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インテリアスタイリスト・石井佳苗さんにとって水とは? 前編
都内のビンテージマンションをリノベーションした自宅で暮らす、インテリアスタイリストの石井佳苗さん。引っ越して3年、窓の外に広がる緑いっぱいの景色が気に入って購入を決めたという。そんな窓の正面に配されたキッチン。シンクには、2つの水栓が設置されている。
2022.10.13
photo / Norio Kidera
text / Hitomi Takano
edit / Akio Mitomi
光るセンスと個性がちりばめられた空間で、「シャインズ」の愛称で呼ばれる愛猫、ポポ・メグ・ハナオの3匹家族と暮らすインテリアスタイリストの石井佳苗さん。インテリアや日々の暮らしで大切にしているのは「自分で選ぶ」こと。どんなものでも、きちんと自分軸で選ぶことが、空間の雰囲気や自分らしさにつながっているという。
「よく『もの選びは鉛筆1本から』と話しますが、小さな選択の積み重ねが大切。『まあ、いいか』で選んでしまうと、『まあ、いいか』というインテリアになってしまう。選ぶものの積み重ねで、その人のすべてが作られると思っています」
目に見えているものだけではなく、空気感も自分を作る大切な要素。身につけるものはもちろん、暮らしぶり、香りなどもそう。
「『あの人の空気感いいよね』と言いますよね。目に見えないものだけれど、それがその人らしさや世界観。選ぶものひとつひとつが、空間はもちろん自分を包む空気感まで作り出しています。だから同じものを選んでも、その人らしい空間に置くことで、ものの見え方もそれぞれ違うのがおもしろい」
自分を作るものというのは、水にもいえること。石井さんは、「自分の中に取り入れるものは、より良いものでありたい」と話す。
「飲めればいい、使えればいいというわけにはいきません。インテリアもお水も『自分で選ぶ』ということを大切にしたいですね。お水に関してはなんでもいいと思う時期もあったと思うけど、これからはよりこだわっていきたい。いいお水をきちんと選びたいと思っています」
凛として心地よい空気が漂う石井さん宅。選ぶものや飾り方のセンスの良さはもちろんだが、暮らしぶりもその空気感を作り出す要素のひとつなのだろうと感じさせる。そんな石井さんの朝は、神棚と仏様のお水を替えることからはじまるという。
「朝一番、神聖な場所に供えるお水はきれいなものにこだわりたい。だからクリンスイの浄水を使います。そのあと、同じく浄水で猫たちのお水を入れ替えて。最後にやっと自分もお水を飲むというのが、朝のルーティンです」
朝は、空気の入れ替えも欠かさない。窓を開けて、ピッチャーにクリンスイのビルトイン浄水器で浄水を入れたら、ベランダに置いている植物たちの水やりも朝やることのひとつ。
石井さんの部屋を見渡すと、さまざまなテイストのピッチャーが目に入る。実用も兼ねたピッチャーは、好きで集めているというアイテムのひとつなのだそう。
「ピッチャーは、フォルムとしても絵になるので、実用はもちろん、インテリア雑貨としても活用します。日本のものやアメリカのもの、ミッドセンチュリーもあればモダンなものもあります。テイストはバラバラです」
それでも不思議と統一感があるのは、どんなものでも「自分で選ぶ」という軸がちゃんとあるから。テイストがバラバラでも、その人の目が行き届いているかどうかでまったく違うと話す石井さん。
「家は、その最たる場所ですよね」
愛用している「ホルムガード」のピッチャー「ミニマ」は、蓋つきで冷蔵庫のドアポケットに収まる細身なデザイン。フィンランドを代表するデザイナー、セシリエ・マンツによる実用的でありながら、見た目の美しさも気に入っているという。
「大きなサイズを愛用していて、お茶の水出しによく使います。たっぷり入るし、お客さまが来た時もそのままテーブルに置いておけるデザインなのもいい」
つい、生活感が出たり雑多になったりしがちなキッチン。石井さんが心掛けていることを尋ねた。
「やかんなど出したままにしておくものは、使い勝手の良さはもちろん、デザインが好きなものを選びます。だから、もう20年近く使っているものも。やっぱり好きなものを集めて長く使いたいですね」と石井さん。
器や茶器などは、キッチンの主役になっているお手製の棚に収納。気をつけないと、ごちゃごちゃと見えてしまうオープン棚では、あまり強い色は使わない。グラス、茶器、白い器など、用途や色などでなんとなく分けると使いやすく、雑多にも見えないと教えてくれた。
「でも、きっちり分け過ぎてもつまらないから、ざっくりと分けるのがポイントです」
飾り方や収納のテクニックもあるけれど、まずは自分が好きと感じるものをこだわって選ぶことが第一と話す石井さん。「その時々で好きなテイストが変わることもあるけれど、それでもいいんです。その都度こだわって選んできたものが、気づいたら自分の輪郭になっています。自分を知ることが、自分の暮らしを知ることであり、自分の暮らしを通して自分を知ることでもある。自分を知ることと暮らしは、循環しているなと感じます。だからこそ、お水もインテリアも、きちんと向き合って自分で選ぶことは、とても大切なことですよね」
最新情報はクリンスイ水の編集部Instagramアカウントで
@cleansui_knows
インテリアスタイリスト。インテリアメーカーに10年間勤務後独立。雑誌、広告、CMカタログなどライフタイル全般の提案やショップディスプレイ、モデルハウスのスタイリング、商品開発など幅広く活躍中。センス溢れる自宅のセルフリノベーションやDIYなど、ライフスタイルも注目されている。数年に1度開催されるエキシビション『DAILY LIFE』も人気。著書に『Love Customizer 簡単!インテリアDIYのアイデア』『Love Customizer 2 セルフリノベーションでつくる家』(共にエクスナレッジ)など。新刊『Heima 住まいの感覚を磨く9つのキーワード』(扶桑社)が10月31日に上梓される予定。
Instagramアカウントは@kanaeishii_lc