私たちの喉を潤してくれる麦茶は、大人だけではなく、赤ちゃんも飲める飲み物です。しかし、赤ちゃんに与える麦茶の作り方や飲ませ方には注意が必要です。
この記事では、赤ちゃんに麦茶を与える時期や作り方のポイント、麦茶を飲ませるうえで知っておきたいことなどをお伝えします。
麦茶は赤ちゃんにいつからあげるべき?
麦茶はノンカフェインなので、生まれてすぐの赤ちゃんに飲ませても大丈夫であるように思えます。
しかし麦茶は、離乳食が始まる時期まで与えなくても良いのです。まずは、赤ちゃんにいつから、どのような麦茶を飲ませてよいかを確認していきましょう。
生後5~6カ月頃までは必要ない
そもそも、生まれた直後から生後28日未満にあたる新生児の時期には、赤ちゃんに母乳やミルク以外の飲み物を与える必要はありません。
離乳食が始まる生後5~6カ月ごろまで、飲み物は母乳とミルクだけで十分です。水分が不足していると感じても、麦茶や白湯ではなく母乳やミルクを与えましょう。麦茶や白湯には糖分が含まれていないため、赤ちゃんに与えると低血糖になるおそれがあります。
あげるときは薄めたものかベビー用を
離乳食が始まる5~6カ月ごろになれば、赤ちゃんも麦茶を飲めるようになります。麦茶にはさまざまな種類がありますが、どれを選んでも構いません。
ただし大人が飲む麦茶は味が濃いため、赤ちゃんには湯冷まし(白湯)で薄めたものを飲ませます。麦茶の種類に迷ったら、ベビー用の麦茶を選ぶのも良いでしょう。
赤ちゃんにあげられる麦茶の作り方
麦茶の作り方には、いくつかの方法があります。それぞれの作り方とともに、赤ちゃんにあげる際の注意点を解説します。
ティーバッグタイプは煮出すか水出しで作る
ティーバッグの麦茶は、やかんや鍋に水とティーバッグを入れて、火にかけて煮出して作ります。あまり長時間煮出すと、麦茶が濃くなってしまうので注意しましょう。
ティーバッグの麦茶のなかには、水に浸すだけで作れる水出しタイプもあります。このタイプは、使用する水の種類にこだわりましょう。
水出しタイプの麦茶を作る際は、湯冷ましや浄水器でろ過した水を使ってください。不純物や雑菌が入った水で作った麦茶を与えるのは、消化器官や免疫機能が未発達な赤ちゃんにはリスクがあります。
また、赤ちゃんに冷たいものをあげると、お腹を壊すおそれがあります。基本的には煮出して作ったものを冷まして、常温程度になった麦茶を飲ませましょう。
粉末タイプなら水に溶かすだけ
粉末タイプの麦茶は、水やお湯に溶かすだけで手軽に作れます。ただしこのタイプも、使用する水やお湯の種類には注意してください。冷たい水を使うと、赤ちゃんが下痢を起こすかもしれません。
硬度の高い水道水やミネラルウォーターも、あまりおすすめしません。カルシウムやマグネシウムなどを分解しきれず、赤ちゃんが体調を崩すおそれがあるためです。
赤ちゃんに粉末タイプの麦茶を飲ませるときは、湯冷ましに溶かすとよいでしょう。浄水器でろ過した水で、湯冷ましを作るのもおすすめです。
清潔な容器に入れ、早めに飲みきって
どのような方法で作る場合でも、麦茶の保存に気を配りましょう。作った麦茶は、冷蔵で1~2日ほど保存可能です。
余った麦茶はすぐに冷やし、できるだけ早めに飲みきるようにしてください。雑菌が入らないように、清潔な道具や容器を使用することも大切です。
赤ちゃんに麦茶を飲ませるときの量や温度は?
ここからは、赤ちゃんに飲ませる麦茶の温度や量について解説します。赤ちゃんの体に負担をかけない、麦茶の飲ませ方を知りましょう。
温度は人肌程度に
麦茶は、人肌ほどに温めてから赤ちゃんに与えると良いでしょう。
冷たい麦茶は赤ちゃんの胃腸を刺激してしまうため、飲ませないようにしてください。夏場でも冷たい麦茶は避けて、温めてから飲ませてはいかがでしょうか。
量はスプーン1杯程度から
赤ちゃんに初めて麦茶を飲ませるときの量は、スプーン1杯ほどが目安です。少量から飲ませて徐々に量を増やし、麦茶に慣れさせてあげてください。また食物アレルギーのリスクがあるため、麦茶を飲ませたら赤ちゃんの様子に変化がないか、見守ってあげましょう。
赤ちゃんが麦茶を嫌がる場合、無理に飲ませる必要はないかもしれません。少し時間を置いてから、様子を見てゆっくり飲ませてあげてください。
赤ちゃんに麦茶をあげるときに知っておきたいこと
ほかにも、赤ちゃんに麦茶を飲ませるときに知っておきたいことがあります。安心して麦茶を与えられるよう、確認しておきましょう。
赤ちゃんに麦茶を飲ませるタイミングは?
赤ちゃんに麦茶を飲ませるのは、夏場に汗をたくさんかいたときやお風呂に入った後など、水分が不足していると感じるときだと言われています。
ただし卒乳前であれば、まずは母乳やミルクを与えます。喉が乾いていそうなタイミングで麦茶を飲ませるのは、卒乳後からで大丈夫です。
卒乳後の水分補給の練習として、卒乳前に麦茶を与えることは問題ないとされていますが、母乳やミルクを優先して与えましょう。
麦茶は絶対に安全に飲ませられる?
まれに、麦茶が食物アレルギーの原因になることがあります。麦茶は大麦を煎じて作るため、小麦とは関係がありません。しかし重度の小麦アレルギーや大麦アレルギーがある場合、麦茶を飲むとアレルギー症状が現れる可能性があります。
大麦アレルギーの発症頻度は低めですが、小麦アレルギーは乳幼児によく見られる食物アレルギーです。麦茶を飲ませるときは、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ与えましょう。体調に変化があれば、病院を受診してください。
赤ちゃんが麦茶を飲みたがらないときは?
赤ちゃんが麦茶を嫌がるときは、いくつかの理由が考えられます。例えば、味やにおいが好みではない、水分が足りているといったことがあるでしょう。
先ほど解説したように、母乳とミルクで水分補給はできているため、麦茶を嫌がるなら無理に飲ませる必要はありません。麦茶は母乳やミルクを含めて、水分補給の選択肢のひとつであると考えると良いでしょう。
授乳中に麦茶を飲んでも赤ちゃんに影響はない?
同じ飲み物でもコーヒーや紅茶、緑茶にはカフェインが入っています。授乳中のママがカフェイン入りの飲み物を飲みすぎると、母乳を介して赤ちゃんの健康に影響を与える可能性があります。
しかし麦茶はカフェインが含まれておらず、赤ちゃんから高齢者まで安心して飲めます。母親が授乳中に飲んでも、赤ちゃんの健康を損なうおそれはほとんどありません。
麦茶以外で赤ちゃんに飲ませても良い飲み物は?
赤ちゃんに飲ませても良い飲み物には、麦茶以外に湯冷ましやイオン飲料があります。ただし、離乳食が始まる前の赤ちゃんは低血糖になるおそれがあるため、麦茶や白湯を飲ませるのは避けましょう。
また、緑茶や紅茶といったカフェイン入りの飲み物や、はちみつが入った飲料は飲ませないでください。赤ちゃんの健康に影響を与える可能性があるためです。
飲ませるときに注意が必要な飲み物は、水道水やミネラルウォーター、果汁、ジュース類です。離乳食が始まった後でも、極端にミネラルが多いものや、味が濃いものを赤ちゃんに飲ませるのは避けましょう。
また初めての飲み物を与えるときは、アレルギー症状が出ないかを確認するようにしてください。
赤ちゃんの水分補給に麦茶をうまく使おう
麦茶は、離乳食が始まった段階であれば、赤ちゃんに与えても問題ない飲み物です。水出しや粉末タイプなど、さまざまな種類の麦茶が市販されていますが、飲む頻度が多いのであれば、煮出して作るタイプをおすすめします。
体の機能が十分に発達していない赤ちゃんに飲ませるため、使用する水には配慮が必要です。雑菌や不純物を含まない浄水は、赤ちゃんにあげる麦茶を作る際も安心して使えるでしょう。赤ちゃんの健康を守るために、浄水で麦茶を作ってはいかがでしょうか。
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妹尾りか
助産師。看護師免許・助産師免許を取得後、都内の総合周産期母子医療センターを有する大学病院に入職。身体的・精神的・社会的にハイリスクな症例の外来および病棟業務に5年間従事する。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務し、助産師として赤ちゃんとその家族をサポートしている。