おいしい水を調味料に。春野菜の蒸し煮。
新玉ネギ、新ジャガ、グリーンピース、スナップエンドウなど、春に収穫できる春野菜は、栄養分をたっぷり含み、ほのかな苦みや香りがあるのが特徴。今回、料理家の渡辺有子さんがおすすめしてくれたのは、春野菜の蒸し煮。野菜自体がしっかりと水分を蓄えているので、秋冬の根菜とはちょっと違ったおいしさが味わえるという。
「春に旬を迎える、この時期ならではの野菜のみずみずしさをそのまま味わえる一品です。春野菜は時間をかけた煮込みよりも、さっとできる蒸し煮が向いています。新緑の季節でもあり、野菜も青々しいものが出てくるので、きれいな色味を目で楽しめるのもいいですね。春野菜はいろいろありますが、食べたいものを自由に組み合わせてみてください。3〜4種類の野菜でもおいしくできます」
調理法は素材の旨みを存分に引き出すためにもごくシンプルに。
「バターと塩、少量の水しか使いません。スープのように水を多く使うと野菜自体の味が淡くなってしまうので、野菜の水分で料理するくらいの感覚で、野菜の食感を味わいます。厚手の鍋を弱火にかけ、最初に根菜類を、水気をきりすぎないようにしながら入れるのがコツです。そこに塩と片栗粉とともに少量の水をまぶした鶏肉、半量ずつのバターと塩、イタリアンパセリがあればのせて、ふたをして弱火で8〜9分加熱。その後にスナップエンドウなどのグリーンを入れて、残りのバターと粗塩をふって、さらに3〜4分加熱。蒸し時間はあくまでも目安なので、野菜の切り方や水分量によって蒸す時間は多少前後させてください」
野菜のみずみずしさや甘み、ほろ苦さを味わうには、ほんの少しの水でいい。でもだからこそ、使う水が大切になってくる。出汁用のクリンスイの浄水は塩素や雑菌などを除去するだけでなく、マグネシウムやカルシウムなどの硬度となる成分を、料理に合うよう絶妙な割合で取り除き、軟水化してくれるので、野菜を洗うとき、さらすときにも積極的に使うのがいいと渡辺さん。
「例えば、水にさらしている野菜はザルにはとらず、水をきりすぎないようにボウルからそのまま鍋へ移すようにします。鶏肉にも少量の水をまぶすなど、私は調味料として使っています。水分を“まとわせる”ような感覚ですね。少量だからこそ、おいしい水にこだわることで味わいも変わってきますよ」
春野菜の蒸し煮 2~3人分
- 新玉ネギ 1/2個
- 新ジャガ 1個
- 春ニンジン 1/2本
- スナップエンドウ 8本
- プチヴェール 6個
- アスパラガス 4本
- グリーンピース 16さやイタリアンパセリ あれば2本
- 鶏胸肉 1/2枚
- 粗塩 ふたつまみ
- クリンスイの浄水 小さじ2
- 片栗粉 小さじ1
- バター 20g
- 粗塩 小さじ1/2
- 新玉ネギは4等分程度のくし切り。新ジャガは皮つきのまま3mm厚さに切る。春ニンジンは皮をむき3mmの輪切り。
- スナップエンドウは筋を取り、斜め半分。プチヴェールは硬い部分を切る。アスパラは硬い部分を切り、硬い皮をピーラーでむき、4等分長さに切る。グリーンピースはさやから豆を出す。
- 1、2それぞれをクリンスイの浄水にさらす。
- 鶏胸肉は筋を切り、小さめのそぎ切りにする。粗塩ふたつまみをふり、クリンスイの浄水を加え片栗粉をまぶす。
- 厚手の鍋を弱火にかけ、1を水気をきりすぎないようにしながら入れ、4も入れ、半量のバターと半量の粗塩、イタリアンパセリをのせてふたをする。中火弱で8〜9分加熱する。
- 2を水気をきりすぎないようにして加え、残りのバターと粗塩をふって、さらに3~4分加熱する。
わたなべゆうこ
料理家。素材の味わいを引き出すやさしい料理と、センスよくすっきりした暮らしぶりが人気。『渡辺有子の家庭料理』など著書多数。また食にまつわるショップ『FOOD FOR THOUGHT』を都内に3店舗展開、作家の器やオリジナル商品など自身が使いたいものをセレクトして扱う。https://foodforthoughttokyo.com