水分補給に最も適しているのは「水」です。お茶で水分補給をしても問題はありませんが、カフェインやタンニンが含まれているため、飲み過ぎには注意が必要です。
そのうえで本記事ではお茶で水分補給をするメリット・デメリットや、お茶で水分補給する際の注意点について解説します。お茶をよく飲む方や効率的な水分補給について知りたい方は、ぜひ参考になさってください。
水分補給にお茶は結局、良いの?ダメなの?
お茶で水分補給をしてもダメではありません。しかし、お茶で水分補給することには、おすすめできる面とできない面があります。お茶の選び方や飲む量に気をつけ、他の水分補給方法とバランスを取れば、問題ないといえるでしょう。(詳しくは後述します。)
水分補給に一番良いのは水です。※1 なぜなら、水は人間が生きていくうえで必要不可欠なものだからです。
人間の体の約60%は水分でできています。※1 体の水分が不足すると、健康な状態を維持できません。また、水は栄養を体のすみずみに運ぶ役割や、体に不要なものを体外へ排出する働きもあります。体温を適度に保つのにも必要です。
より詳しく知りたい方は、下記の記事が参考になります。水の役割や体が喜ぶ飲み物についてわかりやすく解説していますので、ぜひご覧ください。
水分補給の重要性
水分補給が重要である理由は、次の5つがあげられます。
- 生きるため
- 栄養を運ぶため
- 不要なものを体外へ出すため
- 体温を適度に保つため
- 生活習慣病を予防するため
人間の体は約60%が水分でできていますが、汗や尿、皮膚・呼気からの蒸発で毎日約2.5Lの水分が失われます。※1 体内の水分が不足すると、生きるために必要な活動が行えず、体は健康な状態を維持できません。生きるためには、毎日必ず水分補給を行う必要があります。
また体内にある水分の約3分の1は、酸素や栄養を運ぶ役割を担っています。尿や便として老廃物を体外へ排出するにも、水分が必要です。暑い日も寒い日も体温を37℃前後に保つにも、水の働きがかかせません。
そして水分不足になると血液がドロドロの状態になり、血栓ができやすくなります。この状態を放置すると、さまざまな病気につながるおそれがあるため、水分補給は重要です。
詳細は以下の記事で解説しています。水分補給に適した飲み物も紹介していますので、参考になさってください。
お茶が水分補給におすすめできる理由
お茶は糖分やエネルギー(以下カロリー)が低く、健康に良いとされるカテキンが含まれています。適切な量を飲むなら、水分補給におすすめです。
糖分・カロリーが低い
お茶はジュースやスポーツドリンクなどの飲み物より、カロリーや糖分が少ない飲み物です。そのため、こまめに水分補給をするのに適しています。
<100gあたりの成分比較表>
食品名 | エネルギー(kcal) | 水分(g) | 炭水化物(g) | 食塩相当量(g) |
野菜ミックスジュース | 18 | 94.2 | 4.3 | 0.2 |
にんじんジュース | 29 | 92.0 | 6.7 | 0 |
オレンジジュース | 45 | 87.8 | 11.0 | 0 |
グレープフルーツジュース | 44 | 88.7 | 10.3 | 0 |
スポーツドリンク | 21 | 94.7 | 5.1 | 0.1 |
麦茶 | 1 | 99.7 | 0.3 | 0 |
ほうじ茶 | 0 | 99.8 | 0.1 | 0 |
ウーロン茶 | 0 | 99.8 | 0.1 | 0 |
表を見ると、麦茶・ほうじ茶・ウーロン茶は、他の飲み物に比べてカロリーと炭水化物が低く、水分量は多いことがわかります。余分なカロリーを摂取することなく水分補給できるお茶は、普段の飲み物にぴったりです。
しかし、真夏のお出かけやスポーツで大量の汗をかいたときは、水分だけでなくエネルギーやビタミン・ミネラルも補給する必要があります。そうした場合は、ジュースやスポーツドリンクを飲むのが適しています。状況に合わせて、適切な飲み物を選択することが大切です。
タンニン(カテキン)が含まれているため
茶葉にはタンニンが含まれています。お茶に含まれるタンニンは一般的には「カテキン」と呼ばれ、強い抗酸化力があることが知られている成分です。※2
しかし、タンニンには鉄の吸収を妨げる作用があるため、妊娠中の方や貧血気味の方は、飲み過ぎないように注意が必要です。※3
<お茶に含まれるタンニンの量>
お茶の種類 | タンニン量 *浸出液100mlに含まれる量(標準的な入れ方をして飲む場合) |
煎茶 | 70mg |
玉露 | 230mg |
ほうじ茶 | 40mg |
番茶 | 30mg |
玄米茶 | 10mg |
麦茶 | 0 |
紅茶 | 100mg |
ウーロン茶 | 30mg |
お茶の種類によって、含まれるタンニンの量に差があります。タンニンをあまり摂取したくない場合は、麦茶や番茶などを選ぶと良いでしょう。
お茶が水分補給におすすめできない理由
お茶はカロリーや糖分が低く水分は多く含んでいますが、水分補給におすすめできない理由もあります。お茶での水分補給は適量にとどめ、他の飲み物とバランスを取るようにしましょう。
お茶が水分補給におすすめできない理由
お茶やコーヒーに含まれるカフェインは、適量を取れば頭をスッキリさせ、眠気を覚ます働きがあります。※4 仕事に集中したい時や、頭をクリアにしてもうひと頑張りしたい時に、非常に役立つ成分です。
しかし、カフェインには利尿作用があり、取り過ぎるとかえって水分不足になるおそれがあります。そのため、カフェインの多いお茶は水分補給としては不向きです。
カフェインが多く含まれるお茶は玉露で、カフェインが少ないお茶には煎茶やウーロン茶があります。※4 また、麦茶はカフェインが含まれていないため、お子様でも安心して飲めるお茶です。
<飲み物に含まれるカフェインの量>
100mlあたりに含まれるカフェイン濃度 | |
コーヒー(コーヒー粉末) | 60mg |
エナジードリンク | 32~300mg |
玉露 | 160mg |
煎茶 | 20mg |
紅茶 | 30mg |
ウーロン茶 | 20mg |
麦茶 | 0 |
なお、カフェインは過剰に摂取すると、吐き気やめまいなどの体調不良を引き起こす可能性があります。※5 カフェインの感受性には個人差があるため、1日あたりのカフェインの摂取許容量は設定されていません。しかし、2001年に世界保健機関(WHO)は、妊婦はコーヒーの摂取量を1日3〜4杯までにすべきとしています。※4 健康な成人の場合、1日あたりのカフェイン摂取量は400mgまでとする国が多いようです。※4
シュウ酸が含まれているため
水分補給としてお茶を大量に飲むことは、尿路結石の原因となるシュウ酸を取り過ぎるおそれがあるため、おすすめできません。
お茶にはシュウ酸が含まれています。シュウ酸は多くの植物に含まれる成分で、植物中のカルシウムバランスを保つ役割をしています。しかし、シュウ酸を含む食品を取り過ぎると、尿路結石の原因となるおそれがあるため注意が必要です。お茶に含まれるシュウ酸の量は、下記の表の通りです。
<お茶100gあたりに含まれるシュウ酸の量>
お茶の種類 | 含まれるシュウ酸の量 |
玉露 | 1350mg |
抹茶・煎茶 | 1000mg |
番茶 | 670mg |
ほうじ茶 | 286mg |
野菜の中でシュウ酸が多いホウレン草でも、100gあたりに含まれるシュウ酸は800mgほど。お茶に含まれるシュウ酸は、意外に多いことがわかります。表にはありませんが、紅茶やコーヒーにもシュウ酸が多く含まれます。シュウ酸が気になる場合は、お茶を飲む量に気をつけるか、シュウ酸が少ないお茶を選びましょう。
なお、抽出回数が多くなるとお茶に含まれるシュウ酸の量は減り、最初の2回で7割ほどのシュウ酸が溶け出すと言われています。同じ茶葉で何度もお茶を入れればシュウ酸は少なくなりますが、やはりお茶は最初の1〜2杯がおいしいもの。おいしいお茶を楽しみたい方は、適量を飲むようにしましょう。
タンニン(カテキン)が含まれているため
お茶に含まれるタンニンは強い抗酸化力があり、健康や美容に役立ちます。※2 しかし、鉄の吸収を妨げる作用があるため、飲み過ぎには注意が必要です。※3 お茶は水分補給のメインとしてではなく、嗜好品として適度に飲むようにしましょう。
水分補給におすすめのお茶
以前はお茶に含まれているカフェインの利尿作用によってお茶は水分補給に不向きなどと言われていましたが、最近ではお茶でも水分補給になるといった研究報告もあるため、飲む量に気をつけて摂取するのが良いでしょう。ただし、お茶を飲み過ぎると、せっかくとった水分が体の外に出てしまうので、飲む量には注意が必要です。
カフェインが気になる人は、下記のようなノンカフェインのお茶を選びましょう。
- 麦茶
- 黒豆茶
- そば茶
- ごぼう茶
- ルイボスティー
はとむぎ茶もノンカフェインですが、利尿作用があるため水分補給には不向きです。お茶によって風味が異なるので、その日の気分や好みに合わせて選ぶと楽しいですね。またカフェインは耐性(慣れ)がつきやすいので、カフェインを日頃からとっていて利尿をもよおさない方もいます。そのような方はカフェイン入り飲料での水分補給も許容されます。
自宅でお茶を淹れる魅力
お茶を手軽に飲みたい時はペットボトルのお茶が便利ですが、よりお茶を楽しむなら自分で淹れるのが良いでしょう。自宅でお茶を淹れる魅力を紹介します。
ペットボトル削減につながり環境を守る
自宅でお茶を淹れればペットボトルが削減でき、環境を守ることにつながります。水道水でお茶を入れるのが心配な方は、浄水器を使うのがおすすめ。浄水器ならおいしい水でお茶を楽しめます。
さまざまなタイプの浄水器を取り扱うクリンスイでは、環境保全に貢献するため、商業施設やセレクトショップに給水スポットを導入する取り組みを行っています。2021年には三重県にあるリゾート施設「VISON」に、自動販売機の代わりに水道直結型のウォーターサーバーを10数か所設置しました。
詳しくはこちらの記事で紹介しています。水道水を飲むメリットやおいしさについても解説していますので、ぜひご覧ください。
自分で温度を調整できて旨みを最大限引き出せる
お茶はお湯の温度によって味わいが変わります。そのため、自宅でお茶を淹れれば、自分の好みの味わいに仕上げることが可能です。
お茶の味は、カテキン・アミノ酸・カフェインの3つのバランスによって決まります。例えば煎茶の場合、お茶の味を濃く出したいなら90℃で2分ほど、バランスの取れたお茶にしたいなら70℃で1分が目安です。
また水道水を使うときは、一度沸騰させてから適温まで冷ました「白湯」でお茶を淹れるのがおすすめです。白湯は残留塩素やトリハロメタンが取り除かれているため、安心して使えます。白湯を作るのが面倒なら、浄水器を使うと簡単です。クリンスイの浄水器を通した水道水は、トリハロメタンが除去されているため、お茶に適した温度に温めるだけで使えます。
白湯の作り方や飲み方については、こちらの記事で詳しく解説しています。白湯は健康や美容にさまざまな効果が期待できると言われていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ほっと一息つける
お茶を飲んだら気分が落ち着いた経験のある方も多いでしょう。お茶を淹れることで心身の休憩となり、リラックスできます。自宅に好みの茶葉を用意しておき、好きな時にお茶を楽しめるようにしておくのもいいですね。好きなお茶を飲んで一息つけば、気持ちも前向きになれます。
水分補給にはノンカフェインのお茶や水がおすすめ
私たちが健康に生きるためには、水分補給が必要不可欠です。お茶で水分補給をする場合は、お茶の種類や飲む量に気をつけ、カフェインやタンニンの取り過ぎに注意しましょう。自宅でお茶を淹れれば好みの味に整えることもできるうえ、好きな時にお茶が楽しめます。
お茶で水分補給するのも良いですが、水分補給に最も適しているのは「水」です。水は体内でさまざまな役割を担っているため、水分補給を効率よく行えます。一番手軽に安く飲める水は、やはり水道水です。水道水に不安がある方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。水道水のメリットや安全性について解説しています。
水道水をそのまま飲むことが苦手なら、浄水器を検討してみましょう。浄水器を使えば水道水に含まれるミネラルを残したまま、安全でおいしい水が飲めます。残留塩素(カルキ臭)も取り除かれるため、より風味の良いお茶も楽しめます。クリンスイではポット型からビルトイン浄水器までさまざまなタイプの浄水器をご用意していますので、自分に合った浄水器を探してみましょう。
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【参考文献】
谷口 英喜
日本麻酔科学会を始め、多数の学会で専門医・指導医を務める麻酔医師・医学博士。神奈川県済生会横浜市東部病院患者支援センター長も務める。栄養分野も専門としており、脱水症に対する治療法「経口補水液療法」の第一人者としても知られている。『いのちを守る水分補給: 熱中症・脱水症はこうして防ぐ』を始めとした著書も多数。