影響をおよぼす可能性が考えられます。そのため、肌や髪の毛をいたわりたい場合はシャワーの水やお湯に気を配ることがおすすめです。
クリンスイの浄水シャワーは、シャワーキャップ部に酸化還元フィルターが内蔵されており、残留塩素の除去が可能です。水の流れを妨げない素材を使っているため、気持ちの良いシャワーを楽しみながら肌や髪の毛をケアできるでしょう。
またクリンスイの浄水シャワーシリーズには、ウルトラファインバブル水も使用したシャワーもあります。ウルトラファインバブル水を使うことで、脱塩素はもちろん、一般水道水よりも肌の汚れが落ちやすくなります。
詳細は以下からチェックしてみてくださいね。
水道水よりミネラルウォーターのほうがいいの?
「水道水よりもミネラルウォーターの方が良いのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、そうとは限りません。
水道水は水道法、ミネラルウォーターは食品衛生法によって安全性が確保されていますが、実は水質基準が厳しいのは水道水です。たとえば、水道水には大腸菌や塩化物イオン、フェノール類など食品衛生法の成分規格適合値にはない基準が設けられています。遊離残留塩素基準値についても、水道水は0.1mg/L以上(水道法施行規則)、1.0mg/L以下(水質管理目標設定項目と目標値)、ミネラルウォーターは3mg/L以下(成分規格適合値)と水道水の方が厳しい基準となっています。※7
そもそも水道水とミネラルウォーターはどちらも自然の水からできており、元を辿れば同じものです。水道水がどこから来るのか詳しく知りたい方は、こちらも読んでみてください。
浄水器を使ったほうがいいの?

日本の水道水には厳しい水質基準が設けられているためそのままでも飲めますが、塩素消毒によるカルキ臭を感じることがあります。また、家の貯水タンクや排水管が汚れていると、雑菌や赤サビが含まれることもあります。そのため、より安全に美味しく水道水を飲みたい方は浄水器の使用を検討しましょう。
クリンスイの浄水器は、水道水に含まれる豊富なミネラルを残しつつ、カルキ抜きに関する物質以外にも目に見えない不純物を取り除けます。「クリンスイの浄水器で性能が高いものは、水の味わいや健康への影響が懸念される19物質を全て除去できます。水道水をそのまま飲むことに抵抗のある方には、クリンスイの浄水器がおすすめです。
どの浄水器が良いのか分からない方はこちらを参考にしてくださいね。
水道水をカルキ抜きして、より安全においしく水を飲もう!

水道水には消毒用塩素が含まれています。そのまま飲んでも健康上問題はありませんが、カルキ臭を感じることがあります。より安全に美味しく水道水を飲みたい方は、煮沸したり浄水器を使ったりしてカルキ抜きをしましょう。
飲み物としての水はミネラルウォーターでも良いですが、よりおすすめなのは水道水です。水道水にはミネラルウォーターよりも厳しい水質基準が定められている上、ミネラルウォーターに負けないくらいミネラルが豊富に含まれています。また、浄水器のフィルター1個でペットボトル1800本分のごみを削減できるため、環境への配慮につながります。
水道水のカルキが気になる方は、ぜひクリンスイの浄水器を導入してみませんか。
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【参考文献】すべての参照年月日2024年5月31日
※1 公益社団法人 日本水道協会|水道用次亜塩素酸ナトリウムの 取扱い等の手引き(Q&A)
※2 厚生労働省|次亜塩素酸水
※3 学校保健ポータルサイト|Q&A 二酸化塩素による除菌等をうたった製品の使用について

みずはかせ
1997年より三菱ケミカル愛知研究所でクリンスイ製品の開発・評価・研究開発に携わる。フォークリフト運転免許と華道正教授の免許を持つ。