
教えて水博士! #1
クリンスイの「中空糸膜」は何を除去できるの?
illustration / Ayako Kubo
edit & text / Akio Mitomi

Q. どんな物質をクリンスイで除去できるの?
A. そもそも水道水は、法令によって定められた水質基準51項目を、浄水場で基準値以下にしてから各家庭の蛇口へ届けられます。一方、ミネラルウォーター類は18項目の場合もあります。つまり、水道水はミネラルウォーターより水質基準項目が多いのですが、貯水タンクや建物内の配水管などで鉄さびやカビ臭が発生すると、基準より低いレベルでも人の鼻は敏感にニオイとして感じてしまいます。ほかにも、雑菌や溶け出た鉛などの配管由来の物質や、消毒用の塩素など、味を損なうといわれている物質が残っていると、蛇口から出てくる水がおいしいとは限らない。そこで、最後にクリンスイの浄水器でそれらの物質を除去すると、より安全でおいしい水になるのです。また、通常の浄水だけでなく「和食のためのクリンスイ」などはイオン交換樹脂を活用し、硬度成分を軟水化することができます。

Q. どこまで細かい物質を中空糸膜で除去できるの?
A. クリンスイがカビや雑菌、鉛、鉄、アルミニウムなどの物質を取り除くしくみは、中空糸膜の網目による物理的な除去です。さらにマイクロサイズのプラスチックも除去できます。これらは活性炭では取り除けません。中空糸膜の網目が必要なのです。その一方で、カルシウムやマグネシウムは網目を通るので、ミネラル分は残っているのです。たとえばオレンジジュースをクリンスイの浄水カートリッジでろ過してみると……透明な液体が出てきます! しかも飲んでみると、オレンジの風味は残っているんですよ。なぜなら色の成分は網目より大きいので中空糸膜で取り除かれ、風味の成分は網目を通って残るからなのです。
*オレンジジュースをろ過したフィルターは浄水に使えません。

みずはかせ
2018年より三菱ケミカル・クリンスイ株式会社技術部部長。一級建築士の資格を持つ。