「水を飲み過ぎると太る」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?水分摂取が原因による体重の増加は、一般的に「水太り」と呼ばれます。
しかしエネルギー(以下カロリー)がないはずの水を飲んで、なぜ体重が増えるのでしょうか?本記事では、水太りの原因や解消・予防法について詳しくご紹介します。また一日に必要な水の摂取量についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
水太りとは?
「水太り」とは、余分な水分が体内に溜まり、むくみの慢性化により体重が増加する状態を指します。水太りは西洋医学での定義はないものの、東洋医学では「脾虚(ひきょ)による肥満=水太り」と定義されることが多いです。
「脾虚」とは不健康な食生活や過労などが原因で、体内の水分の巡りが停滞してしまう症状を意味します。脾虚体質の方の主な特徴として、下記のようなものが挙げられます。※1
- 食後にお腹が張る
- 下痢をしやすい
- 食欲不振
- 腹痛時は温めた方が楽になる
- 顔が青白い
- 寒がり(特に手足が冷えやすい)
- すぐに疲れやすい
上記の該当項目が多ければ多いほど脾虚による肥満に陥りやすく、水太りしやすい体質であるといえるでしょう。また、脾虚体質は男性よりも女性に多く見られる傾向にあります。※1
慢性的なむくみ・水太りになる原因は?
日頃から過度な水分摂取をしているわけではなくても、慢性的なむくみや水太りに悩まされる方は少なくありません。その理由は一体何なのでしょうか?下記では、代表的な5つの原因について詳しく解説します。
腎臓障害によるもの
腎臓は血液をろ過して尿を作り、老廃物を体外に排出する役割を担っています。しかし、その腎臓が何らかの原因で機能不全を起こすと余分な水分やナトリウムが体内に蓄積され、むくみや水太りを引き起こしてしまうのです。
腎臓障害は検尿をおこなうと何らかの異常が認められる場合が多いため、心当たりのある方は一度かかりつけの医師に診てもらうと良いでしょう。※2
循環器系障害によるもの
過去に心筋梗塞や心筋炎などの発症経験がある方は、それが原因で心臓の機能が低下している可能性があります。心臓などの循環器官に不調が生じると、慢性的なむくみや水太りを発症しやすくなるでしょう。特に心臓の右心系に障害が残っている場合は、むくみが全身に生じやすいといわれています。※2
むくみがひどい場合は、一度横になって休息しましょう。そうすることで、心臓の負荷が軽くなり、むくみの解消につながるでしょう。
肝臓障害によるもの
肝臓は体内に入ってきた有害な物質を体外に排出させる、体の解毒機能を担う器官です。その肝臓に不調をきたすと、血中に水分を留めておくのに必要なたんぱく質の合成が正しく機能しなくなります。また、消化管から肝臓に血液を送る門脈の血圧が上昇しやすくなることも。※2
上記症状が表れると、余分な水分やナトリウムが体内に滞りがちになり、むくみや水太りの症状が頻繁に見られるようになります。
このほか、肝臓障害を発症している方は、むくみと合わせて腹水の症状が見られることが多いのも特徴のひとつです。※2
リンパ浮腫によるもの
リンパ浮腫とはリンパの流れが滞りリンパ節が腫れたり、手足が顕著にむくんだりする症状を指します。リンパ浮腫は、大きく分けて下記の2種類に分類できます。※3
- 二次性リンパ浮腫
- 原発性リンパ浮腫
一般的に見られるリンパ浮腫のほとんどは二次性リンパ浮腫です。二次性リンパ浮腫は、癌治療に伴う放射線治療の副作用として発症するケースが多く報告されています。※3
生活習慣によるもの
大きな病気を発症していない場合でも、慢性的なむくみや水太りに悩まされる方は多くいます。それらの主な原因は、日頃の生活習慣によるものがほとんどです。
下記の項目に当てはまる方は、日々の生活習慣の改善を試みてはいかがでしょうか。むくみや水太りの症状が改善されるかもしれませんよ。※4
- 運動習慣がない
- 長時間デスクワークをしている
- 一日中立ち仕事をすることが多い
- 水分や塩分、アルコールを過度に摂り過ぎている
このほか、生理前や妊娠中の女性も、むくみや水太りに悩まされやすい傾向にあります。※4下記の記事では生活習慣によるむくみについてより詳細に解説しているので、ぜひ参考にしてください。
慢性的なむくみ・水太りの解消法と予防法は?
次は、慢性的なむくみや水太りの解消法や予防法について詳しくみていきましょう。
腎臓障害が原因の場合
腎臓障害によるむくみや水太りを解消するには、病気の根本治療を最優先します。具体的な治療法はその時折の症状に応じて異なりますが、透析療法などが一般的です。
しかし、近年では不健康な生活習慣が原因で腎臓障害を発症する方も多くみられます。心当たりがある方は、病気の治療・予防のためにも、日常生活で下記のような点に気をつけてみましょう。※5 ※6
- 肥満を解消し、体重をコントロールする
- 血圧・血糖値・コレステロール値を管理する
- 運動習慣を取り入れる
- 禁煙
- 適切な水分補給を行う
- トイレを我慢しない
- 不必要な薬の摂取は控える
- 過度なアルコール摂取は控える
- 食事の減塩を徹底する
循環器系障害が原因の場合
心臓病などの循環器系障害を抱えている方は、症例に応じて下記のような治療を行いましょう。※7 病気の治療を進めることが、むくみや水太りの解消につながります。
- 心筋梗塞の場合…冠動脈の閉塞部を広げる「再灌流療法」を行う
- 心臓弁膜症の場合…カテーテル手術や「ダビンチ」と呼ばれるロボットによる手術を行う
循環器系障害を発症するまでには、生活習慣病の状態が長く続くといわれています。日頃から下記のような点に注意して生活すると、生活習慣病及び循環器系障害を予防できるでしょう。※7
- 規則正しい食生活を送り、内臓脂肪を蓄積させない
- 糖分・カロリー過多のおやつは避ける
- 適切な運動習慣を身につける(1回30〜60分、1週間に3回以上の運動)
- 禁煙
- アルコールを控える
肝臓障害が原因の場合
肝臓障害によるむくみや水太りに悩まされている方も、まずは病気の根本的解決を目指すことが何よりも重要です。
ただし、肝臓障害は日頃の食生活に気をつけることで予防できる病気でもあります。肝臓病予防に繋がる食生活の具体的な注意点については、下記の通りです。※8
- 1日3食、栄養バランスの整った食事を摂る
- 朝食を抜くと肝臓に大きな負担をかけるため、朝食は必ず摂る
- 肝臓へ余計な負荷をかけないよう、インスタント食品や加工食品は控える
- 便秘は肝臓の負担となるため、食物繊維を積極的に摂り便秘解消に努める
- 肉だけに偏らず、青魚や乳製品など多品目から良質なたんぱく質を摂るようにする
- 週に2日以上は休肝日を設ける
リンパ浮腫が原因の場合
リンパ浮腫は、一度発症すると完治が困難とされている病状です。そのためリンパ浮腫によるむくみや水太りを和らげるには、リンパ浮腫の発症予防に努めていくことが何よりも大切です。
リンパ浮腫の具体的な予防法については、下記の通りです。※9
- 体重の増加に気をつける
- 重たい荷物を持たないようにする
- リンパの流れを阻害するような締め付けの強い衣類の着用は避ける
- 日頃から丁寧なスキンケアを行い、皮膚を清潔に保つ
- 保湿薬を用いて皮膚を乾燥させないようにする
- 外傷や虫刺されに注意し、皮膚を傷つけない
- 過度に日焼けしない
- 長袖・長ズボンなど、皮膚を露出させない服装を心がける
生活習慣が原因の場合
不健康な生活習慣が原因でむくみや水太りの症状が出ている場合は、生活習慣を改めることが病状の根本的解決につながります。むくみや水太りを解消して日々の生活を快適に送るためにも、日頃から下記に挙げる項目に気をつけましょう。
- 毎日適切な量の水分補給を心がける
- 適宜ストレッチなどをして、長時間同じ姿勢でいないようにする
- 夜はシャワーだけで済ませず、入浴してしっかり体を温める
- 運動習慣を身につけ、血行促進・代謝改善に努める
- セルフマッサージを行う
- 症状に適した漢方などを用いて、インナーケアにも気を配る
より具体的なむくみの予防法・対処法については、下記の記事で詳細を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
水の適量摂取は必要
「水太りを解消するには、水の摂取量を減らせばいいのでは?」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、この認識は誤りです。
人体の60%が水分で構成されていることからもわかるように、水の適量摂取は健康的な生活を送る上で必要不可欠です。水太りを解消したいがために安易に1日の水分摂取量を減らすと、水分不足が原因で他の健康被害を被るリスクが高まります。
健康を維持するためにも、飲み水として1日に1.2リットル以上の摂取を心がけましょう。※10 水太りを解消したいのであれば水分摂取量を減らすのではなく、上記で解説したような生活習慣の改善を試みることが重要です。
日常の水分摂取を手軽に行う方法としては、水道水を飲むのがおすすめです。水道水であれば自宅にいるときはいつでも水を飲めて、外出時には水を入れた水筒を持ち運べば余計なコストがかかりません。
水道水を飲むことにはさまざまなメリットがあるので、ぜひ検討してみてくださいね。詳細は下記の記事でお読みいただけます。
水を美味しく安心して飲む方法は?
水の摂取方法の主な選択肢として、下記の2つが挙げられます。
- 水道水を飲む
- ミネラルウォーターを購入する
水道水質基準が非常に厳しい日本であるにも関わらず、一般的なイメージでは「水道水よりもミネラルウォーターの方が良質な水」と捉えられがちです。それは家庭に届くまでに水道管のサビなどの不安があったり、浄水場で消毒のために使用される残留塩素によるカルキ臭が気になったりするからでしょう。しかしそれらの物質を除去してミネラル分は通す浄水器を使用すれば、より安全に美味しく水道水を飲めますよ。
日本の水道水は安心・安全に飲めるほかミネラルも豊富に含まれているため、水道水を飲むことを習慣化すれば、ミネラルウォーターの購入頻度は少なくなるはずです。
水道水とミネラルウォーター類の水質の違いや、水道水を安心して飲める理由については、下記記事で詳細を説明しているので、ぜひ参考にしてください。
また、水道水のカルキ臭などが気になる方は、浄水器の使用がおすすめです。浄水器の詳細については、下記の記事をご覧ください。
水太りになる前から予防しよう!
水太りは水の飲み過ぎが原因なわけではなく、持病や生活習慣の乱れによって引き起こされます。今回ご紹介したように日々の生活習慣を見直すことは、水太りの解消に非常に効果的です。水太りに悩んでいる方は、ぜひ健康的な生活習慣を意識してみてください。
またいろいろ工夫しても改善しない場合には、一度、医師の診察を受けて病気が隠れていないか確認していただきましょう。
生活習慣を改める第一歩として、毎日適量の水を摂取することをおすすめします。浄水器を導入すれば、自宅でいつでも安心・安全に水を飲むことができますよ。
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【参考文献】
※1 日東医誌|肥満に係わる遺伝的体質と東洋医学的体質との関係ー個別化栄養指導の導入に向けての検討ー
※3 国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院|リンパ浮腫の原因や症状、合併症について -スーパーマイクロサージャリーを駆使した手術治療-
谷口 英喜
日本麻酔科学会を始め、多数の学会で専門医・指導医を務める麻酔医師・医学博士。神奈川県済生会横浜市東部病院患者支援センター長も務める。栄養分野も専門としており、脱水症に対する治療法「経口補水液療法」の第一人者としても知られている。『いのちを守る水分補給: 熱中症・脱水症はこうして防ぐ』を始めとした著書も多数。