2024.04.17

クリンスイ40周年を記念して
浄水で仕込んだ「獺祭」が誕生。

photo / Norio Kidera
text / Hitomi Takano
edit / Akio Mitomi

きれいでまろやかな味わいの「クリンスイ仕込 獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分」

クリンスイの40周年を記念して、日本を代表する日本酒ブランド「獺祭(だっさい)」を製造・販売する旭酒造による「クリンスイ仕込 獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分」が完成した。初めて造ったのは30周年の際で、今回2度目のコラボレーションが叶った。

前回同様、日本酒の重要な原料のひとつである仕込み水に、クリンスイの超軟水を使用している。今回はその出来栄えや蔵の様子を見学するため、三菱ケミカル・クリンスイ代表取締役社長の田邉大地と共に、山口・岩国にある本社蔵を訪ねた。

取材陣を出迎えてくれたのは、旭酒造代表取締役社長の桜井一宏さん。まずは、日本酒と水の関係について伺った。普段から仕込み水にはこの土地の水、軟水を使用しているという。

「お水の硬度、つまりミネラルが含まれているかどうかは発酵への影響が意外と大きい。普段は軟水を使用していますが、発酵が進みにくい点は課題のひとつでした。ただ大吟醸に関していうと、発酵の進み方が緩やかなことで香りも味わいも深くなるという利点にもなります。今回のクリンスイ仕込みもやはり、発酵は他より緩やかに進んだと感じています」

さっそく「クリンスイ仕込 獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分」と、通常の「獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分」を飲み比べてもらうことに。

「どちらもおいしいけれど、香りの強さが違う。『クリンスイ仕込 獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分』の方が香り高くて、ややまろやかに感じます」と田邉。

「そうですね。ゆっくりと発酵が進んだ味わいで、きれいなお酒に仕上がっています。超軟水の仕込み水だからこそ、お米の溶け具合も発酵もゆっくり。それが柔らかくきれいな味わいを生み出していると思います。はっきりと覚えてはいませんが、30周年の時はもう少しスッキリ感が強かった記憶があります。今回は柔らかな甘みを感じますね」と、桜井社長がその違いを説明してくれた。

同じ米、同じ水を使って仕込んでも、その時々で味わいに違いが出るのが日本酒の面白いところであり、奥深いところでもあると話す桜井社長。それだけ日本酒にとって仕込み水は、味を左右する大事な原料のひとつなのだと改めて実感した。

近年は海外での評価も高く、アメリカやフランスでは多くのレストランでも親しまれている獺祭。昨年はアメリカ・ニューヨーク州に酒蔵が完成したことでも話題になった。硬水地帯の現地では仕込み水にどんな水を使用しているのか桜井社長に尋ねた。

「地域の規制により水道水を使用しています。蔵がマンハッタンに水を供給する源泉に近いあたりにあるので、水の質はとてもいいんですよ。ただ、水道水を使うということは日本より硬い水になります。つまり、ミネラルなどが多く発酵が進みやすい。これまで軟水に慣れてきた私たちにとっては経験がないので、いろいろと試行錯誤しています」

獺祭とクリンスイのコラボレーションが実現した背景には、両社が出演したテレビ番組での共演がきっかけだった。そのご縁で30周年の記念コラボレーションを依頼したのがはじまり。当時を振り返りながら、改めて酒造りと水の関係について桜井社長が考える。

「当時は、ミネラルがゼロの純水に近い超軟水で日本酒を造るということは未体験でした。だからこそ、私たちにとってもよい経験とノウハウになった、とても印象深いコラボレーションでした。それが、10年を経てまたご一緒できるというのはありがたいこと。あの頃から、私たちも発酵や酒造りについての技術や考えも進んでいます。その上でまた実現できたのは、面白い挑戦でした」

10年前とはまた違う味わいが楽しめる「クリンスイ仕込 獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分」。超軟水のまろやかさや甘みをぜひ味わってもらいたい。


最新情報はクリンスイ水の編集部Instagramアカウントで @cleansui_knows

後編はこちら

「クリンスイ仕込 獺祭」の旭酒造で、人の手による酒造りを見学。

クリンスイ40周年記念「クリンスイ仕込 獺祭(だっさい) 純米大吟醸 磨き三割九分」の蔵元である「旭酒造」の本社蔵で、製造工程を取材した。人の経験や勘だけでは踏み込めないところまで突き詰めるために、さまざまなデータを記録・分析し、手作業や手間、データと最新の技術などすべてを取り入れてきた旭酒造。

2024.05.15

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