「かつお出汁は、沸騰した鍋にかつおぶしを入れて取るもの」。こんな風に思っている方はいませんか?実は、かつお出汁は水出しでもおいしく作れます。水出しと煮出した出汁にはさまざまな違いがあるため、ライフスタイルや料理に合わせて使い分けるのがおすすめです。
かつお出汁を水出しする方法と煮出した出汁との違い、水出しのかつお出汁で作るレシピを紹介します。
水出しのかつお出汁の作り方
水出しのかつお出汁は、手間をかけずにおいしい出汁を用意したいときにおすすめです。かつお出汁を水出しする方法を紹介します。
シンプル&簡単!かつおぶしと水だけで作る「かつお出汁」
用意するものは水とかつおぶし、ポットの3つです。ポットに水とかつおぶしを入れて冷蔵庫で一晩置くと、かつお出汁が出来上がります。
かつおぶしをそのままポットに入れても構いませんが、散らばるのが気になるならお茶のパックに入れると良いでしょう。時間はかかるものの、誰でも簡単にできる便利な方法です。
使う昆布の種類もポイント!「昆布出汁」
材料は水と昆布、あとはポットを用意するだけです。昆布の表面をさっと拭いてから、ポットの水に浸けます。そのまま一晩(10時間ほど)置くと、おいしい昆布出汁の出来上がりです。そのまま昆布水として飲むこともできます。
かつお出汁とは異なり、昆布の種類によって味が変わります。利尻昆布なら上質な味に、羅臼昆布なら濃厚な味に、山だし昆布なら普段使いしやすい味になるのです。
なお、食材の傷みやすい夏場は、冷蔵庫に入れて一晩置いてください。
「いりこ出汁」は水出しすると上品な味わいに
独特の風味が特徴的な「いりこ出汁」も、水出しができます。いりこ出汁特有のコクはそのままに、煮出すよりも雑味が少なめで上品な味わいのものが作れます。
作り方は他の水出しの出汁と同じで、水といりこをポットに入れて、冷蔵庫で一晩置くだけ。いりこの頭やワタは取っても残しても、どちらでも大丈夫です。「頭やワタからも旨味がたっぷり出るから」と、取らずにポットに入れる人も多いようです。
使う前にキッチンペーパーなどを使って漉すと、口当たりも良くなります。
香り豊か!材料をまとめて入れるだけの「昆布かつお出汁」
まろやかで香り豊かな出汁が好きなら、材料をまとめて入れるだけの「昆布かつお出汁」がおすすめです。かつおぶしのみ・昆布のみで取る出汁より、旨味も増します。
水、かつおぶし、昆布をポットに入れ、冷蔵庫で一晩置けば完成です。昆布かつお出汁は10時間ほどでできるため、夜準備し忘れても、朝セットしておけば夕飯に使えます。
昆布はどんな種類でも構いませんので、好きな昆布を用意してください。
保存期間は2~3日が目安
水出しした出汁は、2~3日ほどで使い切るのがおすすめです。あまり長期間保存すると、出汁やポット内の材料が傷む恐れがあります。
また、出汁の材料は入れたままでも使えますが、こちらも傷み防止のために早めに取り出した方が良いでしょう。
煮出したものと水出ししたものの違いは?
煮出したものと水出ししたものとでは、味わいや合う料理が異なります。それぞれの特徴を知って、上手に使い分けましょう。
水出しはすっきりした味に
水出しのかつお出汁は、比較的淡泊な味わいが楽しめます。お吸い物や薄い味付けの煮物、和え物などに向いているほか、そのまま飲むこともできます。加熱していない分、濁りにくい点も特徴です。
ただし、煮出したときほど香りが立たないため、出汁がメインとなる料理にはやや不向きといえます。
煮出すと風味が際立つ
煮出す場合は、より風味のしっかりしたコクのある出汁が取れます。うどんやそばのように出汁がメインとなる料理や、スープや鍋物、濃い味付けの料理を作るときにおすすめです。
注意点としては、高温で煮出しすぎないようにすることです。香りが飛んでしまい、風味が損なわれます。鍋の水が沸騰したら差し水をして温度を下げると、香りの良い出汁が取れます。
こんな使い道も!水出しのかつお出汁で作れるレシピ
水出しした出汁は、普段食べているさまざまな料理に使えます。でも、さらに一工夫するだけでおしゃれな料理にも変身します。
手軽でおいしい「じゃがいものお吸い物」
出汁と生姜の香りで、心が落ち着きます。
(材料:4杯分)
- じゃがいも(男爵)1個(目安)
- 生姜 2かけ
- 昆布かつお出汁 600ml
- 塩 小さじ1/2
(作り方)
- 生姜の皮をこそげてから千切りにし、じゃがいもは皮をむいておく。
- 鍋に出汁を入れて温め、生姜を加える。フツフツしてきたら塩を加える。
- じゃがいもをすりおろしながら加え、強火でしっかり沸かす。
- 混ぜながら4分ほど加熱し、とろみがついたら完成。
すりおろすじゃがいもの量は、とろみの状態を見ながら加減してください。
優しい食べ心地の「茶粥」
煎茶を煎ることで、香りが抜群に良い茶粥に仕上がります。
(材料:4人分)
- 米 2合
- 煎茶 大さじ2
- 水出ししたかつおと昆布の合わせ出汁 1L
- 木の芽 10枚(お好みで)
(作り方)
- 煎茶をフライパンで香りが立つまで煎って、ほうじ茶にする。
- 急須に茶葉を入れ、ほうじ茶を作る。
- 2で作ったほうじ茶で米を炊く。
- だしに塩と薄口しょう油をごく少量加え、炊き上がった米にかけて完成。
味付けが少量の塩と薄口しょう油のみなので、出汁の旨味を堪能できますよ。
素材の味が楽しめる「酢浸し」
出汁とお酢と塩だけのシンプルな酢浸しです。
(材料:作りやすい分量)
- カブ 2個
- キクラゲ(生)100g
- 柿(干し柿でも可)1個
- 柚子の皮 1/3個分
- 水出しした昆布かつお出汁 300ml
- 米酢 大さじ1
- 塩 小さじ1
(作り方)
- 出汁に米酢と塩を混ぜ、塩を溶かしておく。
- カブを切り、塩を振ってなじませておく。
- キクラゲは硬い部分を取り除いてゆで、一口大に切る。
- 柿は4等分して皮をむき、さらに4等分しておく。
- 出汁、米酢、塩を合わせたものにその他の材料を加え、冷蔵庫で1~2時間以上(半日)冷やす。
- 盛り付けるときに柚子の皮を乗せて完成。
シンプルな料理だからこそ、出汁と素材本来の味が楽しめます。
水出しの出汁をもっと楽しむコツ
水出しの出汁が冷蔵庫にあると、料理の幅がグンと広がります。もっと出汁を楽しめるよう、水出しの出汁を作る際に知っておくと役立つコツを紹介します。
かつおぶし以外の材料を使ってみる
本記事ではかつお出汁、かつおぶしと昆布の出汁を紹介しましたが、煮干しやしいたけなど、出汁の定番食材でもおいしい水出しの出汁が作れます。かつおや昆布出汁と同様に、食材と水をポットに入れて一晩置けば出来上がりです。
また、「昆布と煮干し」といったように、2つ以上の材料を組み合わせて作る方法もあります。材料の相乗効果で、旨味の強い出汁に仕上がるでしょう。
パックの出汁も水出ししてみる
スーパーや百貨店では、だしを粉末にして包装した「だしパック」も売られています。こうした「だしパック」もポットに浸けておけば水出しできるため、試してみるのも良いでしょう。
ただし、商品によっては独特の風味が強く出てしまう可能性があります。まずは少量で様子を見てから、普段の量で作ってみてはいかがでしょうか。
水にもこだわってみる
水出しに使う水にも注目すると、よりおいしい出汁ができます。どんな水を使っても出汁は作れますが、できれば軟水を使いましょう。ミネラルが少ない方が、材料の旨味が出やすくなります。
また、浄水器でろ過した水道水(浄水)を使うのもおすすめです。水道水に含まれる残留塩素や不純物が取れるため、さらにおいしい出汁になるでしょう。
手軽な水出しの出汁を常備しておこう
水出しの出汁は水と材料をポットに入れ、一晩置くだけで簡単に作れます。煮出して取る出汁よりすっきりした味になるため、幅広い料理に使えて便利です。
水出しの出汁はかつおぶしや昆布などさまざまな材料で作れますが、よりおいしく作るなら水にもこだわるのがおすすめです。
クリンスイでは、出汁にぴったりな水が作れる浄水器「お出汁をおいしくするための水 JP407-D」も用意しています。水道水の硬度を低減してくれるため、出汁を楽しむなら一度は使ってみてください。
「お出汁をおいしくするための水」の商品ページ
https://www.cleansui.com/shop/g/gJP407-D/
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明治四年創業、昆布の老舗 奥井海生堂
福井県敦賀市に本社を構える高級昆布の専門店。創業明治4年。明治中頃より曹洞宗大本山永平寺御用達として、大正時代から昭和の初めにかけては北大路魯山人をはじめ京都の高級料亭との取引もはじまり高級昆布司として暖簾を守り続けている。特に北海道の礼文島、利尻島で収穫された天然利尻昆布を2年、3年と専用昆布蔵で寝かせ旨味を増す「蔵囲昆布」は有名。