新米やブランド米を購入したり、いただいたりしたら、「今まで以上に美味しいご飯を炊きたい」と思いませんか?ツヤツヤでふっくらとした美味しいご飯を炊くには、お米の研ぎ方から見直してみましょう。
昔と現在では、正しいお米の研ぎ方が異なります。知らず知らずのうちに間違った研ぎ方をしていると、お米本来の美味しさを引き出すことができません。
そこでこの記事では、2022年版の美味しいご飯を炊くためのお米の研ぎ方を解説します。最新の新品種を含めた新米(精米日から3か月以内のお米)のお米の研ぎ方方法です。簡単なようで奥が深いお米の研ぎ方をマスターし、美味しいご飯を楽しみましょう。
そもそもなぜお米を研ぐの?
そもそもお米はなぜ研がなければならないのでしょうか?実は昔と現代では、お米を研ぐ理由が少しだけ異なります。
お米を白米にするには、玄米を精米し、もみ殻や米ヌカを取り除かなければなりません。かつては精米技術が今ほど緻密ではなかったので、お米の精米が均一ではなかったり、お米に表面には大量に米ヌカが残ったりしていました。そのため、美味しいご飯を炊くには、精米するようにしっかりお米を研がなければならなかったのです。
しかし精米の技術が進化した現代では、昔ほどしっかりお米を研ぐ必要はありません。お米の表面に再付着してしまったヌカ(肌ヌカ)やゴミを洗い流す感覚で大丈夫です。さらに現代の米研ぎには、お米の表面に傷を付けすぎず、ヌカだけを取り除き、お米の芯まで水分を浸透しやすくするという目的もあります。
お米の研ぎ方5つのポイント
美味しいご飯を炊くために、最初に気を付けたい工程がお米の研ぎ方です。上手にお米の研ぐには、ここで紹介する4つのポイントに気をつけてみてください。
① お米の量は正確に量る
美味しいご飯を炊くための米研ぎは、計量から始まっています。分量は正確に計りましょう。
1合は180ml、グラムで表すと約150gです。お米は1合ずつを詰め込み過ぎないようにして計ります。冷蔵庫の野菜室で冷やしておいたお米を、計量カップ大盛りに入れてから、軽くゆすってお米を詰め込みます。入りきらずに盛り上がってしまっている分は、ヘラやすりきり棒などで平らにならしましょう。
ただし、お米の品種や時期によっては粒の大きさが異なり、1合あたりの量が変わってしまうこともあります。そのようなときは、水加減を微調整してくださいね。
② すすぎは素早く行う
お米を計ったら手早くすすぎを行います。お米を入れたボウルや炊飯器の内釜に、冷蔵庫で冷やした浄水を一気に入れ、お米をすべて浸してください。そして汚れを浮かせるような感じでかき混ぜたら、素早くお水を捨てましょう。
お米はお水に浸した瞬間、吸水可能な量の60%もの水分を吸い込んでしまいます。その際ヌカの匂いを吸収しているお水を吸わないようにしたいので、ここまでの工程は約10秒で済ませるのがコツです。
これ以降は水道水で良いので、もう一度すすぎを行ったら洗米に進みましょう。お米の表面の汚れを取る事だけが目的であるため、何度もかき混ぜたり、すすぎの途中で放置したりしないようにしてください。
③ 洗米はやさしくシャカシャカと
すすぎが終わったら、お水がほとんどない状態のままで洗米を行います。指は野球ボールを握ったような形に広げて、シャカシャカという音が出るリズムとスピードで約20回お米の表面を研ぎます。お米同士の摩擦だけで表面を研ぐので、無理に力を入れる必要はありません。
研いだらお水を注ぎ、ボウルの底に残った研ぎ汁を薄めるために数回かき混ぜてからお水を捨てます。これをもう一度繰り返してください。
④ つやが出るようにもう一度
すすぎが終わった状態のまま、再び指は野球ボールを握ったような形に広げて、シャカシャカという音が出るリズムとスピードで、1回目の半分の約10回お米を研ぎます。
再びお水を注いで数回かき混ぜてからお水を捨て、これをもう一度繰り返して終わりです。
お米に注いだお水にうっすらと濁りがある段階で、洗米を終えてください。お水がクリアになるまで研ぎすすぎをしてしまうと、お米がべた付いて炊き上がったり、お米に含まれる栄養や旨みが流失したりしてしまいます。
⑤お米をギュッギュッと研ぐのはNG!
お米を手のひらで押さえつけながら研ぐやり方は、精米技術が発達していなかったひと昔前の話です。前述の通り、近年の精米技術は進化を遂げているため、お米にはヌカはほとんど残っていません。
また、柔らかなお米の品種も増えています。お米の表面に含まれる旨みを損なわないよう、研ぎ過ぎないようにしましょう。
今までの常識も本当はタブー!
昔はよいとされていても今はタブーとされているお米の研ぎ方は、力の入れ具合だけではありません。ここで、本当はおすすめできないお米の研ぎ方を紹介します。うっかりやっていないかどうかをチェックして、今まで以上に美味しいご飯を炊けるようになりましょう。
point1:ザル研ぎ
ザルを使ってお米を研ぐと、素早く水切りができます。しかしご飯の美味しさを考えると、1〜5合を研ぐ場合はおすすめできません。理由はザルの網目に引っかかって研ぎ過ぎてしまうためです。米粒が割れたり砕けたりしてしまう懸念もあります。
ただし、5合以上の大量のお米を研ぐ場合はザル研ぎが便利ですが、この時も網目にこすりつけるように研ぐことはやめてください。
point2:お水が透明になるまで研ぐ
「お水が透明になるまでお米を研がないと気持ち悪い」と感じる方もいるかもしれません。しかし、研いだあと乳白色になったお水には、お米の美味しさの元であるでんぷんが流出しています。
このお水が透明になるまで研いでしまうと、でんぷんなどの旨みや栄養素がどんどん流失してしまうのです。その結果、炊いたご飯がべちゃべちゃになってしまったり、味気のないご飯になったりしてしまいます。
point3:ザル上げ
お米を研いだあと、ザルに上げてお水を切るようにしている方もいるでしょう。しかし、ザル上げはお米の乾燥を招くため、おすすめできません。
お米が乾いてしまうと、本当は割れなかったお米まで割れてしまいます。そのまま炊飯すると、割れたお米からでんぷんが溶け出て、炊飯したご飯の一部が糊のようになってしまうことも。
研いだあとのお水を切り水加減をきちんと測りたいときは、5分程度の短時間でザル上げをしてください。置き時間が5分以上になりそうなときは、濡れ布巾でザルを完全に覆い、湿度を保ちましょう。
こんなごはんになっていませんか?
これも「研ぎ過ぎ」の注意信号!
自分ではお米を研ぎ過ぎていないつもりでも、思った以上に力が入り過ぎたり、やり過ぎたりしているケースもあります。炊飯器直後に米粒が立っておらず形が崩れているときは、研ぎ過ぎのサインかもしれません。洗米によってお米が割れてしまったり、コシが失われたりしてしまった可能性があります。
お釜の上部と下部でご飯の柔らかさが異なるときも要注意です。近年の炊飯器は釜全体に圧力をかけてご飯を炊くため、炊きムラができにくくなっています。それにもかかわらずご飯が一部、もしくは全部ベタつくときは、お米に深い傷が多く、でんぷんも流出している可能性が高いです。
また、異なる品種のお米を炊いたにもかかわらず、味が変わらないように感じるときも、研ぎ過ぎの注意信号です。研ぎ過ぎるとお米の旨みまで削られてしまうため、お米が本来持ち合わせている美味しさが失われてしまいます。
炊飯したご飯がこのようになってしまうときは、お米の研ぎ方を見直してみてください。
美味しいごはんを炊くには、
キレイなお水と研ぎ過ぎないことが重要
均一でふっくらと形良くツヤのある美味しいご飯を炊くためには、お米を研ぎ過ぎてはいけません。近年の精米技術は昔よりも発達しているため、米ヌカはほとんど落ちています。お米の表面に再付着してしまった米ヌカや汚れを、軽く洗い流す感覚で研ぐようにしましょう。
お米研ぎに使うお水の扱い方や質も重要です。ヌカのニオイはお水に溶けるため、お米にニオイが戻らないように、すすいだあとは手早くお水を捨ててください。お米はお水に触れた瞬間から吸水を始めるため、最初に注ぐお水は浄水器を通したものなどキレイなお水を使うようにしましょう。さらに、冷蔵庫に入れて冷やしたお水を使うと、粘りと甘みが強く出る可能性がありますので、試してみてください。
クリンスイの浄水器は冷蔵庫に入れられるポット型だけでなく、蛇口直結型、ビルトイン型もあり、毎日の炊飯に活躍します。雑菌まで除去する独自の中空糸膜フィルターでろ過するため、米研ぎの最初に使うお水にぴったりです。
クリンスイには、この記事の監修者である五ツ星お米マイスターの西島豊造さんが監修したお米のための浄水器も用意されています。毎日食べるお米をもっと美味しく味わいたい方は、ぜひ「WASHOKU お米をおいしくするための水」をチェックしてみてください。
また、2022年の新米の特徴や美味しく炊く方法については、こちらの記事もご参考ください。
西島豊造(にしじまとよぞう)
1962年東京生まれ。北里大学獣医畜産学部畜産土木工学科卒業後、北海道で農業土木コンサルタントに。1988年より家業の米店「スズノブ」代表。2004年、五ツ星お米マイスターに認定。米に関する膨大な知識を生かし、独自プロジェクト「Suzunobu Project Rice」を立ち上げ、産地の特徴を生かした地域ブランド米作りや地域活性化に携わる。2016年、和食のためのクリンスイ JP407-R(お米用)の開発に協力、監修。