妊娠中は食べ物だけでなく、飲み物にも注意が必要だと聞いたことはありませんか?実は妊婦さんが積極的に摂取して良い水分の種類とその摂取量は、妊娠前とは異なります。
具体的にどのような水分をどのくらい摂るべきなのか、妊娠中の水分補給が大切な理由とあわせて詳しく解説します。
妊娠中に摂って良い水分は?
妊娠中に摂っても良い水分の種類は、大きく2つあります。水分補給をする際の参考にしてみましょう。
水道水やミネラルウォーター
妊娠中には、水道水やミネラルウォーターで水分補給するのがおすすめです。日本の水道水は乳児でも飲めるよう、ミネラルウォーター以上に厳しい水質基準で安全管理がされています。そのため、妊娠中はもちろん、授乳中にも安心して飲めるのです。
もし水道水を飲むことに抵抗がある場合は、浄水器を活用しましょう。ろ過することで残留塩素や不純物を取り除き、水道水をよりおいしくしてくれます。
市販のミネラルウォーターを飲む場合は、硬水・軟水どちらを選んでも問題ありません。便秘が気になる方は、ミネラル分が多く腸をほどよく刺激してくれる硬水を飲むと良いと言われています。
麦茶やそば茶
妊娠中にはカフェインを含まない飲み物もおすすめです。代表的なものは、麦茶やそば茶です。
ただし同じお茶でもほうじ茶やウーロン茶にはカフェインが含まれているため、妊娠中の摂取はできるだけ避けましょう。
妊娠中は避けた方が良い飲み物
妊娠中に摂取しない方が良い飲み物もあります。水分補給の際は、これからご紹介する飲み物は控えるよう心がけましょう。
カフェイン入りの飲み物
カフェインを過剰に摂取すると、胎児や胎盤に影響が出ると言われています。1日の摂取量は、トータル300mgまでに留めてください。
一般的なカフェイン入りの飲み物とその100mlあたりのカフェイン濃度、1回飲むごとに摂取するカフェインの量は以下の通りです。
飲み物の種類 | 100mlあたりの カフェイン濃度 | カップ1杯(200ml)あたりの カフェイン摂取量 |
コーヒー | 60 mg | 120 mg |
紅茶 | 30 mg | 60 mg |
緑茶(煎茶) | 20mg | 40mg |
ウーロン茶 | 20 mg | 40 mg |
清涼飲料水 | 32~300 mg | 製品によって異なる |
参考:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html#caffeine_contein
ただし、カフェイン摂取を減らすことでストレスになる場合は、摂取量に注意しつつ飲んでも構いません。紅茶であれば、6杯程度までなら飲んでも問題ないと言われています。
妊娠前からコーヒーや紅茶を好んで飲んでいた方であれば、ノンカフェインのコーヒーや紅茶などを選ぶのがおすすめです。
アルコール
妊娠中にアルコールを摂取すると、胎児の発育に影響すると言われています。カフェインとは異なり、妊娠中のアルコール摂取は少量でも避けたいものです。アルコールは母乳を通して赤ちゃんに移行するため、授乳中も避けましょう。
最近はノンアルコールビールやカクテルなどもありますが、こうした飲み物にも微量のアルコールが含まれているため、避けてください。雰囲気を楽しむために、炭酸水などを飲むのは全く問題ありません。
シリカやケイ素が入った水
シリカやケイ素が入ったミネラルウォーターも、妊娠中は飲むのを控えましょう。
こうした成分は普段の食事からでも十分摂取できると考えられているため、意識的に摂取する必要はありません。またその効果については検証されていない部分もあるため、妊娠中の摂取は避けた方が無難です。
妊娠中に摂るべき水分の量は1.5~2Lが目安
妊娠中に摂るべき水分量は、1日1.5~2Lが目安です。
一般的に、人間は1日に体重1kgあたり約40mlの水分を摂るべきと言われています。ただ、そのうち1Lほどは食事から吸収できるため、不足分を水でまかなうべきとされているのです。
しかし妊娠中は普段より多くの水分を必要とするため、いつもより意識的に摂取するよう心がけることが大切です。妊娠中に水分が不足すると、合併症が起こるリスクも高まります。水分をしっかり摂ることで、そうした症状を防ぐ効果も期待できます。
妊娠中に水分摂取が必要なのはなぜ?
そもそも、妊娠中の水分摂取はなぜ重要だと言われているのでしょうか?その理由について解説します。
代謝が良くなるため
妊娠中は、栄養や脂肪を蓄えやすい体質に変化します。同時に、蓄えた栄養や脂肪をエネルギーに変えるため代謝が良くなり、汗をかきやすくもなるのです。
さらに胎児の成長に伴ってぼうこうが圧迫されたり、ホルモンバランスの変化や血液量が増加したりして、トイレも近くなりやすいと言われています。妊娠中はこうしたさまざまな要因により、いつも以上に水分を消費しているのです。
便秘を防ぐため
妊娠中はホルモンの影響、つわりによる食事量の減少や運動不足によって、便秘になりやすい傾向があります。便秘になっても胎児への影響は少ないものの、ママのお腹が張りやすくなることで切迫流産・早産につながる危険性があるのです。
水分を十分に摂取することで、腸のぜん動運動を促せます。さらに便に多くの水分が含まれるようになるため、便秘解消・防止の効果も期待できます。ママの体への負担やストレスを軽減するためにも、こまめな水分補給を心がけましょう。
血栓症などの疾病を避けるため
妊娠中は、出産時の出血に備えて血液が固まりやすい状態です。そのため、血管内に血の塊ができる「血栓症」を起こしやすいと言われています。
また胎児の成長に伴う子宮の増大により足からの血流が妨げられると、足がつりやすくなったり、「深部静脈血栓症」(いわゆるロングフライト症候群)のリスクが高まったりする傾向があります。水分補給はこうしたトラブルの対策にもなるのです。
妊娠中の水分摂取についてのQ&A
最後に、妊娠中の水分摂取に関して気になっている人も多い3つの疑問点について解説します。
トイレの近さが気になって水分を摂りたくない…
トイレが近くなるからといって、水分摂取を控えるのはやめましょう。身体の水分が足りなくなると血液不足や血栓症につながり、ママの体にも影響が出る可能性があります。
また前述の通り、妊娠中は赤ちゃんの成長に伴ってぼうこうが圧迫されます。トイレの回数が増えるのは、自然なことだと言えるでしょう。
ただしあまりにも頻繁にトイレへ行く場合は、主治医に相談することをおすすめします。
なかなか水分が摂れない…
体調やつわりの影響で、水を飲めないこともあるかもしれません。そのような場合は、ジュースや牛乳など飲めるものを探して摂取することが大切です。
どうしても水分を摂ることが難しい場合は、氷を口に含むだけでも大丈夫です。それも難しいようであれば、病院を受診して医師に相談してみましょう。
水道水を飲むのに抵抗がある…
基本的に日本の水道水は安全管理がされているため飲んでも問題ありませんが、少し抵抗を感じる人もいるかもしれません。その場合は、浄水器やウォーターサーバーを活用するのがおすすめです。
特に妊娠中は、重いペットボトルの水を運ぶことも困難になる可能性があるため、自宅でいつでもおいしい水が飲める浄水器やウォーターサーバーは非常に便利です。
妊娠中はこまめに水分を摂ろう
妊娠中は妊娠前より水分の消費量が増えるため、いつも以上にこまめな水分補給を意識することが大切です。ただし、胎児への影響が懸念されるカフェインやアルコールなどが含まれる飲み物はできるだけ控え、水や麦茶などを積極的に摂取しましょう。
お手軽な水道水をよりおいしく飲みたい場合には、自宅に浄水器を置くのがおすすめです。クリンスイではユーザーの生活スタイルに合わせたさまざまな浄水器を展開しており、レンタルサービスも実施しています。ご自身のライフスタイルに合わせて、身近な水道水を活用してみてはいかがでしょうか。
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妹尾りか
助産師。看護師免許・助産師免許を取得後、都内の総合周産期母子医療センターを有する大学病院に入職。身体的・精神的・社会的にハイリスクな症例の外来および病棟業務に5年間従事する。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務し、助産師として赤ちゃんとその家族をサポートしている。