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朝食の新たな定番に、おいしい水で作る温かな「ポリッジ」を。
「水を沸かすとお湯になって、もっと沸かすとスチームになる。それが冷えるとアイスになる。水は循環しているんです。それは地球上でも、人の体内でも同じ」
そう話すのは、菓子研究家の福田里香さん。水の三態(水・水蒸気・氷)をヒントに、新しい水の味わい方を提案するシリーズ企画。2022年夏に提案したクリンスイの食べる水ゼリーに引き続き、第2弾では、たっぷりと水を浸透させるオートミールの新しい楽しみ方「ポリッジ」のレシピを教えてくれた。
ポリッジとは、イギリスで昔から親しまれてきた朝食のひとつで、オーツ麦を水やミルクで煮て作るお粥のような料理で、オートミールとも呼ばれている。オーツ麦は、ビタミンやミネラル、食物繊維などを豊富に含む、栄養価の高い素材として知られている。腹持ちもよく、低GI食品のため、ヘルシーな朝食として日本でも注目されてきた。
ひとことでオートミールと言っても、加工方法によってさまざまな形状がある。例えば、オーツ麦のもみ殻を取り除いた「オートグローツ」。それを蒸して潰し、乾燥させたものを「ロールドオーツ」。さらにそれを細かく砕いたものを「クイックオーツ」、ロールドオーツを調理して乾燥させそのまま食べられるようにしたものを「インスタントオーツ」と呼ぶ。
福田さんは今回、もみ殻を取り除いてさらに細かく割った「スティールカットオーツ」を選んだ。外皮や胚芽は残ったままなので、オーツ麦本来のおいしさとプチプチとした歯応えも味わえるのが特徴だ。
スティールカットオーツを使ったポリッジの作り方は、とてもシンプル。浄水にしっかり浸水させたら、差し水をしながら約10分間、しっとりと柔らかくなるまで煮込んで完成する。シンプルな分、おいしく仕上げるには、お水と浸水がポイントだと福田さんは話す。
「スティールカットオーツは無加工に近いので、前日からしっかり浸水させておくことが大切。翌朝にはほとんどのお水を吸っています。お米も同じですが、素材が最初に吸収するお水は、味にも大きく影響します。オートミールはお米と違って研がずに使うので、よりお水が重要。だからこそ、おいしいお水を選びたいですね」
もともとイギリスでは、ミルクで煮るのがクラシックな調理法だが、今回は煮る時にも浄水を使用する。煮る間も焦げつきにくく、食べ方のアレンジも広がるという。
自由自在な食べ方が楽しめるのも、福田さんが作るポリッジの良いところ。
「イギリスではゴールデンシロップ(糖蜜)をかけて、シンプルにいただくのがベーシックな食べ方ですが、生のフルーツやナッツ類、甘みが欲しければハチミツやドライフルーツ、生クリームなどをトッピングすると、満足度も高まります。最後に、温めた牛乳やオーツミルクなどをかけると、さらに身体を内側から温めてくれます」
温かく、フルーツなどで贅沢に彩られたポリッジは、寒い朝の身体に嬉しいひと皿。見た目にも楽しく、心もお腹も満たしてくれる。
浄水で煮込んでいるからこそ、和風にアレンジすることもできる。
「もちもちとした食感と穀物の風味は、雑穀粥のよう。塩をふるだけでも、意外とおいしくいただけますし、昆布や梅干しを添えてもいい。お出汁とも相性が良さそうです。胃が疲れたり、食べすぎたりした時にもおすすめです」
浸水する水が、どれくらい味に影響するのか。水道水、クリンスイの浄水、アルカリ水、軟水(出汁用)でポリッジを作って実験。福田さんに食べ比べていただいた。
「水道水と比べ、浄水した水は3つとも、雑味が消え甘みが増したように感じます。想像以上に、それぞれ甘みの方向性に違いがありとても興味深いですね」
オーツ麦のポリッジ 2人分
- スティールカットオーツ 1/2カップ(100㎖)を保存容器に入れ、クリンスイの浄水を約180㎖注ぎ、蓋をしてひと晩置く(夏は冷蔵庫で保存)。
- 翌朝、塩少々を加えて、クリンスイの浄水で差し水をしながら約10分間煮る。
- ジャムやナッツ、フルーツなど好きなサイドキック(付け合わせ、トッピング)を添えて、お好みで温かい牛乳や豆乳、オーツミルクなどをかけて、混ぜながらいただく。4 ミルク類は、夏は冷たいままでもおいしい。
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ふくだりか
菓子研究家。福岡県生まれ。食にまつわるモノ・コトのディレクションを手掛ける。コンセプトを深く鋭く考察した唯一無二のレシピで人気に。雑誌『装苑』の長期連載コラムは23年目、『民芸お菓子』『R先生のおやつ』『新しいサラダ』『いちじく好きのためのレシピ』など著書多数。Instagramアカウントは@riccafukuda